OMO(オーエムオー)とは

OMO(オーエムオー)とは「Online Merges with Offline」を略した言葉で、日本語では「オンラインとオフラインの融合」という意味になります。
現在ではコンビニエンスストアで買い物するときには支払いをスマホで行ったり、店舗で見かけた商品をネットで購入したりといった、オフラインとオンラインとの融合が近年のテクノロジーの進歩と消費者のライフスタイルの変化により自然と行われるようになってきています。
そうしてあらゆる場面でオンライン化が進んでおり、オフラインだけしかない空間というのはなくなりつつあります。
オフラインとオンラインの境界をなくすことで、顧客に最適な体験を提供し、CXの向上が期待できる他、効率的にマーケティング施策を展開することが可能になります。
OMOはこのような現状を示す言葉として、元GoogleチャイナのCEO、現在シノベーションベンチャーズのCEO 李開復(リ カイフ)が提唱した言葉です。
まとめるとオンラインとオフラインとの区別はなく、両方が包含した新しい状態が「OMO」となります。
日本のオンライン普及率の現状
日本では下図のように2018年でキャッシュレスの支払い比率は24.1%で、2016年の世界各国の比較をみても各国から遅れをとっている状況にあります。

出典:キャッシュレス・ロードマップ2019
一方で下図によると日本のスマホ普及率は2019年で85%を越えています。

出典:【最新版】2019年のスマホ普及率を年代・地域・年代別に大公開!まさにスマホオンリー時代!マーケティングがこれからどう変わるべきか予想してみた。
特に60代では2013年7月にわずか17.9%だったスマホ普及率が2019年2月には68.5%と急激に伸びているのは「OMO」にとって朗報と言えます。
これらのデータから、日本では「OMO」はこれから普及していく状況にあると予想できます。
O2Oやオムニチャネルとの違い
OMOと似た言葉として、O2Oやオムニチャネルがあります。似たような概念の言葉でよく混同されて用いられますが厳密な定義は違います。OMO,O2O,オムニチャネルを概念図で表すと以下のようになります。

※弊社作成
O2O(オーツオー)とは?
O2Oは「Online to Offline(オンライン トゥー オフライン)」の略称になります。
オンラインからの働きかけで店舗での購入を促すように働きかけるマーケティング上の施策となります。
具体的にはメールやLINEで割引やポイントクーポンをユーザーに配信して店舗へお客様を誘導したり、メールマガジンやステップメールによってお客様と信頼関係を醸成して実店舗での購買行動に結びつけるというものです。
その他には、店舗の位置情報をネットで公開して来店しやすくしたり、商品の情報を詳細にネット上で公開してお客様の認知を高めたりといったことが行われています。
この施策の特徴としてクーポンの使用をカウントすることによって施策の効果を計ることができますので、特別な知識無しで効果測定が出来ます。
売上を上げる役割はオフラインの実店舗で、オンラインはお客様の行動を促すための役割を担っていることになります。
言い換えるとO2Oはオフラインである実店舗の売上を向上させるためにオンラインを活用する施策といえます。
オムニチャネルとは?
オムニチャネルのオムニはラテン語で「全て」を意味する言葉です。
つまり、オムニチャネルはお客様との接点となっているチャネルを全てシームレスに連携させて販売することを意味しています。実店舗やECサイト、カタログ通販など、どのチャネルでもお客様は同じように商品を購入することが出来て、同じようなサービスを受けることが出来ます。
在庫も統合されるので実店舗では買えるけどECサイトでは欠品となっているというようなことは起こらなくなります。
またお客様の情報は全てのチャネルで共有しているので情報伝達の不備が減少し、顧客満足度の向上が見込めます。
OMOの違いとは?
O2Oやオムニチャネルはオンラインとオフラインを分けた考え方で、商品やサービスを提供する側から見た概念といえます。
ユーザーとしてはネットで見かけた商品が気に入ったので、その場でスマホから購入して他の用事のついでに店舗で受け取るといったことをしたいのに、ネットで購入した場合は配送業者が配送してくれるまで待てというのは提供側の論理でしかありません。つまりユーザーはオンラインもオフラインも分けて意識はしておらず、ユーザーの都合でオンラインとオフラインを使い分けているのにすぎません。
OMOはそんなユーザー視点で見たオンライン×オフラインというどちらの概念も複合した言葉です。
ECサイトがOMOに取り組むべき理由

オムニチャネルの概念では全てのチャネルが同じ情報と在庫を共有していますので、各チャネルが切磋琢磨して売上を増大していくと考えるのは提供側の論理です。
しかしユーザーは各チャネルを分けて考えてはいません。商品を確認するのは実店舗で行って、購入はECサイトでするかもしれません。実際に商品を手に取って確認するのは家電量販店で、購入するのは価格比較のしやすいネットで行うという行動が今では当たり前のように行われています。
特に30代までの年齢層は物心ついた頃からネット環境があるのが当たり前のデジタルネイティブな世代なので、オンラインなのかオフラインなのかは意識せずに行動しています。
加えてスマホにはGPSをはじめとした様々なセンサーが搭載されていたり、顔認証システムが普及し初めているので、リアルな世界がネットに接続される「IoT(アイオーティー)」が構築され始めています。
実際に最近では新型コロナの影響で日本で遅れていた非接触(キャッシュレス)の決済システムの導入が進んでいます。
このようなIoTとキャッシュレスの進展により、ますますシステム的にもオンラインとオフラインの境目はなくなりつつあります。
現実の世界がオンラインとオフラインの境目がなくなりつつある中では、ECサイトと実店舗をそれぞれ競い合わせるのは時代にそぐわなくなっています。何もしなければお互いが売上げを食い合う結果となってしまいます。
あるべき姿としてオンラインとオフラインという区別ではなく、お客様とのリアルな設定を持つ実店舗とオンラインでの接点を持つECサイトをOMOという観点から見直しを行って役割を再定義し直す必要があります。
OMOに取り組む際の注意点

OMOに取り組む際に注意すべきことは購入したい商品やサービスを受け取るチャネルとしてオンラインかオフラインかはお客様にとっては関係ないということです。
実店舗での購入とECサイトでの購入はお客様にとってはUIの相違でしかありません。
OMOを取り組む際には具体的に以下の3点を注意して実施していく必要があります。
・ユーザー目線での最適な役割分担
・ユーザーとの接点を増やす
・ユーザー行動を蓄積する
①ユーザー目線での最適な役割分担
OMOに取り組む際はオンラインとオフラインをユーザー目線で最適な役割分担と配置をさせることが重要となります。
O2Oやオムニチャネルとの差異を自社で理解し、自社の都合主義ではないユーザーファーストな取り組みが求められます。
②ユーザーとの接点を増やす
ユーザーの目線を知るためには自社の商品やサービスに関わる主要なお客様との接点を産み出す必要があります。
オンラインではユーザの行動を取得するための様々なツールが提供されており実際に活用されていますが、オフラインでのデータはアナログ的な所があるので、これらのデータの効率的な収集が必要になってきます。
③ユーザー行動を蓄積する
スマホや店舗などに設置されたセンサーでオフラインでのお客様の行動データを取得して蓄積する必要があります。
蓄積されたデータをネットの行動データと併せて、PDCAサイクルを回す体制作りと方針が重要です。
OMO施策成功事例

オンラインとオフラインの購買を統合した生鮮スーパー「7FRESH」
中国小売最大手の京東集団(JD.com)傘下の生鮮スーパー「7FRESH」はオンラインとオフラインの購買を統合した生鮮スーパーです。
「7FRESH」の買い物カートには決済用の端末とディスプレイが付属した自走式のカートが搭載されており、ユーザーがカートのQRコードを自身のスマホで読み取るとカートは自動的にユーザーを追尾する仕組みです。
買い物が終わるとカートだけがレジに並び自動的に読み込んだユーザーのスマホアプリで決済が終わります。
そのまま帰宅すれば購買した商品を自宅に配送してもらうことも可能なスーパーです。
また、生鮮食品には産地や生産者などの情報が紐付けられていてトレーサビリティに関する情報を入手することが可能です。特に生鮮食品は賞味期限や消費期限を持つものなので時間短縮が重要となります。
生鮮食品を扱う企業はOMOを利用してユーザーの行動を観察してどれが売れ筋かを判断→素早く手配することが必要です。このような場面でOMOは非常に重要な役割を果たします。
株式会社ビームス

株式会社ビームスは、実店舗やECサイトを運営しているアパレル企業です。
同社はOMO施策として、実店舗とECサイトの顧客情報を一元管理を行なっています。
これまでは、実店舗を利用した顧客データは実店舗だけ、ECサイトを利用した顧客はECサイトだけでしか、顧客データを管理していませんでした。
しかし、実店舗を利用した顧客の多くはECサイトを利用して商品を購入した経験があることに気づき、実店舗とECサイトの顧客データを融合する施策を展開しています。
実店舗とECサイトを利用している顧客データを連携することで、どの顧客がどの店舗でどれくらい商品を購入したのか、などの細かい部分まで把握可能です。
例えば、顧客データを元に顧客の自宅から近い実店舗と商品をレコメンドし、実店舗で確認した後、ECサイトで購入するよう訴求しています。
また、オフライン環境でしか接客対応していないスタッフが、SNSなどでファッションに関する情報を発信し、顧客との接点を増やしています。
このように、オンラインとオフラインの顧客データを融合することで、顧客に最適な体験を提供できるでしょう。
カスタマイズ可能なコーヒーを提供する「TOUCH-AND-GO-COFFEE」

「TOUCH-AND-GO-COFFEE」はサントリーが運営しているコーヒーショップです。
通常のコーヒーショップですとユーザーは店頭で飲み物をオーダーしますが、「TOUCH-AND-GO-COFFEE」はLINEから事前に注文することが出来ます。決済もスマホ上でクレジットカードかLINE Payで行います。
受け取りは選択した時間に指定されたロッカーで行います。なのでユーザーはそのままオフィスへ出勤して自分の机で味わうことが可能です。コーヒー自体もボディ、タイプ、甘さ、フレーバーから自分の好きなものを選択してオーダー出来ます。因みにボトルには自分の名前を印刷したラベルを貼ってくれるという粋なサービスも人気の一つの要因です。
現在、日本橋の1店舗でサービスを行っています。
フィットネス×オンライン「ENERGY FIT」

ENERGY FITは株式会社イングリウッドが運営する女性限定のランニングジムです。
ユーザーにスマートデバイスを身につけてもらい心拍数をセンシングすることにより、身体への負荷状態が可視化され、その人に応じたトレーニングをカスタマイズすることが可能になっています。
お客様を呼び込むのに女性に影響力のあるインフルエンサーやブロガーにジムの利用をシェアしてもらうことにより、ジムを利用している女性が著名人と同じジムを利用しているという自尊心をくすぐるというフィットネス以外の付加価値を提供しています。また、オンラインレッスンとLINEを通じた食事サポートサービスを提供しており、その人の生活スタイルに合わせた食事改善も提案してくれます。
まとめ

OMOはオフラインを包含したオンラインという表現をされることがありますが、本質的にはお客様目線による商品やサービスの提供を目指すものです。
その目標を達成するためのオフラインデータを取得するためのセンシングと蓄積されたデータを活用するための人工知能などの技術がようやく整いつつある時代になっています。提供側の目線からお客様目線に切り替えて、自社の商品やサービスの提供方法を先端技術を使って再構築することが重要です。