導入事例

「お店の体験をデジタルでも」。購入後まで続く、ポータークラシックの顧客体験

作成者: 株式会社ポータークラシック|Aug 3, 2026, 3:00:01 PM

 

2007年に創業し、日本の刺し子文化を現代に再興するなど、独自の世界観と日本製にこだわったものづくりで国内外のファンを魅了し続けるポータークラシック。銀座をはじめ全国6店舗を展開し、2020年にEC事業をスタート。2025年のShopifyへのリプレイスを機にRecustomerを導入しました。広告を一切行わず、ブランドの世界観と顧客体験で支持を集める同社が、なぜ"購入体験"の強化に踏み切ったのか。マーケティングディレクターの櫻井雅弘さんにお話を伺いました。

 

ファンだったブランドへ。ものづくりの信念を、届け方にも宿す

――ポータークラシックの事業内容と、櫻井さんのミッションを教えてください。

ポータークラシックは、吉田カバン創業者の三男・吉田克幸と息子の吉田玲雄が立ち上げたブランドです。克幸が60歳を迎えた頃に東北の民芸館で刺し子と出会い、その技術と美しさを日常のスタンダードとして再興したいという志からブランドが生まれました。

 

全国6店舗にはそれぞれ独自のコンセプトがあり、銀座本店は美術監督・種田陽平さんの手がけた「船」がテーマ。創業者が若い頃にヨーロッパやアメリカを旅した経験がブランドの根底にあり、「旅」は今もポータークラシックの大きなテーマです。

 

私はマーケティング全般を担当しています。ECの商品登録や受注・発送といった日々の運用は銀座本店のスタッフと協力しつつ、私はリアルとオンラインのマーケティング戦略からクリエイティブまでを統括しています。

 

ポータークラシックにはもともとブランド立ち上げ期からのファンで、「最後の転職先としてここで働きたい」という思いで入社しました。

 

 

――ブランドの届け方やEC事業について教えてください。

マーケティング面では、広告を一切行っていません。Web広告もタイアップも打たず、自分たちの発信とメディアとの信頼関係だけでブランドを届けています。「情報の出し方が常に我々らしくあること」を大切にしています。

 

EC事業を始めたのは2020年、コロナ禍がきっかけでした。それまでECには取り組んでいませんでしたが、店舗にお客様をお迎えすること自体が難しくなり、オンラインでの販売チャネルを立ち上げることになりました。

 

店舗の体験をデジタルで再現する。EC運営で大切にしていること

――ECでの顧客体験において大切にしている点は?

お店で提供している顧客体験を、いかにデジタル上で再現できるか、ということに尽きます。

 

店舗では、お客様が販売員とコミュニケーションを取りながら、試着を重ねてお買い上げいただくのが基本です。商品の丁寧な作りやゆったりとしたサイズ感も独特なので、レジに直接持ってきてさっと買っていくような購買はほとんどありません。一方でECだと、どうしても非対面での機械的な購入になってしまいます。だからこそ、デジタルならではのツールや細かい説明に頼るのではなく、お店の居心地の良さや世界観をECサイト上でも表現することを意識しています。

 

――ECの顧客層はどのような方が多いですか?

お客様の約7割が新規の方で、ECがブランドとの入り口になっています。ブランドのメッセージに共感していただいてECで購入してくださるという遠方の方も多いですね。

 

銀座本店は来店されるお客様の半数以上が海外の方で、ワンシーズンに一度は必ず顔を見せてくださる海外在住の顧客の方もいらっしゃいます。インバウンドの方が帰国後もECで購入したいというニーズも大きいでしょうから、越境ECへの対応は今後の重要なテーマです。

 

ブランドサイトとECの一体化を目指し、Shopifyへリプレイス

――2025年にShopifyへ移行されましたが、その背景は?

以前はブランドサイトとECサイトが分かれており、トラフィックが分散してしまっていました。コロナ禍で急遽立ち上げたという経緯もあり、機能や表現の面でも行き届かない部分がありました。そのため、入社してすぐに「リニューアルしたい」と考え、動き始めました。

 

リプレイスにおける一番の狙いは、「ブランドへの理解」と「購買体験」の一体化です。記事コンテンツを通じてブランドのメッセージをしっかりと伝え、商品の購入、さらには購入後のフォローまでを一気通貫で体験していただけるサイトを目指しました。

 

Recustomer導入のきっかけ。高単価だからこそ、購入後体験をより良いものに

――Recustomerを導入された経緯を教えてください。

Shopifyへのリプレイスを担当いただいた構築会社さんのご紹介がきっかけです。

 

我々の商品は単価が高いので、お客様にとって購入のハードルは低くありません。店頭であれば来店そのものが最初の体験になりますが、ECではそれが難しい。だからこそ、購入後の手続きをなるべく簡単にすることで、「店頭と同じような、おもてなしの安心感」を提供したいと考えていました。

 

――導入前はどのような対応をされていましたか?

基本的にメールでの問い合わせ対応でした。お客様からご連絡をいただいて、「使っていないですか」「タグは付いていますか」といった確認のやり取りを複数回行って、社内で経理を挟んで返金処理をする、という流れでした。

 

原則として不良品以外の返品はお受けしていませんが、何か不満を抱えたままお手元に置いていただくのは我々としても望んでいません。必要な返品はなるべくスムーズに受け付けたい。ただ、わざわざメールで連絡するのはお客様にとってもハードルが高いですよね。

 

導入後の効果。お客様の負担軽減が一番の成果

――導入後、どのような変化がありましたか?

以前の運用と比べると、対応にかかる時間は明らかに短くなっています。メールのやり取りがなくなり、返金処理もShopify上で完結するので、経理など他部署を挟む必要もなくなりました。

 

ただ、それ以上にうれしいのは、お客様にとっての負担が少なくなっていることです。楽しみにして買ったものに「あれ?」と思うことがあったときに、なるべくスムーズにご対応したい。Recustomerを使えば、お客様のお手元で必要な情報を入力するだけでリクエストが完結します。こちらもすぐに状況を把握して判断ができるので、お客様に面倒な思いをさせずに済む。それが一番の成果だと思います。

 

あらゆる顧客接点を磨く、ポータークラシックの未来

――今後の展望を教えてください。

まずはCRMの充実です。ECと店舗の購入情報を統合できる環境が整ってきたので、シーズンの変わり目にお手入れ方法や保管方法をお知らせするなど、タイミングを捉えたコミュニケーションを実現したいと考えています。

 

もう一つは越境ECです。銀座本店には海外のお客様が非常に多く、帰国後もECで購入いただける環境を整えたい。Recustomerの返品ポータルも多言語対応が可能とのことで、海外のお客様にも同じクオリティの購入後体験を届けられると期待しています。

 

まもなく20周年を迎えますが、あらゆるお客様との接点を丁寧に積み重ねていく。それがこれからも変わらない私たちの姿勢です。

 

編集後記

取材中、櫻井さんが何度も口にされたのは「お店の体験をデジタルでも再現したい」という言葉でした。広告を一切打たず、メディアとの信頼関係だけでブランドを届けていく。返品対応ひとつをとっても、効率化ではなく「お客様に面倒な思いをさせたくない」という姿勢が起点になっている。その一貫したブランド哲学に、ポータークラシックが多くのファンに愛され続ける理由を見た気がします。

 

刺し子の一針一針のように、あらゆる顧客接点を丁寧に積み重ねていくポータークラシック。20周年を迎えるこれからの歩みが、ますます楽しみです。