・事業拡大に伴い、配送・納期に関するお問い合わせが増加。問い合わせ全体の中でも比率が高かった。
・「注文した商品が今どこにあり、いつ届くのか」を、お客様がご自身で確認できる導線がなかった
・事業が伸びるほどCSの人数を増やすしかない構造を、対応体制の増強ではなく仕組みで解く必要があった
・ショッピングアプリ内に配送追跡を組み込み、購入後にお客様がセルフで配送状況を確認できる導線を構築
・配送ステータスに応じた通知メールの設定やテンプレート編集を、CSの現場が管理画面で完結
・セルフでの確認とCSによる個別対応の役割分担を、日常のオペレーションとして定着
・配送・納期に関するお問い合わせを約30%削減
・お客様自身で配送状況を把握でき、CSは個別事情の確認や案内が必要なケースに、より丁寧に向き合えるように
・導入から3年以上、運用面の負担なく継続。CSにとって「ありがたみを感じない」ほどのインフラとして定着
「新しい生活圏のカタチをつくる」をビジョンに掲げ、発見型ソーシャルECアプリ「カウシェ」を運営する株式会社カウシェ。食品・日用品・コスメ・家電など、生活に身近な商品を幅広く取り扱っています。
▲野菜がもらえるお買い物アプリ「カウシェ」
事業の急拡大とともに増えていったのが、配送・納期に関するお問い合わせ。同社が選んだのは、増えた問い合わせにうまく対応する道ではなく、「お客様が問い合わせをしなければならない理由」そのものをなくしていく道でした。
2023年3月に導入したRecustomerの配送追跡は、その一手です。Recustomer導入から3年以上が経った同社の購入後体験について、業務推進部 部長の森本さんに詳しく伺いました。
ー まず、森本さんの役割を教えてください。
業務推進部の部長を務めています。業務推進部ではCSとBizOpsを管掌し、事業運営の仕組みづくりと、お客様対応の品質・生産性向上に取り組んでいます。
キャリアの原点はホテル業界で、フロント業務やマネジメントを通じて、お客様の期待にどう応えるかを学びました。その後、ECスタートアップで顧客対応の立ち上げや物流、人事などを経験し、カウシェへ入社しています。
現在は、事業成長に合わせて人を増やすだけではなく、仕組み化、自動化、AIの活用を進めながら、オペレーションの正確さと速さを持続的に高めることをミッションとしています。
ー カウシェというサービスについて教えてください。
カウシェは「新しい生活圏のカタチをつくる」をビジョンに、日々のお買い物に発見や楽しさを加えるショッピングアプリを運営しています。食品、日用品、コスメ、家電など、生活に身近な商品を幅広く取り扱っています。
もともとは「世界一楽しいショッピング体験をつくる」というビジョンを掲げていました。事業の焦点を絞る戦略ではあったものの、どうしても領域が「ショッピング体験」に限定されてしまう点が制約となっていました。
実際の利用状況を見ると、ユーザーが商品を選ぶ前にゲームを楽しみ、それをきっかけに商品とマッチングするような新たな体験が生まれていました。オンライン上で提供できるのは、従来の目的型(欲しいものを探して買う・利用する)の消費やサービスにとどまらない、より情緒的な価値を感じられる体験なのではないか。そうした気づきから、事業の可能性を広げるべく、ビジョンをより広いスコープへ刷新しました。
ー メインでご利用いただいているのは、どのようなお客様ですか。
40〜50代の女性のお客様が中心です。
今後は、より広いお客様にご利用いただきたいと考えています。男性のお客様も、若い方も、高齢の方も含めて、老若男女に受け入れていただけるサービスになっていきたいですね。
ー 顧客体験において、大切にされていることは何でしょうか。
お買い物の体験は、商品を見つけて購入した時点で終わるものではなく、商品が届き、安心して受け取れ、ご利用いただくところまで続くと考えています。
「買って終わり」では、お客様と単なる一回限りの関係で終わってしまいます。しかし、体験を中心に捉え直せば、サービスをいかに日常へ組み込むか、という視点に変わります。
単純に水がなくなったから買って終わり、ではなく、ショッピングの前後の体験も含めてご利用いただく。朝起きて、カウシェファームに水やりをして、職場のランチのときに同僚の方とカウシェファームの話をする。そういった声は、実際にユーザーインタビューからも出てきています。
▲ゲーム上で野菜を育ててると、本物の野菜がもらえる「カウシェファーム」
当社のECは、お客様から見たときに、遊び心のあるECだと思っていただいていると思います。
だからこそ、機械的で画一的な対応をお返しするのではなく、サービスのトーン&マナーを踏まえ、違和感のない回答をお届けすることはもちろん、サポート対応を通じて「カウシェらしさ」やブランドの深みを表現することを大切にしています。
ー カウシェのCSは、これまで経験されてきたCSと何が違いますか。
「事業成長のために」という視点が強いことでしょうか。
カスタマーサポートは、どうしても「来たお問い合わせにどう対応していくか」「問い合わせ体験の中でお客様の満足度をどう上げるか」という視点になりがちだと思います。一方で当社は、そもそも「どうあるべきなのか」という観点から整理をしています。
お客様は、そもそもお問い合わせをしなくて済む方がハッピーですよね。であれば、お問い合わせをする理由自体を、サービスやプロダクトを含めて、よりよく改善し、どうなくしていくか。そこまで含めて取り組んでいる部分が、カウシェのCSならではかなと思います。
ー 具体的には、どのように進めているのでしょうか。
お客様がお問い合わせをしなければならない理由を言語化し、サービス改善に反映する取り組みを部門横断で連携して進めています。
単に「こういう問い合わせが多い」と共有するだけでなく、私たちはその理由を構造化して分析します。「なぜその不満が生まれているのか」という根本的な仮説を立て、深掘りした議論を行います。
ー CSとBizOpsの体制についても教えてください。
業務推進部の中に、CSチームとBizOpsチームがあります。人数はCSが私を含めて7名、BizOpsが2名という構成です。
CSチームは、お客様のお問い合わせ対応と、お客様のお声、いわゆるVOCのマネジメントを担っています。もう一方のBizOpsチームは、ビジネスサイドの労働生産性に責任を持つチームです。平たく言うと、より少ない人数でより大きい成果をいかに出せるようにするか、をミッションに動いています。
ー Recustomerを導入した経緯を教えてください。
Recustomerの配送追跡は2023年3月に導入しました。当時、事業が拡大する中で、配送や納期に関するお問い合わせが増えていました。
「注文した商品が今どこにあり、いつ届くのか」は、お客様にとって自然に気になる情報です。お問い合わせいただく前にも、必要なタイミングでご自身で確認できる状態をつくりたいと考えました。
ー 導入にあたって、重視した点は何でしたか。
お客様にとって表示が分かりやすいことに加え、導入や日々の運用に過度な負担がかからず、安定して継続できることを重視しました。セルフサービスだけに寄せるのではなく、必要な場合はCSにも相談いただける、その両方を支えられる仕組みを求めていました。
ー 社内では、どのような材料で導入を提案されたのでしょうか。
とてもシンプルで、お問い合わせ削減数や人件費とツールの費用を比較して、ROIが合うどうかを算出して導入しました。
一方で、数値には表れない「定性的なお客様へのバリュー」も重要だと感じています。お買い物体験は購入時ではなく、商品が手元に届いて安心して受け取るまで続きます。「買って終わり」では一回限りの取引ですが、体験を中心に捉え直せば、いかに生活へ組み込めるかという視点に変わります。これはビジネス上のLTVにも繋がる部分です。
たとえば、メールに追跡URLを貼るだけでも情報は届きます。一方で、自分自身が利用者の時、あちこちページを移動させられるのは体験としてノイズだなと感じていました。余計な遷移なく必要な情報が提示されることの大切さを実感したんです。
こうした数字に出にくい価値もしっかりと吟味し、社内承認を得ていきました。
ー 導入後の効果を教えてください。
配送・納期に関するお問い合わせを約30%削減できました。その後、CS運用や情報提供全体の改善も重ねており、直近の社内集計では、全問い合わせに占める配送関連のお問い合わせは3%未満となっています。
定性的には、お客様にとって、回答を待たずに配送状況を把握できる選択肢が増えました。CS側では、配送状況の確認にかかる対応が減り、個別事情の確認や案内が必要なケースに、より丁寧に向き合いやすくなりました。
導入から時間がたった現在も、日常のオペレーションの中で無理なく継続できていること自体が、大きな価値だと感じています。
ー お客様やCSメンバーからの反響はありましたか。
お客様からはないですね。ないこと自体が価値だと思っています。
CS側は、導入した当初はすごく便利だと盛り上がっていました。今はインフラ的になってきているので、ありがたみを感じづらいというか(笑)。でも、それがあるべき姿ですよね。
ー 特に便利だと感じている機能はありますか。
配送ステータスに応じてメールを細かく出し分けられる点ですね。そもそも、お客様からの配送に関するお問い合わせは、「いつ届くか知りたい」「遅い・来ない」の2つに集約されるのではないかと考えています。だからこそ、状況に合わせた通知が効果を発揮します。
特に便利なのが不在通知や持ち戻り時の通知です。「不在で受け取れなかった」と早めに気づいていただくことで、商品が返送されるリスクを減らし、スムーズな再配達へと行動を促せます。
私自身も一利用者として、受け取れなかったことがあります。届いていたことも認知しないまま「もう届けられません」となると悲しいので、そういったことを防げるのは大きな価値だと思います。
ー 「Recustomer 配送追跡」は、どのような課題を持った企業におすすめできるサービスでしょうか。
配送に関する問い合わせ対応に悩むEC事業者や、購入後体験の改善、CSの品質と持続可能性を両立したい企業におすすめしたいサービスです。また、抽象的な言い方になりますが、「自社で全部を作りたくない」という企業に合うのかなという気がしています。
サプライチェーンの中で、配送追跡に関するプロセスは他社と差がつきにくい領域です。配送ステータス管理は配送会社依存になりがちなため、事業会社側でコントロールできる余地は多くありません。
そこに自社開発の価値を見出しづらい、あるいはあえて差別化を狙わないのであれば、Recustomerさんのような完成されたパッケージを導入するのが合理的だと感じます。
ー 今後力を入れていきたい取り組みを教えてください。
引き続き、「お客様がお問い合わせをしなくて済む状態」を目指し、サービスとプロダクトを磨き込んでいきます。
業務推進部としては、FAQやプロダクト上の案内、データ、AIなどを適切に組み合わせ、正確かつ迅速な案内を実現する一方、状況に応じた柔軟な判断や気持ちに寄り添う対応といった「人が担う価値」も一層大切にしていきます。
さらに加えると、プラットフォームを運営している中で、カスタマーサポートの品質に加えて、「サービス全体としていかに信頼していただけるか」がプラットフォームとしてはすごく重要だと思っています。
CSのアプローチによって、どのようにプラットフォームの安心感や信頼感を醸成できるか。事業的な重要課題として、今後さらに力を入れて取り組んでいきたいと思っています。
【編集後記】
象徴的だったのは、導入の反響を伺ったときの「お客様からはないですね。ないこと自体が価値だと思っています」という答えでした。取材を通じて一貫していたのは、お問い合わせにどう対応するかではなく、お問い合わせをする理由を予めなくしておけるか、という視点です。
CSを、事業成長に比例して人を増やす部門としてではなく、問い合わせが起きる構造そのものを設計で変えていく部門として定義し直す。その考え方は、3年以上「ありがたみを感じづらい」ほど定着したという配送追跡の使われ方にも、現れていました。
■カウシェへの出店をご検討の方へ
本記事でご紹介した「カウシェ」では、食品・日用品・コスメ・家電など幅広いジャンルの出店事業者様を募集しています。初期費用・月額固定費は0円の成果報酬型で、まずは小さくお試しいただけます。
▶ カウシェ出店のご案内はこちら
https://seller.kauche.com/
Q. 配送・納期に関するお問い合わせを減らすには?
お客様がご自身で配送状況を確認できる導線を、購入後の体験に組み込むことが有効です。Recustomerの配送追跡を導入したカウシェ様では、導入当時に配送・納期に関するお問い合わせを約30%削減し、直近では全問い合わせに占める配送関連の割合が3%未満となっています。
Q. 「お問い合わせが発生しないCS」は、どうすればつくれますか?
届いたお問い合わせへの対応品質を上げるのではなく、お問い合わせが発生する理由そのものを構造化し、サービスやプロダクトの設計に戻して解消する進め方が有効です。カウシェ様では、表面的な問い合わせ内容の背後にある原因を仮説として立て、部門間で議論したうえで上流の体験改善につなげています。事業が成長しても問い合わせ件数が比例して増えないため、CSの体制を人数に依存させずに運用できます。
Q. 不在や持ち戻りによる受け取り漏れを防ぐには?
配送ステータスに応じて通知メールを出し分けることで防げます。Recustomerの配送追跡では、不在通知や営業所への持ち戻り通知をお客様へ自動配信し、早めの再配達依頼といった行動を促します。受け取られないまま返送されるケースを減らすことで、再配送のコストと、それに伴うお問い合わせの双方を抑えられます。