返品は、EC/通販分野においてネガティブな要素として考えられてきました。しかし、返品マーケティングにより、その位置づけは変わりつつあります。ポジティブにとらえていくことで、販売に大きく活かせるからです。
さまざまなポイントがありますが、現在の返品率に関するデータなどから、どのような改善策を取るべきか見ていきましょう。EC/通販分野における意識改革にもつながる内容です。
「返品率の平均を知りたい」
「返品になる理由を知りたい」
「返品マーケティングって何?」
という方に必見の記事です!
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目次
1-1日用品の返品率
1-2衣服類の返品率 1-3食品の返品率 1-4家具家電の返品率 2.返品になる要因とは 2-1消費者都合 2-2販売者都合 3.返品率を下げる方法 3-1顧客が持つ商品イメージを明確化する 3-2カスタマーレビューを増やす工夫をする 3-3発注内容の確認を行う 4.返品は顧客体験・LTV向上の可能性を秘めている!? 4-1返品マーケティングとは? 4-2返品フローにおける顧客体験の向上 4-3顧客に返品のレビューを記入してもらう 4-4返品のレビューなどを商品・ストア運営に活かす 4-5返品した顧客に対してプロモーションを行う 5.返品に関する業務を便利にするツール 5-1Recustomer 5-2リバリュー 6.まとめ |
EC/通販分野において、さまざまな理由での返品は日常の風景です。顧客が店舗から購入してから実際に届いてみると、思っていたものと差異があり返品に至るケースが出てきます。実際の店舗販売でもある程度の返品がありますが、EC/通販ではカテゴリーによって倍以上の返品率になるケースも珍しくありません。
返品対応は顧客の安心感にもつながります。カテゴリーによってここまでの差が出てくるか、その特徴を見ていきましょう。
日用品は、生活に必要なものが多い消費財です。範囲はとても広く定義によっても異なります。一般的に総合スーパー(GMS)や食品スーパー(SM)、ドラッグストア(DGS)などが取り扱いますが、コンビニエンスストア(CVS)も増えてきました。さらにEC/通販分野での拡大も進んでいるカテゴリーです。
消費財を取り扱うことから返品率は低く、2%前後と考えられてきました。国の健康寿命に関する政策もあり、1%以下にすることも求められています。※1
売り切りを目指すカテゴリーでもあり、小売業から卸やメーカーに対する返品率も2~3%で推移しているカテゴリーです。※2
衣服類の返品率は、非常に高いことで知られています。欧米では20%前後ともいわれ、日本ではもう少し低いものの、EC/通販では返品率5%にも達するといわれてきました。カタログ通販などでは、さらに高い10%前後となっています。※3
売れ残り率が高く、全体の約13%にも達するカテゴリーです。※4
※3 ネット通販の落とし穴!返品率を下げるために取り入れるべき対策とは
※4 環境省 令和2年度 ファッションと環境に関する調査業務
食品は衛生上の問題から再販が難しく、返品を受け付けない契約を結ぶことの多いカテゴリーです。ですが、販売側のミスや受取拒否といった理由での0.5%程度の返品率は発生すると考えられます。※5
安全性が重要になるカテゴリーで、ミスが致命的な傷を残す可能性は忘れてはいけません。
※5 「食品の返品を起こさない」工夫とは?衛生管理の浸透や業務改善における利他フーズの取り組み
EC/通販分野での家具は、アパレルに次いで返品率が高いカテゴリーといわれてきました。逆に家電は返品率が低いカテゴリーです。※6
物販系EC化率でみると、常に上位に位置するのが家具や家電であり、EC/通販分野と相性がいいこともわかっています。※7その一方で、アメリカでは家電の返品率が上昇しており、経営に致命的ダメージを与えていることも指摘されてきました。※8
※6 「食品の返品を起こさない」工夫とは?衛生管理の浸透や業務改善における利他フーズの取り組み
※7 【2022年版】EC化率をプロが徹底解説|BtoCからBtoB、CtoCまで
※8 返品問題に苦悩する米家電業界、損失167億ドルを減らす対策はあるのか
返品には必ず原因があります。この原因を消費者都合と販売者都合の2つに分けて考えてみましょう。
消費者都合は、販売者には原因がない状態で、消費者である購入者側の都合で返品することです。いろいろなパターンがありますが、販売者側が予測していない原因で返品されることがあります。
よく見る理由としては、「間違って買った」ということがあるでしょう。これは消費者都合として販売者に全く落ち度がない部分です。アパレルで見ると、サイズが合わなかったというパターンも出てきます。
完全な消費者都合ではなく、一部は販売者に要因がある場合も少なくありません。情報が不完全で消費者が理解できずに返品になるケースです。販売者としては情報を提示しており問題はなかったとしても、それが正確に伝わらずに返品になる場合があります。アパレルの「フィット感」や「サイズ感」といった要因です。感じ方には個人差が出てくるため、消費者都合ではありますが、販売者に全く原因がないわけでもありません。
消費者都合は、思い込みや情報の見落としなどで起こります。カテゴリーによっては、消費者都合を受け入れられないものもあるため、はっきりとした線引きと一貫した対応が必要です。
消費者には落ち度が存在せず、販売者側に責任がある要因です。商品を開封した段階で、購入したはずのものとちがうなどが考えられます。初期不良や破損といったものも販売者都合です。
アパレルを例にとると、サイズや色はあっていても、縫製の段階で針が落ちた跡があり、穴が開いてるといった理由は販売者都合に相当します。油染みなども同様です。
消費者は、提示されていた情報が補完されていると考えています。この情報が販売者側の落ち度で正確性を欠いていれば、販売者都合といえるでしょう。
消費者側は、販売者ほどの情報を持ち合わせていません。情報の非対称性と呼ばれますが、情報の伝え方、感じ方といったお互いの捉えかたによる違いが返品率を上昇させる要因につながります。こうした情報をもっと詳しく知りたいかたは、こちらの記事もお読みください。
よくある返品理由とは?その際の対応方法や注意点など徹底解説!
返品率を下げるためには、いくつもの方策がとられてきました。返品率を下げることは、そのまま売上高の増大につながります。返品作業にかかる工数削減により、コストダウンになることから、返品率を下げることは重要な意味があるでしょう。
こちらでも解説していますので参考にしてください。
EC/通販では、常に情報の非対称性が起きます。売り手である販売者は専門知識を有し、買い手である購入者は情報を共有しようとします。ここで購買の意思決定につながりますが、完全に一致しているわけではありません。買い手側のほうが情報量は少ないからです。さらに、お互いで情報量が一致したと思い込むところにも大きな問題があります。このギャップを埋めることが、返品率を下げるポイントです。
情報をできるだけ一致させていくためには、イメージの明確化が欠かせません。正確な情報があれば、それだけ情報の非対称性が起こりにくくなるからです。
アパレルを例にとると、サイズ感のサンプル表示をする方法があります。実際にモデルに着用させ、身長175cm 67kgなどと情報を明記し、 Lサイズ着用などと提示すれば、お互いのギャップは埋まっていくでしょう。自分の身長や体形と合わせて疑似体験できるからです。色も正確にわかる対象物を置くなどすると、イメージがわきやすくなります。
販売者がどこまで情報を提示しても、完璧な形では伝わりません。立場が全く異なるからです。このギャップを埋める大事なポイントは、カスタマーレビューにあります。
カスタマーレビューとは、顧客の総合的な体験のフィードバックです。販売者ではない第三者として購入したときや、のちの情報になるため、購入者の欲しい情報を補完できます。購入者の背中を押すともいわれるカスタマーレビューは情報の宝庫です。購入者にも大事な情報となるため、増やす工夫をすると返品率も下がります。
返品の要因につながるのは、情報が補完されていないからです。たとえば、購入者が情報を勘違いしていたとします。洋服でLサイズが欲しいのにもかかわらず、Mサイズを購入していれば、着用できないため、確実に返品につながるでしょう。
発注内容の確認を徹底することで、返品率は下がります。情報を確認して購買したという認識も、消費者都合の返品を減らすポイントです。
返品は売上高を減少させる要因であることは間違いありません。しかし、この消費者行動を逆手にとれば、顧客体験につながりLTVを上昇させます。単にマイナスな取引としてみるのではなく、どのような情報が隠れているか、正確に見定めなければいけません。
返品マーケティングとは、返品という購入者の行動を次につなげる方法です。一定の返品が発生する以上、これをさらなる購入につなげる考え方になります。アメリカで多く取り入れられてきたマーケティング手法で、Amazonでも行われてきました。
返品になれば、送料が必ず発生します。これまでは、要因によって負担者が変わってきました。たとえば消費者都合なら、消費者が送料を持つべきという考え方です。ですが、これでは顧客満足度を高められません。なぜなら、「送料を負担させられた」とどこかでとらえ、経験として蓄積するからです。ここに返品マーケティングのポイントが隠れています。
顧客として返品を受け付け、送料負担もなかったらどうでしょうか。優良な販売者だという体験ができあがります。このような返品ポリシーの緩和から、5つの要因に派生すると考えられるようになりました。
・購入率
・顧客満足度
・リピート率
・レビューなどのフィードバック
・市場の競合優位性
返品マーケティングにより、これらが改善します。
返品ポリシーが緩和すれば、安心して購入できるようになるでしょう。アパレルなら返品に負担がないことで、購入の安心感が高まりハードルが下がります。
安心して購入できるのですから、顧客満足度は必ず上昇するでしょう。当然、リピート率も向上します。さらに自分の購入体験を共有したい欲求を刺激し、フィードバックが得られやすくなるのです。最終的に市場における競合優位性を獲得するという流れができあがります。
本来売上高を減少させるのが返品です。ところが、返品マーケティングにより、売上の向上に寄与することができます。
こちらでも詳しくご紹介しています。
返品ポリシーとは?売上に直結する返金ポリシーの重要性や成功事例まで徹底解説!
返品マーケティングは、顧客体験が重要な意味を持ちます。返品にお金がかからないというポリシーの改善だけでは不完全です。大事なことは、安心感を得られた顧客体験につなげなければいけません。
返品には必ず工数が発生します。これは販売者だけではありません。購入者も一定の手を掛ける必要があります。自分で梱包して発送まで手続きするとなれば時間も必要です。このような業務フローを改善させることが、顧客体験を向上させるポイントになります。
たとえば玄関まで配送業者が荷物を受け取りにきて、その場で梱包手続きを完了させたらどうでしょうか。顧客には荷物の受け渡し以上の工数がかかりません。自分の都合のいいときに返品できるからです。
手間がかからないことにより、顧客満足度は必然的に向上します。顧客体験により、顧客ロイヤリティの向上にも寄与するのです。
送料を負担するという出費の代わりに、レビューの記入をお願いします。購入者は、送料負担がないというメリットを享受するメリットの大きさとレビューを比較検討するでしょう。もちろん、送料負担のほうが大きいケースが大半を占めるため、レビューの記入を受け入れてくれます。それも好意的な良質な体験として記入するケースが増えるのです。
返品のレビューは、すべてポジティブなものとは限りません。しかし、交換条件になることから、質の高い内容が寄せられる可能性が高まります。この情報は生きた情報です。購入者自ら商品や返品に関する情報をフィードバックしている以上、運営に活かせる大事な情報源になります。PDCAサイクルの重要ポイントです。
EC/通販では、顧客と直接接点が持ちにくい傾向があります。ECサイト上での取引に終始しやすいためです。
返品マーケティングでは、顧客との交渉が行われます。この交渉がこれまでなかった顧客とのタッチポイントになるのです。普段では考えられない大きなチャンスになるでしょう。
購入者が困っていることを理解しやすくなり、定期的な購入を促すポイントにつながります。返品には手間がかかりますが、タッチポイントが生まれる状況は、返品に要する工数を相殺どころかプラスです。
同時にプロモーションを行うことで、ブランドイメージを明確にできます。レビューなどにもつなげて拡散できますし、継続的な利用も求められる可能性が向上するのです。ネガティブと思われていた返品も、考えや行動によって大きく変貌していきます。
返品マーケティングが有効だとしても、工数の発生は否めません。これがコスト増大につながるのも確かです。そこで返品業務をスムーズに行うためのツールの選択も重要となりました。
返品・交換・キャンセルの業務を自動化できるツールです。購入者に対して良質な購入体験をもたらす一方、販売者の効率化が目指せます。さらに自動化できるため、人員を割く必要がありません。人件費の削減をもたらし、24時間対応という利便性の提供にもつながるツールです。返金実行までのスピードも改善させ、顧客満足度を高めます。返品センターが構築されているためで、ほとんどの返品リクエストにも対応できる組織作りが、ツールとしての利便性を高めました。
Recustomerは、ワンクリック決済や商品の追跡もでき、売上向上を支援してくれるツールです。顧客体験を総合的にバックアップしてくれることから、返品マーケティングには欠かせない存在となりました。
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販売元 |
Recustomer株式会社 |
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価格 |
要問い合わせ |
返品というネガティブな状況をポジティブに変えられるツールです。返品された商品は、商品価値が下がり、再販できないケースも珍しくありません。これが返品というプロセスの最後に待っています。処分するためにも費用が発生し、販売者の二重苦の状態を作り出してきました。
リバリューでは、返品を受けた商品は、状態にかかわらず買い取ります。商品ジャンルによって料率が定められており、仕分けなどもせずにまとめて買い取ってくれるのが特徴です。月に1回などに送るだけなので手間もかかりません。廃棄処分しなければいけなかった返品商品が、大事な資産となって返ってきます。返品マーケティングにも重要な役割を果たすツールです。
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販売元 |
株式会社SynaBiz |
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公式サイト |
EC/通販事業では、返品率の上昇は死活問題であることは間違いありません。いかに返品率を下げるかで苦心しているところも多いのが事実です。それでも一定値は発生してしまうのが、返品の怖いところでしょう。
大事なことは、ネガティブな状況をそのまま受け入れるのではなく、利用できるチャンスととらえることです。返品マーケティングでは、これまで見落としていたタッチポイントなども利用し、売上を向上させられます。
大事なことは返品にかかる工数を向上させず、状況を生かすことです。ポジティブな情報に転換させるためにも、ツールをうまく使って返品マーケティングとして生かしていきましょう!