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  • Ryosuke Yamazumi

【2026年版】Visa・Mastercard ルール変更一覧 — EC事業者が知るべき全変更点と対策

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2026年にVisa・Mastercardが実施するルール変更とは、クレジットカード決済の安全性を高めるために、オーソリ(仮売上)の有効期限短縮、カード有効性確認目的の仮売上処理の禁止、チャージバックや不正利用モニタリングの厳格化を一斉に進める一連のブランドレギュレーション改定のことです。

 

これらは2026年4月から9月にかけて段階的に発効し、すべてのEC事業者が何らかの対応を迫られます。

 

特に影響が大きいのが、2026年7月から始まるオーソリ有効期限の25日短縮です。予約販売・受注生産・入荷待ちなど発送までに時間がかかる事業者は、発送前にオーソリが自動キャンセルされ、売上を失うリスクに直面します。ec-force、カラーミーショップ、PAY.JPなどの主要プラットフォームは既に緊急告知を出しており、対応は待ったなしです。

 

この記事では、2026年に施行されるVisa・Mastercardのルール変更を時系列の一覧表で整理し、各変更点の内容・影響・対策を網羅的に解説します。最後に、EC事業者が今すぐやるべき対応チェックリストもご用意しました。

 

この記事の要点(30秒で読める)

  • 2026年7月〜: オーソリ有効期限が60-90日→25日に短縮。海外発行カードは7日
  • 2026年8月〜: 海外発行カードの7日制限を決済代行が順次反映(PAY.JP等)
  • 2026年9月30日〜: カード有効性確認目的の仮売上処理が禁止
  • 継続: 3Dセキュア2.0義務化、チャージバック対応期限の短縮(CE3.0活用が鍵)

 

 

1. 2026年のVisa・Mastercard主要ルール変更の全体像

2026年のルール変更は、4月のVAMP閾値引き下げに始まり、7月のオーソリ25日短縮、8月の海外カード7日制限、9月30日の仮売上禁止という時系列で施行されます。

 

EC事業者は、自社の商材・決済構成に応じて優先順位をつけて対応する必要があります。

 

▼ルール変更スケジュール

時期 変更内容 主な影響範囲
2026年4月1日 VAMP(不正・チャージバック統合監視)の過剰閾値を2.2%→1.5%に引き下げ、違反金1件8米ドル 全EC事業者(特に不正・異議申し立て率が高い事業者)
2026年7月 オーソリ有効期限を最長25日に短縮(超過分は自動キャンセル) 予約販売・受注生産・入荷待ち等、発送まで25日超の事業者
2026年8月 海外発行カードのオーソリ期限を最大7日に制限(PAY.JP等が反映) 越境EC・海外顧客を持つ事業者
2026年9月30日 カード有効性確認目的の仮売上処理を禁止 少額オーソリでカード有効性をチェックしている事業者
継続(2025年4月〜) 3Dセキュア2.0の義務化・運用強化 全EC加盟店
継続(2025〜2026年) チャージバック対応期限の短縮・CE3.0等の整備

チャージバックが発生する全事業者

 

2. オーソリ有効期限の短縮(25日ルール)

2026年7月以降、Visa・Mastercardのオーソリ(仮売上)有効期限が従来の最長60〜90日間から25日間に短縮されます。25日を超えた仮売上は決済代行サービス側で自動キャンセルされ、EC事業者は購入者に再度決済を依頼する必要が生じます。これがいわゆる「25日ルール」です。

 

オーソリとは、クレジットカード決済で商品代金分の利用限度額を一時的に確保する処理(仮売上)で、商品発送後に「キャプチャ(実売上)」して請求を確定させます。25日ルールにより、注文から発送までに25日以上かかるビジネスモデルでは、発送前にオーソリが切れてしまうのです。

 

項目 変更前 変更後(2026年7月〜)
仮売上の有効期間 最長60〜90日間 25日間
海外発行カード: 7日間
期限超過時 決済代行会社により異なる 自動キャンセル

 

影響を受けるのは、予約販売(Pre-order)・受注生産(Made to Order)・入荷待ち(Back in Stock)・お取り置きなど、注文〜発送に25日以上かかる事業者です。対策は「手動で再オーソリ」「出荷前に1回だけ自動再オーソリ」「自動再オーソリソリューションの導入」の3つで、月50件超の予約販売では自動化が事実上必須になります。

 

なお、自動で繰り返し再オーソリし出荷検知で停止する制御ロジックはRecustomer社が特許(第7721200号)を取得しており、独自開発には特許侵害リスクがある点に注意が必要です。

 

関連記事: 25日ルールの背景・影響・対策・特許リスクを詳しく解説しています。
【2026年7月開始】オーソリ25日ルールとは? Visa・Mastercardの仮売上期限短縮でEC予約販売に何が起きるか

 

3. 海外発行カードの7日制限

海外発行カードのオーソリ有効期限は最大7日間に制限されます。PAY.JPは2026年8月から、海外発行カードに対して7日を超えるオーソリ期限のリクエストを自動的に7日に短縮して返却する仕様変更を予定しています。

 

国内カードの25日に対し、海外カードはさらに厳しい運用です。

 

▼地域別オーソリ処理の違い

カード発行地域 オーソリ期限 7日超リクエスト時
日本国内発行 最大25日間 リクエスト通り
海外発行 最大7日間 7日に自動短縮

 

7日を超えて売上確定した場合、「オーソリ未取得」を理由としたチャージバック(売上の強制返金)が成立します。越境ECや訪日客向けに販売しているストアは、海外カードの決済フローを早めに見直す必要があります。

 

4. カード有効性確認目的の仮売上処理の禁止(2026年9月30日〜)

2026年9月30日以降、売上を目的としないカード有効性確認のための仮売上処理が禁止されます。これまで多くのEC事業者やサブスクリプション事業者は、新規登録時などに「100円オーソリ→即キャンセル」のような少額仮売上でカードが有効かをチェックしていましたが、この手法が使えなくなります。

 

代替手段として、Visa・MastercardはAccount Verification(口座確認)という専用のメッセージ種別を用意しています。これは金額ゼロ(または極小額)でカードの有効性のみを確認する仕組みで、各決済代行業者が専用ツールとして提供します。

 

▼少額オーソリに関するルール変更

確認手段 2026年9月30日以降
少額オーソリによる有効性チェック 禁止
Account Verification(口座確認) 推奨(決済代行の専用ツール)

 

サブスクリプションサービスや、後日課金型のサービスを運営している事業者は、登録フローでの有効性確認ロジックを決済代行のAccount Verification対応APIに切り替える必要があります。

 

5. 3Dセキュア2.0の強化

2025年4月から、原則すべてのEC加盟店に3Dセキュア2.0(EMV 3-Dセキュア)の導入が義務化されており、2026年もその運用強化が続きます。

 

これは「クレジットカード・セキュリティガイドライン【6.0版】」(経済産業省・クレジット取引セキュリティ対策協議会、2025年3月)に基づく業界全体の方針です。

 

3Dセキュア2.0は、カード会社が取引のリスクを判定し、高リスクと判断した取引にのみワンタイムパスワード等の追加認証を求める本人認証の仕組みです。1.0と比べてかご落ちリスクが大幅に軽減されています。

 

未対応のリスク

  • 加盟店の新規申請・契約更新の審査で不利になる
  • 決済代行会社から決済利用を停止される可能性
  • 不正利用発生時のチャージバックを全額負担するケースが増加

 

Visaは加盟店の不正取引を監視するプログラム(後述のVAMP)を運用しており、3Dセキュア2.0の適切な運用は、不正利用率を抑えてこの監視プログラムの閾値を下回るためにも重要です。

 

6. チャージバックルールの厳格化

Visa・Mastercardは2025〜2026年にかけて、チャージバック(売上の強制返金)への対応期限を短縮し、ペナルティ構造を強化しています。

 

米国では一部の異議申し立てに対する加盟店の応答期限が、従来より大幅に短い約9日まで圧縮されたケースもあります。

 

Compelling Evidence 3.0(CE3.0)

2026年4月以降、加盟店はVisaのCompelling Evidence 3.0(CE3.0)をOrder Insight内で利用できます。

 

これは、過去に同一顧客が異議申し立てなく商品・サービスを受領した取引履歴を「説得力のある証拠」として自動提出し、不審なチャージバックに反証する仕組みです。

 

▼Compelling Evidence 3.0のポイント

項目 内容
対象 不正理由コード10.4(不正利用)のチャージバック
仕組み 過去の正当な購入履歴(IPアドレス・配送先・デバイスID等の一致)を証拠として提出
メリット CE3.0で解決したチャージバックはVAMP比率の計算から除外される

 

RDR(Rapid Dispute Resolution)やVerifi CDRNといった「事前異議解決ツール」で解決した異議も、VAMPの比率計算から除外されます。チャージバックの「発生件数を減らす」だけでなく、「監視指標への影響を抑える」観点でも、これらのツールの整備が重要になっています。

 

7. 不正利用モニタリングプログラムの強化(VAMP)

VAMP(Visa Acquirer Monitoring Program)は、旧VFMP(不正監視プログラム)とVDMP(チャージバック監視プログラム)を統合した不正利用モニタリングの新枠組みで、2026年4月から閾値が大幅に厳格化されます。

 

2025年4月に両プログラムが統合され、TC40(不正報告)とTC15(チャージバック)を合算した比率で加盟店を監視します。

 

▼不正利用モニタリングプログラム

項目 変更前 2026年4月1日〜
Excessive(過剰)閾値 2.2% 1.5%
監視対象の下限件数 月1,000件 月1,500件
違反金 1件あたり8米ドル(猶予期間なし)

 

VAMP比率は「(不正報告件数+チャージバック件数)÷ 総決済件数」で計算され、カード非対面(CNP=ECサイト等)取引が対象です。不正と異議申し立ての両方が一本化されたため、片方が良好でももう片方が悪ければ閾値を超えてしまいます。

 

前述のCE3.0・RDR・CDRNで解決した分は比率から除外されるため、これらのツール活用が監視回避の鍵になります。

 

8. EC事業者が今すぐやるべき対応チェックリスト

2026年のルール変更に備えて、EC事業者は以下の5つのアクションを今すぐ実行すべきです。

 

▼対応チェックリスト

  1. 注文〜発送リードタイムの棚卸し: 25日を超える商品(予約販売・受注生産・入荷待ち等)があるか確認。あれば再オーソリ対応が必須
  2. 決済代行・カートの対応状況確認: ec-force、カラーミーショップ、PAY.JP、GMO等の告知を確認し、再オーソリ機能・Account Verification対応の有無をチェック
  3. 25日以内の実売上完了フロー or 自動再オーソリの導入: 発送が遅い商材は、出荷直前の再オーソリ運用、または特許取得済みの自動再オーソリソリューション導入を検討
  4. 3Dセキュア2.0の導入確認: 未対応なら最優先で対応。契約停止・チャージバック全額負担リスクを回避
  5. チャージバック対策の整備: CE3.0・RDR・CDRN等を整備し、VAMP比率(1.5%未満)を下回る運用体制を構築。少額オーソリでの有効性確認はAccount Verificationへ移行

 

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よくある質問

 

Q. 2026年のVisa・Mastercardのルール変更とは何ですか?

主な変更は、(1)オーソリ有効期限の25日短縮(7月〜)、(2)海外発行カードの7日制限(8月〜)、(3)カード有効性確認目的の仮売上禁止(9月30日〜)、(4)3Dセキュア2.0の強化、(5)チャージバックルールの厳格化、(6)不正監視プログラムVAMPの閾値引き下げ(4月〜)の6項目です。

 

Q. オーソリの有効期限は2026年から何日になりますか?

2026年7月以降、Visa・Mastercardのオーソリ有効期限は最長25日間に短縮されます。従来は60〜90日間でした。海外発行カードはさらに短く7日間に制限されます。

 

Q. カード有効性確認目的の仮売上処理の禁止とは?

2026年9月30日以降、売上目的でない有効性確認のための仮売上処理が禁止されます。少額オーソリによるチェックは使えなくなり、Account Verification(口座確認)等の専用手段への移行が必要です。

 

Q. 3Dセキュア2.0はいつ義務化されましたか?

2025年4月から、クレジットカード・セキュリティガイドライン6.0版に基づき、原則すべてのEC加盟店に導入が義務化されました。未対応は決済代行会社との契約停止リスクがあります。

 

Q. VAMPとは何ですか?2026年に何が変わりますか?

VAMPはVisaの統合不正監視プログラムです。2026年4月1日から過剰閾値が2.2%→1.5%へ引き下げられ、超過取引1件あたり8米ドルの違反金が課されます。

 

Q. Compelling Evidence 3.0とは何ですか?

過去に同一顧客が異議なく商品を受領した取引履歴を証拠として提出し、チャージバックに反証するVisaの仕組みです。CE3.0で解決した不正理由コード10.4のチャージバックはVAMP比率から除外されます。

 

Q. 海外発行カードのオーソリ期限は?

最大7日間です。PAY.JP等は2026年8月以降、7日超のリクエストを自動短縮します。期間超過の売上確定はチャージバックリスクがあります。

 

Q. EC事業者は何から対応すべきですか?

(1)注文〜発送リードタイムの棚卸し、(2)決済代行・カートの対応状況確認、(3)25日以内の実売上完了フロー or 自動再オーソリ導入、(4)3Dセキュア2.0の導入確認、(5)チャージバック対策の整備、の5つが優先アクションです。

 

まとめ

  • 2026年7月〜、Visa・Mastercardのオーソリ有効期限が60-90日→25日に短縮。超過分は自動キャンセル
  • 海外発行カードは7日間に制限。越境ECは2026年8月から特に注意
  • 2026年9月30日〜、カード有効性確認目的の仮売上処理が禁止。Account Verificationへ移行
  • 3Dセキュア2.0は2025年4月から義務化。未対応は契約停止・チャージバック全額負担リスク
  • チャージバック対応期限が短縮。CE3.0・RDR・CDRNの整備が反証と監視回避の鍵
  • 不正監視プログラムVAMPの過剰閾値が2026年4月から2.2%→1.5%へ。違反金は1件8米ドル
  • 予約販売の自動再オーソリは特許(第7721200号)で保護。独自開発は法的リスクあり
  • 今すぐ5つのアクション(リードタイム棚卸し・カート確認・再オーソリ・3DS・チャージバック対策)を始めるべき

 

出典・参考文献

  1. カラーミーショップ「VISA・Mastercardのルール変更に伴うクレジットカード決済の仕様変更について」(2026年6月5日)
  2. ec-force「Visa / Mastercard のブランドレギュレーション強化についてのご案内
  3. PAY.JP「海外発行カードで取得できるオーソリ期限を「最大7日まで」に制限いたします」(2026年3月)
  4. Chargebacks911「Visa Authorization Rules: Changes to Time Frames & Options
  5. Chargebacks911「Visa Acquirer Monitoring Program (VAMP): Major Visa Updates in 2026
  6. cside「VAMP 2026: Visa's New Thresholds and How to Survive Them
  7. 経済産業省・クレジット取引セキュリティ対策協議会「クレジットカード・セキュリティガイドライン【6.0版】」(2025年3月)
  8. 一般社団法人日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害の発生状況」(2024年: 被害額555.0億円)

 

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