
オーソリ(Authorization、与信)とは、クレジットカード決済において商品代金分の利用限度額を一時的に確保する処理のことです。決済代行業者の間では「仮売上」とも呼ばれます。この時点では、購入者のカードに実際の請求はまだ発生していません。
ネットショッピングで「カードで支払った」と思っていても、その裏側では「お金を確保する予約(オーソリ)」と「実際に請求する確定(キャプチャ)」という2つの段階に分かれて処理が進んでいます。この仕組みを知らないと、EC事業者は「いつの間にか売上が消えていた」というトラブルに直面することがあります。
この記事では、EC決済の基礎である「オーソリ」について、専門用語をひとつずつかみくだきながら、仕組み・キャプチャとの違い・有効期限・2026年の変更点・事業者が知っておくべき注意点まで、はじめての方にもわかりやすく解説します。
この記事の要点(30秒で読める)
- オーソリ(仮売上)とは?:カードの利用限度額から商品代金分を一時的に確保する「予約」。請求はまだ発生しない
- キャプチャ(実売上)とは?:発送後に確保した金額を実際に請求する「確定」。これで売上になる
- 有効期限は?:2026年7月以降、国内発行カードは25日間、海外発行カードは7日間
- 切れるとどうなる?:自動キャンセルされ、確保枠が消える。発送が遅い商材は要注意
オーソリ(仮売上)とは
オーソリ(仮売上)とは、クレジットカードの利用限度額から、商品代金分の金額を一時的に「確保(キープ)」しておく処理のことです。英語の Authorization(承認・与信)が語源で、「与信」と訳されることもあります。
たとえば、あなたが10,000円の商品をカードで注文したとします。このとき、お店(EC事業者)はカード会社に「この人のカードから10,000円を確保してください」とお願いします。これがオーソリです。カード会社は「この人は10,000円使えますよ。確保しておきます」と返事をしますが、この段階では購入者の口座やカードに実際の請求(引き落とし)はまだ発生しません。
イメージとしては、ホテルやレストランの「予約」に近いものです。席や部屋を「予約」した時点ではお金は払いませんが、その分の枠は他の人に取られないよう確保されています。オーソリも同じで、「この10,000円分は後で必ず請求します」という予約をしている状態です。
▼オーソリでよく使われる用語
| 用語 |
読み方・意味 |
| オーソリ |
Authorization(オーソリゼーション)の略。利用限度額の一時確保。「仮売上」「与信」と同じ意味 |
| 仮売上 |
オーソリの日本語表現。金額を確保しただけで、まだ売上が確定していない状態 |
| キャプチャ |
Capture。確保した金額を実際に請求して売上を確定する処理。「実売上」と同じ意味 |
| 実売上 |
キャプチャの日本語表現。請求が確定し、正式に売上となった状態 |
オーソリとキャプチャ(実売上)の違い
オーソリ(仮売上)は「お金を確保する予約」、キャプチャ(実売上)は「実際に請求する確定」です。ECサイトのカード決済は、この2つの処理が順番に行われることで成り立っています。
キャプチャ(実売上)とは、オーソリで確保しておいた金額を、実際に購入者のカードに請求して売上を確定させる処理のことです。多くのEC事業者は、商品を発送するタイミングでキャプチャを行います。
これにより「発送できなかった商品の代金を請求してしまう」という事態を防げます。
▼オーソリとキャプチャの違い
| 項目 |
オーソリ(仮売上) |
キャプチャ(実売上) |
| 役割 |
金額を確保する予約 |
実際に請求する確定 |
| 行うタイミング |
注文時(カート確定時) |
発送時(出荷確定時) |
| 購入者への請求 |
まだ発生しない |
発生する(売上確定) |
| 利用限度額 |
その分だけ一時的に減る |
確定して請求に回る |
| キャンセル時 |
確保を取り消すだけ(返金不要) |
返金処理が必要になる |
つまり、注文の段階では「オーソリ(予約)」だけを行い、商品の発送が確定したら「キャプチャ(請求)」を行うのが、EC決済の基本的な流れです。
なぜオーソリとキャプチャの2段階に分かれているのか
2段階に分かれている最大の理由は、注文時点ではまだ「本当に発送できるか」が確定していないからです。もし注文と同時に請求まで完了させてしまうと、後でキャンセルや変更が起きたときに、返金という手間とコストのかかる処理が必要になります。2段階方式によって、EC事業者は次のような状況に柔軟に対応できます。
1. キャンセルへの対応
注文後に購入者がキャンセルした場合、まだキャプチャ(請求)していなければ、オーソリ(予約)を取り消すだけで完了します。請求済みの場合に必要な「返金処理」が発生しないため、事業者・購入者の双方にとって手続きがシンプルです。
2. 金額変更への対応
「送料が後から確定する」「一部の商品が在庫切れで金額が変わる」といったケースでも、発送が確定してから正しい金額でキャプチャできます。注文時に請求まで終えていると、こうした調整がしにくくなります。
3. 予約販売・受注生産での必要性
予約商品や受注生産品(オーダーメイド品)のように、注文から発送まで数週間〜数ヶ月かかる商材では、「先に金額を確保しておき、商品が用意できてから請求する」という流れが不可欠です。オーソリは、この「先に確保しておく」役割を担っています。
オーソリの有効期限
オーソリ(仮売上)には有効期限があり、2026年7月以降、Visa・Mastercardの国内発行カードでは25日間に短縮されます。従来は決済代行会社にもよりますが最長で60〜90日間程度確保できていました。海外発行カードはさらに短く、最大7日間に制限されます。
▼変更されるオーソリの有効期限
| 対象 |
従来の有効期限 |
2026年7月以降 |
| 国内発行カード |
最長60〜90日間 |
25日間 |
| 海外発行カード |
同上 |
7日間 |
この「国内25日・海外7日」への短縮は、EC業界で「25日ルール」と呼ばれており、不正利用対策の強化やVisaの国際ルール統一を背景に、2026年7月から段階的に適用されます。予約販売や受注生産を行う事業者に大きな影響があるため、別記事で詳しく解説しています。
もっと詳しく知りたい方へ
「25日ルール」の背景・影響範囲・対策については、【2026年7月】オーソリ25日ルールとは?で徹底解説しています。
オーソリが切れるとどうなるか
有効期限を過ぎたオーソリ(仮売上)は、決済代行サービス側で自動的にキャンセルされ、確保していた金額の枠が解放されます。つまり「予約」が無効になり、その商品の代金を請求できなくなってしまうのです。
たとえば予約商品を販売していて、入荷・発送までに30日かかったとします。オーソリの有効期限が25日であれば、発送する前にオーソリが切れてしまい、いざ請求しようとしても「確保枠がもうない」状態になります。この場合、EC事業者は次のいずれかの対応を迫られます。
- 購入者に再決済を依頼する ― 改めてカード情報を入力してもらう必要があり、購入者の離脱(「やっぱりキャンセル」)につながりやすい
- 再オーソリ(再与信)を行う ― 期限が切れる前に、新しいオーソリを取得し直して与信を維持する(後述)
再決済を依頼すると、購入者のカード限度額が不足していたり、購入意欲が下がっていたりして決済に失敗するリスクが高く、せっかく確定していた売上を丸ごと失うことにもなりかねません。発送までに時間がかかる商材ほど、オーソリ切れ対策は重要です。
再オーソリ(再与信)とは
再オーソリ(再与信)とは、オーソリの有効期限が切れる前に、新たなオーソリを取得し直して与信を維持する処理のことです。
有効期限が来る前に「予約を取り直す」ことで、発送までに時間がかかってもオーソリ切れによる売上消失を防げます。
GMOペイメントゲートウェイやSBペイメントサービス等の決済代行会社が再オーソリ用のAPIを提供しています。ただし、これらはあくまで「再オーソリを1回行う部品」であり、予約販売で必要となる「期限前に自動で繰り返し再オーソリし、発送が確定したら自動で停止して請求に切り替える」という一連の自動化の仕組みは、別途構築が必要です。
再オーソリの仕組みと注意点を詳しく
再オーソリの具体的な実装方法や、自動化にまつわる特許リスクについては、再オーソリ(再与信)とは? 仕組みと自動化の方法を解説で解説しています。
EC事業者が知っておくべきオーソリの注意点
オーソリの扱いには、カードの種類や認証方式によっていくつかの注意点があります。特に以下の3点は、トラブルを避けるために押さえておきたいポイントです。
1. デビットカードは即時引き落とし
クレジットカードのオーソリは「確保するだけ」で請求は後ですが、デビットカードはオーソリの時点で即時に銀行口座から引き落とされる点が大きく異なります。そのため、キャンセルや金額変更があった場合は、すでに引き落とした金額を返金する処理が必要になります。
予約販売など発送まで時間がかかる商材では、購入者の口座から長期間お金が引き落とされたままになり、クレームにつながることもあります。
2. 3Dセキュア(本人認証)との関係
3Dセキュア(3-D Secure、本人認証サービス)とは、カード決済時に追加のパスワードやワンタイムコードで本人確認を行う不正利用対策の仕組みです。2025年4月から全EC事業者に3Dセキュア2.0の導入が義務化されました。3Dセキュアによる本人認証は、オーソリ(与信)を取得する前の段階で行われます。認証が通って初めてオーソリに進むため、認証に失敗すると注文自体が成立しません。
3. 海外発行カードの期限制限
前述のとおり、海外発行カードのオーソリ期限は最大7日間と、国内発行カード(25日間)よりも大幅に短く設定されています。越境ECや海外からの顧客が多いストアは、国内基準で運用しているとオーソリ切れが頻発する恐れがあるため、特に注意が必要です。
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よくある質問
Q. オーソリとは何ですか?
オーソリ(Authorization、与信)とは、クレジットカード決済で商品代金分の利用限度額を一時的に確保する処理です。「仮売上」とも呼ばれ、この時点では購入者への実際の請求は発生しません。
Q. オーソリの有効期限は何日ですか?
2026年7月以降、Visa・Mastercardの国内発行カードは25日間です。従来は最長60〜90日間でした。海外発行カードはさらに短く最大7日間に制限されます。
Q. オーソリとキャプチャの違いは?
オーソリ(仮売上)は「お金を確保する予約」で請求は発生しません。キャプチャ(実売上)は「実際に請求する確定」で、これにより売上になります。多くの事業者は発送時にキャプチャを行います。
Q. なぜ2段階に分かれているのですか?
注文時点では発送できるか確定していないためです。先に金額を確保(オーソリ)し、発送が確定してから請求(キャプチャ)することで、キャンセルや金額変更に柔軟に対応でき、予約販売にも使えます。
Q. オーソリが切れたらどうなりますか?
決済代行サービス側で自動キャンセルされ、確保枠が解放されます。売上を確定するには再決済か再オーソリが必要で、発送まで時間がかかる商材では売上消失のリスクがあります。
Q. 再オーソリ(再与信)とは何ですか?
有効期限が切れる前に新たなオーソリを取得し直して与信を維持する処理です。発送までに25日以上かかる予約販売などで、オーソリ切れによる売上消失を防ぐために使われます。
Q. デビットカードでもオーソリは行われますか?
行われますが、デビットカードはオーソリの時点で即時に口座から引き落とされる点がクレジットカードと異なります。キャンセル時は引き落とし済み金額の返金処理が必要です。
Q. 海外発行カードのオーソリ期限は?
最大7日間です。国内発行カード(25日間)より短く、PAY.JP等は7日超のリクエストを自動短縮します。越境ECは特に注意が必要です。
まとめ
- オーソリ(仮売上)とは、カードの利用限度額から商品代金分を一時的に確保する「予約」の処理。この時点で請求は発生しない
- キャプチャ(実売上)は、確保した金額を実際に請求して売上を確定する処理。多くは発送時に行う
- EC決済は「オーソリ(予約)→ キャプチャ(確定)」の2段階で処理される
- 2段階に分かれているのは、キャンセル・金額変更・予約販売に柔軟に対応するため
- オーソリの有効期限は、2026年7月以降国内25日間・海外7日間に短縮される(25日ルール)
- 有効期限を過ぎると自動キャンセルされ、確保枠が消えて売上消失のリスクがある
- 再オーソリ(再与信)は、期限切れ前に与信を取り直して売上消失を防ぐ処理
- デビットカードは即時引き落とし、3Dセキュアは与信前に認証、海外カードは期限7日と、それぞれ注意点がある
- 発送まで時間がかかる商材ほど、オーソリ切れ対策が売上を守るカギになる
出典・参考文献
- 一般社団法人日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害の発生状況」
- Visa「Visa Core Rules and Visa Product and Service Rules」
- PAY.JP「海外発行カードで取得できるオーソリ期限を「最大7日まで」に制限いたします」
- 経済産業省「クレジットカード・セキュリティガイドライン」(3Dセキュア2.0義務化)
- GMOペイメントゲートウェイ「クレジットカード決済の仮売上・実売上について」