
ほとんどの業界で必ず出てくる業務が「問い合わせ対応」
最近では、従来の窓口対応やコールセンター、お問い合わせフォームの他に、サイトのチャット形式で問い合わせできるサービスも普及してきました。
本記事では、なぜ問い合わせ対応が今重要なのか、そして品質の良い問い合わせ対応のために必要な対策と有効なツールをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
問い合わせ対応の重要性
コミュニケーションシステムを開発するモビルス株式会社が2018年に実施した調査では、「お客様窓口の対応が、その企業のイメージや商品・サービスの購買に影響する」と回答した人は9割以上でした。
この調査から分かるように、現代の顧客にとって問い合わせ対応とは、企業やその商品・サービスを判断する大きな指標となっているのです。
問い合わせ対応に注力することで得られる具体的な効果を挙げていきます。
顧客満足度
顧客はサービスに対する期待値を潜在的に持っています。
提供するサービスがこの期待値を超えた場合のみ、顧客の満足度が向上するのです。
この法則を、問い合わせ対応に当てはめてみます。
例えば、現在契約している通信キャリアのプランに関して、疑問点が出てきたとします。
この場合、窓口に出向いた顧客の期待値は「疑問点が解決できるかどうか」になります。
そこで、対応するスタッフが、疑問点の解消だけでなく顧客にとってお得になるプランに
変更を勧めてくれたとしたら、顧客の期待値を超えるサービスを提供できたことになります。
問い合わせ対応は単なる疑問点解消の業務ではなく、対応品質によっては顧客の満足度を
容易に高めることのできる機会なのです。
他社との差別化
先述したモビルス株式会社の調査に戻ります。
問い合わせ対応が影響力を持つと回答した人々に対し、なぜそう思うか尋ねると、
以下のような理由が挙がりました。
・料金が高くても、企業に属する人との信頼関係で購入を決める。(30代)
・企業に属する人の言動で、その企業のイメージが作られる。(20代)
・お客様窓口の対応に、企業の経営姿勢が表れている。(60代)
(調査内容より抜粋)
この結果から、問い合わせ対応は特別なコストをかけずにできる企業ブランディングであることが分かります。
対応を見直すことで、企業や商品・サービスのファンを獲得できる手段となりうるのです。
サービス改善につながる
寄せられた問い合わせを利用すれば、自ずと商品やサービスを改善することができます。
例えば、製菓会社カルビーは2012年からじゃがりこLサイズをコンビニストア限定で販売開始しました。Lサイズ登場の背景には、消費者からの希望や問い合わせがあったためだと考えられます。安定した人気を誇るじゃがりこも、問い合わせを受けて改善された一面を持っているのです。
加えて、後述しますが、問い合わせ内容を分析してまとめることでFAQページを作成することができ、問い合わせ時間の省略に役立ちます。
問い合わせ対応の課題
2022年にトランスコスモス株式会社が実施したインターネット調査では、「カスタマーサポートを利用した際にストレスを感じた経験がある」と回答した人はおよそ60%にまで上りました。
また、カスタマーサポートに問い合わせてストレスを感じた場合、およそ44%が「サービスの解約をした」ということが分かりました。
顧客離れや企業のイメージダウンの原因となりうる問い合わせ対応がなぜ改善されにくいのか、原因を見てみましょう。
問い合わせ件数が多い
さまざまな商品やサービスの増加と問い合わせ方法の多様化により、対応する問い合わせ件数が増加しています。
これにより問い合わせの対応への時間が長くなり、顧客満足度が低下する原因となっています。
従来の手段であり、最も多く利用されている電話や専用フォームからの問い合わせに関しては、以下のような不満が挙げられました。
・対応までの待機時間が長い
・連絡が遅い
・待たされることにより、通話料や通信料がかかる
(先述のモビルス株式会社・調査内容より抜粋)
また、2018年のPR TIMES実施の調査によると、全体のおよそ70%が、問い合わせフォームからの返信は「即時〜24時間以内」が許容待機時間であると回答しています。
問い合わせ件数の増加により、返信までの待機時間の短縮が課題であることは明らかです。
対応品質のばらつきがある
先述したトランスコスモス社の調査では、問い合わせシステムを利用した際に感じたストレスの要因として、「問い合わせたが問題が解決しなかった」と回答した人が電話、専用フォームやメール、チャットシステムそれぞれの領域で20%〜30%以上いることが分かりました。
品質の低下の原因の1つとして、ベテランスタッフの不足が考えられます。
2019年度コールセンター実態調査では、「入社1年以内のスタッフの71%以上が離職した」と回答した企業が20%を超えるという結果となりました。
早期離職者の増加傾向によりベテランスタッフが不足し、質の良い問い合わせ対応の供給が不安定な状況にあるのです。
属人的な対応になっている
対応品質の話にも関連しますが、個人の対応スキルによって問い合わせの質が顧客に判断され、企業の評価が下されます。そのため、スタッフの育成と成長が問い合わせ対応の品質向上には欠かせません。
しかし、オペレーター育成の専任トレーナーがいる企業はおよそ43%しかないというデータが確認されており、教育体制やマニュアル構築が充分ではない側面が見てとれます。教育が追いつかず、ベテランスタッフに依存するしか方法がないため、属人的な業務体制となっているのが実情です。
原因と対策
問い合わせ対応の課題とそれらの原因を整理しておきます。
<原因1>商品やサービス、問い合わせ手段の多様化による問い合わせ件数の増加
→待機時間が長くなり、顧客満足度が低下する
<原因2>ベテラン人員の不足と不充分な育成システム
→対応品質が下がり、顧客離れが生じる
では、どうすればこれらの課題に対処できるのでしょうか。
対策を考える際、人員数の問題は避けられません。
人員数の増減は不安定であるため、対策で数を一時的に増加させることができたとしても、
すぐに元の状態に戻る可能性が高いです。
「人員を増やすこと」だけではなく、「人員数に左右されない体制の構築」も求められます。
この点を考慮すると、
・対応時間の削減
・人員以外の新たな対応先の設置
・対応品質の向上
・人員離脱の防止
これらを目的とした対策を立てることが無難と言えるでしょう。
FAQの構築
まず、対応時間の削減のためにできるだけ問い合わせ件数を抑える方法として、FAQサイトの構築が挙げられます。
モビルス社の2021年度利用実態調査では、問い合わせ前に自分で不明点を調べてみる人は97%にも上りました。
顧客の疑問点を分析して事前に情報をサイトにまとめておくことは、問い合わせ行為の発生を抑えるのに役立ちます。
チャットボットの導入
限られた人員の代わりやサポート役として、チャットボットの導入が進んでいます。
チャットボットでは、あらかじめ組み込まれたプログラムが顧客からの問い合わせに自動返答してくれるため、これまでオペレーターに集中していた問い合わせを分散させることができます。
また、調査によると、チャットでの問い合わせを経験したことのある人のうち、およそ90%が再度チャットを利用することに意欲的であると回答しました。
時間と場所の拘束がほとんどない点や、電話やフォームと比較して迅速な対応である点が評価されているようです。
待機時間の短縮と人員の代用、どちらに対しても有効な方法と言えますね。
サービス改善
上記に加え、根本として問い合わせ対応の品質を向上させることが課題解決の前提となります。
顧客満足度を高めるためには、問い合わせに対して迅速な取り組みを行なうことが求められます。
また、長期間勤務するスタッフが少ない傾向を踏まえると、ベテランスタッフへの依存ではなく、短期間でスタッフの対応能力を向上させるべきだと分かります。
これら2点に沿った対策を見ていきましょう。
〈問い合わせ対応時間の削減〉
まず、問い合わせ対応時間を短縮する方法についてです。
<i>問い合わせ管理ツールの導入
これまでは、問い合わせをMicrosoft社のExcelやメールなどで管理してきました。しかし、問い合わせ件数、問い合わせ手段、関わるスタッフ数の増加により、従来のツールのみでは情報の共有や管理が難しくなっています。
そこで、問い合わせ管理ツールの登場です。
さまざまな媒体から寄せられる問い合わせを1つのシステムで管理することができるため、顧客からの問い合わせへのリスポンスを迅速に行なうことができます。
さらに、対応履歴も確認できるため、過去と同一の問い合わせへスピーディーに対応できます。
<ii>対応自動化ツールの導入
自動化ツールを導入することも、対応時間の短縮には欠かせません。
人の介入がなくても行える単純な作業をツールに委託することで、担当する人員が充てられるまでの待ち時間が発生せず、スムーズに業務を完了することができます。
これにより、ツールでは解決できない複雑な問い合わせに対しては人員を速やかに充てることも可能となり、問い合わせを効率的に分担する体制が自然と出来上がります。
〈属人的な業務の削減〉
次に、属人的な業務体制からの脱却とスタッフの短期育成の方法についてです。
<iii>マニュアル作成
過去の問い合わせ内容や、商品・サービス内容の変更に伴う問い合わせ予想を利用してマニュアルを作成することで、ベテランスタッフが不在でも新人スタッフが対応できるようになります。また、専任トレーナーの有無に関わらず、マニュアルを用いたスタッフの教育が可能となります。
<iv>メール・電話テンプレートの作成
先ほどのマニュアルと同様に、メールや電話での問い合わせ対応時に向けてテンプレートを作成することで、人員的環境に影響を受けることなく、模範的な受け答えが新人スタッフでも可能となります。
<v>システム導入による対応の均一化
対応時間の短縮化の話でも挙げた問い合わせ管理システムの導入には、利点として情報共有の円滑化も含まれています。引き継ぎ作業の漏れ防止や、マニュアルとして問い合わせ対応方法の確認が同じシステム上で実現できるため、対応品質のムラがなくなります。
従業員満足度(ES)の向上
属人的な業務体系や人員数にとらわれない行動指針について述べてきましたが、良質な対応をするスタッフが業務から離脱しないための対策も必要です。
ここで注視するべきなのは、従業員満足度(ES)です。
企業理念への共感度や勤務環境・条件、仕事へのやりがいなどを調査したものであり、顧客満足度と共に重要視されつつある事項となっています。
満足度が高いスタッフは、自社のサービスや商品、そして自社自体に好感を持っているため、顧客へのより良い提案や説明に従事する傾向があります。つまり、スタッフの満足度の向上と対応品質の向上は比例するのです。
また、満足度を高めると離職のリスクも低下させることができるため、良質なスタッフの減少を防止することにもつながります。
積極的な社内交流の企画や共感できる企業理念・体制であるかの確認など、満足度を向上させる施策をとり、定期的に調査することが望ましいですね。
対応のポイント
これまでは、組織として実施できる対応品質の向上策を述べてきました。
一方で、スタッフ一人一人が個人として意識できる対応品質の向上策は何でしょうか。ポイントを考えてみます。
返信は24時間以内を心がける
先述した通り、顧客が問い合わせに対する返信を待つことができる時間は、多くの場合24時間以内です。超過すると顧客の不満が発生し、満足度が低下してしまいます。管理ツールを利用して優先すべき問い合わせを確認し、速やかな回答を心がけましょう。
自動返信メールの送信
回答までの待機時間が長くなってしまう場合を想定し、問い合わせ者に対する自動返信メールを送信設定しておくことも意識しておくべきポイントです。「現在問い合わせについて確認しています。」という旨を連絡するだけでも、顧客が抱く印象は違います。対応自動化ツールが既に導入されているなら、メール送信設定も容易いでしょう。
分からないものは答えない
問い合わせを早く終了させたいからといって、いいかげんな回答をしてしまうと当然トラブルへと発展します。回答すべき内容が曖昧である場合は、その場ですぐに結論を出すのではなく、事前に時間がかかることを顧客に伝えてから調べることが大切です。先述した自動返信メールを利用して、調査時間の確保に努めましょう。
顧客の問い合わせ内容を確認する
顧客の知りたい情報や問題を正確に理解して問い合わせに対応するためには、内容をきちんと確認することが重要となります。
ここで課題となるのが、顧客自身が問い合わせ内容の説明を充分にしていない場合です。例えば、Webフォームから「〇〇のサービスで不満な部分があるから改善してほしい。」という問い合わせが寄せられた場合、顧客はそのサービスの何に不満を抱いているのかが分からりません。そのため、電話やメールから再度アプローチし、メモをとりながら内容を深掘りして適切な対応をすることが求められます。
問い合わせ対応を効率化するツール
では、次に問い合わせ対応業務をサポートするツールやサービスを一部ご紹介します。
問い合わせ管理ツール:Zendesk

カスタマーサポートのリモートワーク化を支援するシステムとも言えるのが「Zendesk」です。
新型感染症の流行を受けて、サポートデスクもリモートワークへの切り替えが推奨されつつあります。Zendeskはクラウドサービスであり、自分のPCや通信機器からアクセスすることが可能なので、リモートワークにも最適です。
顧客からの問い合わせを「チケット」と呼び、チケットの履歴はクラウド上に保存されるため、FAQ作成や問い合わせへの迅速な対応に活かすことができます。
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販売元
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株式会社Zendesk
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公式サイト
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Zendesk
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導入価格
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19$〜
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チャットボット:KARAKURI

高性能なAIチャットボットを利用できることで有名なのが「KARAKURI」です。
顧客の問い合わせにAIが自動で回答することで、オペレーターの人員不足を補う役割を果たします。AIでの回答が難しい場合は、問い合わせのレベルによってオペレーターが充てられるよう連携できる「KARAKURI talk」という機能も兼ね備えており、顧客満足度を下げることのない工夫も凝らされています。
他にも、FAQとチャット内での問い合わせ内容を共有管理する「KARAKURI smartFAQ」や、可視化されていない顧客の不満を分析する「KARAKURI hello」など、サポートデスクの課題を広く解決できる機能が備わっています。
FAQツール:PKSHA FAQ

FAQ作成と管理を徹底するなら「PKSHA FAQ」が最適でしょう。
顧客が問い合わせ前に自分で調べてみる際、Googleなどから検索することが多いかと思います。これを踏まえ、PKSHA FAQでは他 Webプラットフォームから検索してもすぐに情報がヒットするよう、SEOなどを参考にしたキーワード検索エンジンを搭載しています。
また、企業向けの研修会やシステム導入後の運営サポートが充実しているため、FAQページの作成・運営に不慣れな企業でも安心して開始することができます。
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販売元
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株式会社PKSHA Communication
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公式サイト
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PKSHA FAQ
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導入価格
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要問い合わせ
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対応自動化ツール:Recustomer

オンラインショップでの一部業務を自動化できると、人員を適切な役割に充てることができます。「Recustomer」は、多くの企業に導入されている自動化ツールです。
ワンクリックでの商品購入や商品の自動追跡サービスなどを自動で担ってくれます。また、商品のキャンセルや返品・交換の自動化によってキャンセル条件や返品・交換条件を緩和することができ、顧客の購買意欲やサービス満足度の向上も促進できます。
2022年8月にはクレジット支払いのみ自動キャンセル可能だったシステムが変更され、自動キャンセルできる決済サービスの種類を拡大したことから、今後の発展もまだまだ期待できるツールと言えます。
まとめ
問い合わせ対応の課題と原因、そして課題に対応するさまざまなツールをご紹介しました。
商品やサービスの種類の拡大に伴い、顧客からの問い合わせは今後も増加することが予測されます。問い合わせに対応する際、どう対応するか、どれほど万全な体制が整っているかによって、他社との格差も生まれます。問い合わせ対応に向けてこの記事を参考にし、自社の促進を目指してみてください。