・返品完了まで最大で約2週間かかることもあり、対応に時間がかかっていた
・週末や営業時間外の申請により、返送のご案内までにリードタイムが生じていた
・ 返品理由がフリーテキストのため、お客様の声をデータとして分析・活用が難しかった
・返品申請から返送案内までを自動化し、24時間365日受付可能に
・決済システムと連携し、倉庫の検品完了と同時に自動返金を実現
・返品データからお客様の声を収集し、商品別・理由別の分析に活用
・返品に関する問い合わせ対応が全体の約30%を占めていたが、その大部分を削減
・返品の約9割がRecustomerで自動完結。返品のリードタイムは最大2週間から最短3日に
・データが整理されていることで、返品データの分析がしやすくなり、課題の特定や施策立案の材料として活用
天然石が持つ個体差を「かけがえのない個性」として届けるジュエリーブランド、ARTIDA OUD(アルティーダ ウード)。同ブランドではカスタマーサポートの内製化を進めるなかで、返品業務における課題に直面していました。
Recustomerの導入後、返品申請の約9割が自動で完結し、リードタイムは最短3日へと大幅に短縮。
さらにその先に見据えるのは、単なる業務効率化ではなく、返品データを起点としたブランド価値の向上です。導入後の変化と今後の展望について、カスタマーサポートを担当する中谷さんに詳しく伺いました。
▲ARTIDA OUD公式オンラインショップ
ーまず、ARTIDA OUDのブランドについて教えてください。
ARTIDA OUDは、D2CブランドとしてECからスタートしたジュエリーブランドです。主にインドで生産された天然石のジュエリーを取り扱っており、石の個体差や素材本来の個性を、かけがえのない魅力として活かしたデザインを特徴としています。
現在は都内に4店舗、関西に1店舗を展開するなどリテールにも注力していますが、ブランド体験においてECも引き続き重要な役割を担っています。メインターゲットは30〜40代の女性で、購入の約8割が自家需要です。
ー中谷さんの役割を教えてください。
ARTIDA OUDとPIMENTĒの2ブランドのカスタマーサポートを担当しています。問い合わせ対応だけではなく、お客様の声をもとにしたサイト改善や品質管理へのフィードバックも社内の各チームへ行っています。弊社のカスタマーサポートは「対応するだけ」ではなく、様々なセクションに発展させていく起点として日々業務をしています。
私は、これまでにアパレルでの販売経験とEC運用経験の両方があり、オフライン・オンライン双方のお客様との接点を経験してきました。だからこそ、お客様にはオンラインでのお買い物でも、安心感を持ってご利用いただきたいという想いを強く持っています。
日々、店舗とECそれぞれの視点を頭の中で行き来しながら、「どうすればもっと安心してお買い物いただけるか」を考えています。それぞれのチャネルには異なる魅力や価値があるからこそ、その良さを最大限に活かしながら、お客様にお買い物そのものを楽しんでいただける体験を届けたい——それが私の原点です。
ーECの運営において大切にしていることは何ですか?
天然石のジュエリーは、1点ごとに表情が違います。正直、ECで販売しづらい商品であることは確かです。でも、私たちが大切にしているのは、その個体差を「欠点」ではなく「個性」として伝えること。ブランドのストーリーやフィロソフィーまでをきちんとお伝えすることで、「1つ1つが世界に1点」だと感じていただけたら嬉しいです。
共感してくださるお客様は、継続して買ってくださる方も多い。だからこそ、ブランドのストーリーをちゃんと伝えることも、カスタマーサポートができる大切なことだと思っています。
ー返品や交換については、どのような方針ですか?
ブランドのローンチ当初から返品は受け付けていました。天然石の個体差やリングのサイズ感は、オンラインだとどうしても不安がありますよね。なので、お客様にとって試すことを前提に買えるということは大きな安心感になります。
むしろ、個体差が気になる場合は「2、3点買っていただいて、ご自身にフィットしたものを選んでください」と提案することもあります。ECであっても試して選ぶという体験を大切にしたいと考えています。
ーRecustomer 導入前は、どのような課題がありましたか?
グループ会社のアガットが先行して導入しており、当時の社内DX推進室の担当者からの紹介をきっかけに、そのサービスを知りました。
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ーRecustomer 導入決め手は何でしたか?
Recustomerの方から「返品における顧客満足は、丁寧さよりもスピード感や分かりやすさ」というデータを見せていただいたんです。まさに日々感じている通りでした。
私自身、日々の対応の中でも、返品対応は時間をかけて丁寧にやり取りを重ねることよりも、お客様が迷わず、スムーズに、安心して手続きを完了できることのほうが、結果的に高い顧客満足につながると実感していたからです。
社内に提案する際は、主に4つの観点から説明しました。
まず1つ目は、お客様の利便性と顧客体験価値の向上です。返品手続きをストレスなく分かりやすいものにすることで、購入時の心理的ハードルを下げ、継続的なブランド接点の創出につながると考えました。
2つ目は、返品処理のリードタイム短縮です。これにより在庫の再販サイクルを早め、販売機会損失の抑制を目指しました。
3つ目は、返品データの定量的な蓄積と分析です。購入後の顧客インサイトを正しく把握することで、事業全体の改善へ活用できる点を行宣しました。
そして最後に、「人が担うべき業務」と「システムに任せるべき業務」の明確な切り分けです。定型業務を自動化し、創出したリソースを人だからこそ価値を発揮できるコア業務に再配分することで、業務全体の最適化と持続的な事業成長につながると主張しました。
ー導入はスムーズに進みましたか?
比較的スムーズでした。他のカスタマーサポートのスタッフや倉庫のスタッフへの導入も問題なく、管理画面のUIがシンプルなので、「ここのボタンを押すだけです」という説明で、みなさん迷うことなく操作できていました。ITツールに慣れている方ばかりではないのですが、最初からスムーズに使いこなしていただけました。
ー導入後の効果を教えてください。
定量面で見ると、まずカスタマーサポートへの問い合わせの約30%を占めていた返品関連の対応が、ほぼ削減されました。返品申請の約9割がRecustomer上で自動完結するようになっています。
リードタイムの短縮も大きな変化です。以前は返品完了までに最大2週間かかっていましたが、決済方法によっては最短3日で完了するケースも出てきました。
たとえば、土曜日にお客様が返品を申請すると自動で返送案内が送付され、日曜日にご返送いただいた商品が月曜日に倉庫へ到着・検品されます。その後、検品完了の操作と連動して決済システムから自動で返金処理が実行され、最短3日で一連のフローが完了します。
もう一つ注目しているのが、再購入に関するデータです。返品を利用されたお客様のうち約30%が再購入に至っており、そのうち約25%は7日以内に再購入されています。
データ分析によると、再購入までの平均日数は返品利用者で53日、非利用者では73日となっており、約20日の差が見られます。
ジュエリーは比較的購入サイクルが長い商材ですが、返品をスムーズに体験いただくことで、お客様の購買意欲が高い状態で次の購買につながりやすくなっていると感じています。その結果として、お買い物全体のサイクルが途切れにくい状態が生まれていると実感しています。
ー定性面ではいかがですか?
営業時間外の対応が可能になったことは大きな変化でした。お客様のライフスタイルに合わせた対応が可能になったことで、よりスムーズな体験提供につながっています。
もともと弊社では、金曜夜から日曜日にかけての問い合わせが月曜日に集中し、通常の2〜3倍に増加する状況がありました。全体の約6割が営業時間外の申請であり、対応負荷の偏りが課題となっていました。
ー特に便利だと感じている機能はありますか?
自動承認のフローと、データの活用ですね。特に効果を感じたのは、自動承認フローの導入と、データ活用のしやすさです。
Recustomerから出力されるデータは非常に整理されており、分析がしやすい点が大きなメリットでした。以前は、データをExcelにコピー&ペーストし、分析できる状態に整えるところから始める必要があり、1年分のデータを分析するだけでも丸一日かかっていました。しかし、現在では同じ分析を約3時間程度で完了できるようになり、分析業務の効率が大幅に向上しました。
データを活用してみてインパクトがあったのは、チェーンリングの返品率が突出して高いことを発見できた点です。商品別の返品理由を分析したところ、チェーンリングの「サイズ違い」が圧倒的に多いことが分かりました。
チェーンリングは構造上、通常のリングとは着用感が異なるため、普段通りのサイズで問題ない方もいらっしゃる一方で、小さく感じられるケースも多く、サイズ選びが難しいアイテムです。
そこで、商品ページに注意書きを追加するとともに、チェーンリングに特化した「トライアンドリターン」キャンペーン(返品送料無料のお試し施策)を実施しました。品番単位で施策を展開し、コストインパクトを抑えながらも実施することができました。
これはまさにデータを起点とした施策であり、従来の感覚では捉えきれなかった課題です。データを可視化し、定量的に課題を特定できるようになったことで、具体的な改善施策へとつなげることができました。
また、このようなデータを生産チームへのフィードバックにも活用しています。例えば、「この商品は本当に想定通りのサイズ感で作れているのか」「サイズ表記が実際の着用感と乖離していないか」といった確認につなげています。これまでは感覚的に捉えていた課題も、可視化することで、社内への説明や改善提案の説得力が大きく変わることを実感しています。
ー今後どのような取り組みに力を入れていかれますか
今後取り組みたいことは、修理対応のデジタル一元化です。実は、当社では返品に関するお問い合わせよりも、修理に関するお問い合わせの方が多い状況にあります。一方で、現在の修理対応はメールとExcelを中心としたアナログな運用が主体となっており、改善の余地が大きい領域です。
ジュエリーは長くご愛用いただくものだからこそ、メンテナンスや修理のタイミングは自然と訪れます。修理対応をスムーズに設計することで、お客様との関係を継続的に育むことができるだけでなく、その接点を通じて新たな商品やブランドの魅力を知っていただく機会にもつながると確信しています。
そのため、修理領域の顧客満足度向上に取り組み、購入後のアフターサービスも含めたブランド全体の顧客接点を最適化していきたいと考えています。また、Recustomerは購入履歴を活用できる基盤が整っており、システム連携の柔軟性も高いため、修理対応のデジタル化との親和性が高く、お客様に対して購入後もシームレスなサービスを提供できると考えています。
ー最後に、同じような課題を持つ企業へのメッセージをお願いします。
返品対応のコストや手間を負荷に感じている企業はもちろん、サイズ不安がある商材──デニムや靴、そして私たちのようなジュエリーを扱うブランドにも適していると考えています。
返品体験がスムーズになることで、お客様は「サイズが分からなくても、一度試してみよう」といった心理になりやすく、その結果として購買機会の広がりにもつながっていくのではないかと感じています。
返品データで可視化することで「返品があっても、その後の再購入につながっている」という実態も見えてきます。
返品体験を顧客体験の一部として設計することで、ブランドとお客様の関係はもっと良くなる。私はそう実感しています。
【編集後記】
Recustomerの返品データをAIツールと組み合わせて独自に分析し、チェーンリングの「トライアンドリターン」キャンペーンや、生産チームへの品質フィードバックにまでつなげている活用法は、私たちにとっても新しい発見でした。「返品データは宝の山」という言葉がありますが、中谷さんはまさにそれを体現されていると思います。
返品を「損失」ではなく「顧客との関係を深めるタッチポイント」として設計する。天然石の個体差と向き合い続けるジュエリーブランドだからこそ辿り着いた、返品体験の在り方がここにありました。
Q. Recustomer導入後、返品対応はどう変わりましたか?
返品に関するカスタマーサポートへの問い合わせは約30%削減され、返品申請の約9割がRecustomer上で自動完結するようになりました。
また、返品完了までのリードタイムも大幅に短縮され、従来の約2週間から、ケースによっては最短3日での完了が実現しています。例えば、土曜日の申請から日曜日の返送、月曜日の検品完了および自動返金という一連のフローが成立しています。
さらに、自動化によって創出されたリソースを活用し、お客様から得られたデータの分析に注力することで、マーケティングへの示唆提供、生産チームへのフィードバック、ECチームへの商品ページ改善提案など、ブランド価値向上に資する施策推進および社内へのナレッジ還元につなげています。
Recustomerでの返品利用者のうち約30%が再購入しており、そのうち約25%は7日以内に再購入しています。
また、再購入までの平均日数は返品利用者で53日、非利用者では73日となっており、約20日の差が見られます。
こうした傾向から、返金までのスピードが上がることで、お客様の購買意欲が高い状態のまま次の購入につながるサイクルが生まれていると考えています。
Q. 返品データはどのように活用されていますか?
Recustomerから出力したCSVデータを商品別・返品理由別に分析し、商品ページの改善や生産チームへの品質フィードバックに活用しています。たとえば、チェーンリングの返品率がサイズ違いを理由に突出して高いことをデータで発見し、商品ページへの注意書き追加や「トライアンドリターン(返品送料無料お試しキャンペーン)」の実施につなげました。また、以前は1年分のデータを抽出・分析するのに丸一日を要していましたが、現在は約3時間かからずで完了するなど、分析業務そのものの効率も大幅に改善しています。