
ARを試着のやり方の一つとして取り入れようとするうアパレル企業が増えています。ECサイトでの買い物では商品に対して自身が着用しているイメージを想像して購入を行っていました。しかし、このARという技術を使えばその着用しているイメージが可視化できるようになります。
本記事では、そんなAR試着でできることやメリット、導入事例、課題まで紹介します。
「AR試着とは?」
「AR試着のメリットって何?」
「AR試着の導入事例を知りたい!」
という方に必見の記事です!
そもそもARとは?

ARとは「Augmented Reality」の略でよく「拡張現実」と訳されます。
現実世界をベースにしながら、現実世界上にコンピューターグラフィックスや映像、テキスト、サウンドなどのデジタルコンテンツで作成された仮想世界を重ね合わせている技術です。
バーチャルの視覚情報を重ねて表示する事により、見える世界を仮想的に拡張する技術です。
ポケモンGOなどのようなアプリやSNOWのような撮影した顔に色々なデコレーションを加えるようなこともARの一つでしょう。
カメラを利用して活用できるので、アパレル業界などでも近年は活用されています。
VRとの違い
VRとは「Virtual Reality」の略でよく「仮想現実」と訳されます。
HMDと呼ばれるゴーグル型のディスプレイを頭部に装着することで、仮想空間を体験ができるなどが可能になるものです。
ゴーグルを装着するのが基本になるので、仮想空間に没頭できるため「自分がその世界にいる」ような体験ができるのです。
本当に体験できるような状態になるため、リハビリをゲーム感覚で実施できるようにしたり、VRを活用したゲーム、さらにはVRを使ったスポーツのトレーニングといった実用例があります。
そのふたつの違いとしてはARは「現実世界」が主体でコンテンツをシェアしやすく企業のマーケティングやプロモーション、EC業界などの利用が多いです。
一方、VRは「100%バーチャルの世界」であり体験をシェアしやすいといえます。
エンターテイメントやスポーツ、不動産といった実際に「自分がその世界にいる」といった体験が必要な業界の利用が多いです。
また、現実世界が主体ですが、仮想世界とも融合しているMR(複合世界)というものあります。
AR試着でできること

AR試着とはAR機能を利用した試着のことです。
ファッション業界における顧客の要望や不満は以下の通りです。
課題①:実店舗に出向かなくても自宅などでファッションやヘアメイクの試着をしたい。
課題②:オンラインショップだと色や質感、サイズ感など分かりにくい。
課題③:手持ちのファッションアイテムとのマッチングをチェックした上で新しいアイテムを購入したい。
課題④:様々なコーディネートのパターンを試したい。
これらの顧客の要望不満に対して、AR技術を導入することで解決が期待され、以下のような効果を得ることが可能になります。
課題①、③、④に対しては、
ファッションアイテムのブランドと提携したARアプリを使用することで、そのファッションアイテムや着用しているモデルを3D、360度の角度で自宅に居ながら確認することを可能にしたブランドがあります。
また手持ちのファッションアイテムを次々着替えて、AR試着を行うという事も可能です。
それらにより色んなパターンのコーディネートパターンを顧客の満足いくまで試すことができます。
課題②に対しては、
ユーザーが装着した場合のサイズ感や色合いのイメージチェックも可能となっています。専用メジャーなど、そのサービス専用の媒体を用いてより顧客にイメージさせやすくするサービスもあります。
またユーザーに似せたアバターが作成できるアプリもあり、選択したアイテムをユーザーと同じボディサイズのアバターが試着してくれたりもできます。
これらによりユーザーの試着イメージを想像させやすくでき、「分かりにくい」という不安感を解消できます。
AR試着を導入するメリット
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実店舗に行かずとも実店舗に近いレベルで試着の確認ができるので、ユーザーの試着の効率化が図れます。
またユーザーだけでなく店舗側もAR試着による効率化を狙うことが可能です。
それらAR試着のメリットは大きく分けて5つです。
時間や手間、試着スペースの削減
試着するための時間や手間は意外とかかってしまいます。
AR試着の導入でユーザーは自宅で店舗試着同等の確認ができる、試着室が空くのを待たなくていい、試着アイテムの脱ぎ着が不要になる、等の時間と手間が省かれることが考えられます。
店舗側は試着スペース確保、試着後の服を整頓して棚に戻す等の手間の削減が狙えます。
試着スペース分のコストカット、整頓に割く店員の人件費等の削減に繋がるでしょう。
また、AR試着は試着室を使わずにデジタルサイネージを活用するため、試着室分のスペースを売場スペースにして、顧客と商品の接点を増やせることができます。
顧客と商品の接点を増やすということはさまざまな商品を顧客に知ってもらえる機会を増やすことにもつなげることが可能です。
多くのアイテムを気軽に試せる
実店舗では顧客は試着に必要な時間や手間を少なくできることもあり、多くのアイテムを気軽に試せるようになります。
今まで「似合わない」と思って試着すらしてなかったアイテムも気軽に試すことができ、顧客がファッションを楽しめることで、顧客自身のファッションの幅を広げてくれます。
他にオンラインストアではさらにさまざまな商品との比較もしやすく複数点の商品のバランスなども同時に確認可能です。
店頭では体験しにくい比較も手軽に可能になります。
洋服以外にも、アクセサリーや小物といった店舗にいかないとイメージがつきにくい商品も気軽に試せるため、顧客としては安心してオンラインでの買い物が可能になります。
またヘアメイクごとにコーディネートを変えるといった場合にも、自宅であればすぐにメイクチェンジも可能です。メイクごとのファッションアイテムの試着ができます。
それらの、店舗では実現が不可能に近いことも可能になることで顧客の購買数、購買客単価も上がっていくことが期待されます。
返品率が下がる
オンラインでの購入の際「試着ができないのでフィット感がわからない」という大きな問題がありました。
そのため、自宅に商品が到着した時に「思ったイメージと違う」となってしまい返品率がおのずと高くなっていましたが、AR試着で色やサイズ、デザインの細部など、アイテムのイメージを実店舗での試着に近いレベルでの試着を行っているため「イメージ違い」といった認識のズレが少なくなり、顧客側も無駄な手間も削減可能で買い物をよりやりやすくすることが可能です。
特にオンラインでは返品率を下げることは非常に大切な問題になるので、その問題解決につながるということは、店舗側にも大きな利点があるといえます。
また、返品には送料の他にもさまざまなコストがかかるため、返品率低下は返品コスト削減にもつながるのです。
顧客体験の向上
AR試着はオンライン上と実店舗両方の顧客体験の向上につながるといえます。
オンライン上では「試着」という実際に店舗にいるような体験に近づける体験を提供可能です。実際に店舗にいるような体験につなげることで購入の可能性も高くなりますし、顧客としても新しい買い物のスタイルを楽しんでもらえるという体験を提供することができます。
実店舗ではAR試着をすることで店舗での新しい接客体験を提供することがすることができます。色々なアイテムの試着が気軽にできることや、お店にない取り寄せしないといけない商品も事前に試着してイメージを確認も可能です。
販売員に接客をされる方法も変化しますので、「接客をされる体験」も新しいものとして楽しんでいただけるようになります。
また、AR試着でのデジタルサイネージを利用しての見た目はとても目新しいものですのであり、通行人の来店につなげられるといった集客促進にもなります。
購入率向上
オンラインストアでの購入率が向上することにつながることもメリットです。
オンライン上でAR試着で顧客体験が向上するということは、ユーザーの購入に関する色々な悩みを解消して「購入するハードル」を下げることが可能になります。
「購入するハードル」を下げるということはオンラインストア上での購入率が上がり売上向上につながるでしょう。
AR試着導入例〜EC〜
AR試着のメリットを説明したところで、次は実際のECでの導入例を紹介していきます。
導入例は以下の4点です。
- HATRA
- GUCCI
- ロロジェム
- KARITOKE
HATRA
HATRAは2010年にスタートしたユニセックスブランドです。
HATRAはARアプリの「STYLY Mobile」との連携でバーチャルでの展示会を開催しています。
顧客は自宅にいながら新作を立体的に見ることが可能になりました。
3Dで細部まで確認ができるのでリアルなイベントの代用として展示会をおこない、オンライン上で受注会も実施しました。
コロナ禍で外出の自粛の空気を逆に活用しての新しい試みで顧客からも好評を得られました。
GUCCI
「GUCCI(グッチ)」はイタリアのファッションブランドおよび同ブランドを展開する企業です。GUCCIの公式アプリをダウンロードしたデバイスのカメラを向けるだけで腕時計やスニーカー、帽子等のバーチャル試着ができるサービスを展開させています。
リップやネイルなどコスメのAR体験も行うことができ、色合いのイメージを顧客自身の顔や手先で確認することができる。
GUCCI公式アプリはオンラインショップにリンクしており、試着からそのまま腕時計やリップなどファッションアイテムを購入する事も出来ます。
ロロジェム
「Lologem(ロロジェム)」は韓国のファッションAR技術会社です。ARアプリ「Lologem Jewelry Virtual App」の3DAR機能によって、ピアスやイヤリングのAR試着ができます。
自動認識した顧客の顔に対応したサイズでアクセサリーが表示されるため、サイズ感やフィット感の確認が可能です。
アプリ公開後、Lologemでは売上が前年比20%増と大きく実績を伸ばすことができました。
KARITOKE
「KARITOKE(カリトケ)」は高級腕時計の月額制レンタル専門店です。ARアプリ「KARITOKE・AR」では専用メジャーを実際に装着した顧客の腕をアプリ上で読み込み、大きさや色の違う腕時計の着用イメージを自宅で試せます。
腕の太さや腕時計の相性、スーツと腕時計とのコーディネートをチェックできます。
AR試着〜実店舗〜
ECサイトだけではなく実店舗にAR試着システムを設置しているブランドを紹介します。
ZARA
「ZARA(ザラ)」はスペインのファッションチェーン店でファストファッションブランドです。ARアプリ「ZARA AR」は2018年4月の一定期間限定で提供されていました。「ZARA AR」をダウンロードしたスマートフォンを店舗に設置されたグラフィックサイネージにかざすと、2018年春夏コレクションを身に付けたファッションモデルがバーチャルで動きました。
まるで本当にそこで歩き回ったり話したりしているかのような様子を覗えます。
SNSでシェアしやすいようにスクリーンショットや動画が撮影できる機能もあり、モデルが着用していた商品は公式サイトで購入できるようになっていました。
ARというデジタル技術を導入することで、「新しい事に挑戦し続ける」というブランドイメージを体現する狙いもあったようです。
このAR体験を導入したことでZARAは、顧客エンゲージメントを高めて入店客数を向上することができました。
calif
「calif(カリフ)」は渋谷PRCOのセレクトショップです。
「FXMirror」という鏡を店内に設置し、顧客が鏡の前に立ち、ファッションアイテムを選択するだけで着用イメージの確認ができます。
顧客自身の3Dアバターの作成もでき、「FXMirror」と自社アプリの連携を行えば、アバターで着せ替えを試すことも可能です。
顧客の動きに合わせたポージング、コーディネートに合わせたヘアスタイルのチェンジも可能です。
アバターは大人だけでなく試着を嫌がる子供のアバターも作れるので子供服を購入の際にも非常に助かるシステムといえるでしょう。
気に入った商品はQRコードをFXMirror上に出し、スマホで読み取ることで連携されたアプリ内で購入することができます。
アパレルブランドにとってAR試着導入はハードルが高い?

アクセサリーや、メガネ、髪色変更などは「デザイン」を重視している顧客が多いためイメージが掴みやすくAR試着であっても入り込みやすいです。また目や顔のトラッキング技術はある程度精度高く確立されてきたので、店舗側も導入ハードルが比較的低いとされます。
一方洋服ではデザインの他、重さやシルエット、生地感、そして質感など着ないと分からないことが多いと感じる顧客が多くいます。人間の関節や布の動きまで再現したAR試着はまだまだ技術的に難易度が高く、モバイルデバイスによるAR技術で顧客自身が試着している姿を自然に見せるのはまだ難しいようです。そういった事情もあり、店舗側も導入ハードルが高いと感じるようです。
海外で普及しているアプリ「Snapchat」では人間の関節まで含めた体の位置と動きを追跡するボディートラッキング機能を上半身のみ提供しています。
また上半身のボディートラッキングと併せ、顧客の上半身と下半身を認識し、ファッションアイテムを試着できる体験を開発しているため、洋服による3D試着サービスがモバイルデバイスのARで世に普及する日も近づいていそうです。
届いた商品を試着してみて、イメージが違う場合は返品可能にするという選択肢もあり、実際にそのようなサービスをおこない好評を得ている会社もあります。
広まる新たな試着方法

自宅で試着が1円(d fashion)【顧客】

「d fashion」とはdocomoが提供するインターネットファッション通販サイトです。
docomoが提供していると言ってもdocomo以外のユーザーでも、dアカウントさえあれば使用できるサービスです。サイズやイメージ違いによる返品を可能とし、商品配達完了日から9日以内なら返品可能です。返品送料は1円ですので、顧客の負担額たったの1円で自宅に居ながら試着ができます。
DROBE【顧客】

株式会社DROBEは2019年設立の、パーソナルスタイリングサービスを提供する企業です。
サービス名「DROBE(ドローブ)」はスタイリストが付き、顧客に合う商品を提案しお届けするサービスです。気に入ったものだけ購入し、不要なものは返品が可能です。
LINEが使えれば利用できるサービスで、顧客の要望や悩みを相談できます。
自分で洋服のコーディネートを考えられない方や考えるのが手間な方、または店頭で接客されることがあまり好きではないといった方には非常に良いサービスといえるでしょう。
着こなしのポイントまで記載してくれているため、試着してみて「どう着ればいいかわからない」といったオンラインで購入した際に起きる問題を解消もしてくれ返品率の低下につなげていくことが可能です。
スタイリストに選んでもらうのではなく、顧客自身で商品を選ぶこともできます。
自宅で試着(Recustomer)【企業】

Recustomer株式会社は2017年設立の、購入体験プラットフォームを提供する企業です。
サービス名「Recustomer(リカスタマー)」はECサイトを運営する企業に提供され、自社ECサイトにてお試し購入を可能にするサービスツールです。
試着時は0円で注文が可能で、商品配達日からお試し期限内に返送リクエストをファッションアイテムユーザーが返送リクエストを送れば、返品が可能です。
ユーザーの「ECサイトでは試着ができない」という不安を解消させることができます。
また、返送に伴いアンケートを実施して顧客のニーズを取得して今後のマーケティングに活用可能となっています。
まとめ

ファッション業界では「返品」が大きな問題になっています。
そんな中AR技術により、ファッション業界ではオンライン・実店舗とも大きな変化を遂げつつあります。
ひとりひとりに個別化させたAR試着体験は、ECサイトでの購買促進を実現するだけでなく、サイズや好みが合わない等の購入後のミスマッチによる返品率を改善する事に貢献してくれます。
顧客は店舗に行かずに、着脱の手間が不要で気軽に様々なアイテムを試すことができ、満足度の高い買い物が実現できるようになります。
店舗は大量に商品を並べたり、季節ごとに衣替えをしたりといったモノに頼った店舗施策から、「体験」をベースにしたコトへとシフトしていくでしょう。
導入こそハードルが高いものの、うまく活用すれば、「売上を伸ばし、コストを下げる」その両方に貢献できるARの存在はファッション業界においてますます重要になるでしょう。
試着方法の多様化が進んでいる中でAR試着は最先端とされ、まだまだ発展途上ではありますが、今までになかった非現実的な体験が可能になり、アイテムを選ぶ楽しさ気軽さが増していくでしょう。ファッション業界でのAR技術でどんな体験ができるのか、これからも注目される技術と言えます。