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  • Ryosuke Yamazumi

分納・分割発送の予約販売決済 ― SKU別オーソリ期限管理と部分キャプチャの実務

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分納(分割発送)とは、1つの注文に含まれる複数のSKUを、入荷や生産が完了した順に個別に発送する販売方式です。アパレルの新作先行予約やホビー・フィギュアのBOX予約など、複数商品をまとめて予約購入できるECで広く採用されています。

 

問題は決済です。SKUごとに納期が異なるということは、SKUごとに「いつまでオーソリを維持すればよいか」も異なるということを意味します。2026年7月に施行されたオーソリ有効期限25日ルールにより、この管理はこれまで以上に実務負担の大きい論点になっています。

 

この記事では、分納注文で決済がどう動くのか、部分キャプチャの対応可否、SKU別のオーソリ期限管理、注文分割という代替案、そして自動再オーソリによる解決策までを整理します。

この記事の要点(30秒で読める)

  • 分納とは? 1注文内の複数SKUを入荷・生産順に個別発送する方式
  • 決済の課題は? SKUごとに納期=オーソリ期限が異なり、最も遅いSKUに合わせた与信維持が必要
  • 部分キャプチャは? 発送済みSKU分だけ段階的に売上確定する処理。対応可否は決済代行会社により異なる
  • 代替案は? SKUごとに注文を分割すれば決済は単純化するが、配送料・UXにデメリットあり
  • 解決策は? SKU単位の自動再オーソリと発送検知連動のキャプチャで、手動管理から脱却する

 

分納(分割発送)で決済はどう動くのか

分納注文では、注文全体に対して1回のオーソリを確保する方式と、SKU(または発送単位)ごとに個別のオーソリを確保する方式の2パターンが存在します。どちらを採用するかで、その後の運用負荷が大きく変わります。

 

注文全体で1つのオーソリを確保する方式は、決済処理としてはシンプルです。ただし、最初に入荷したSKUを発送する際に全額をキャプチャしてしまうと、残りのSKU分の与信が消えてしまいます。これを避けるには、次に説明する「部分キャプチャ」に対応している必要があります。

 

一方、SKUごとに個別のオーソリを確保する方式は、各SKUの発送タイミングに合わせて個別にキャプチャ・再オーソリができるため実務的には扱いやすくなりますが、注文1件に対して複数のオーソリを管理する仕組みをカート・決済システム側に用意する必要があります。オーソリの基礎については「オーソリ(仮売上)とは?」も参考にしてください。

 

部分キャプチャとは ― 対応可否は決済代行・カートで異なる

部分キャプチャとは、1つのオーソリで確保した金額のうち、発送が完了した分だけを段階的に売上確定(キャプチャ)する処理です。分納の決済を「注文全体で1つのオーソリ」方式で運用する場合、この機能への対応が前提条件になります。

 

ここで注意が必要なのは、部分キャプチャの対応状況は決済代行会社やその契約プランによって異なるという点です。全額キャプチャのみに対応している構成や、部分キャプチャ自体は可能でも実行回数に制限がある構成も存在します。「発送前キャプチャ」自体の規約上の扱いについては「予約商品の「発送前キャプチャ」はVisa/Mastercard規約違反?」も併せて確認してください。

部分キャプチャ導入前に確認すべきポイント

  • 利用中の決済代行会社が部分キャプチャに対応しているか
  • 対応している場合、1オーソリあたりの部分キャプチャ回数に上限があるか
  • 部分キャプチャ後、残額分のオーソリは自動的に維持されるか、再取得が必要か
  • 利用しているカート・OMSが部分キャプチャの結果(発送済み/未発送の金額内訳)を正しく管理画面に反映できるか

これらは決済代行会社ごとに仕様が異なるため、断定的な一般論ではなく、必ず自社が契約している決済代行会社の公式ドキュメント・サポート窓口で確認することを推奨します。

 

SKUごとに納期が違う注文のオーソリ期限管理

分納注文における最大の実務課題は、SKUごとに発送予定日(=納期)が異なるため、オーソリの残存期限もSKUごとに異なってくることです。3つのSKUを含む注文で、1つは1週間後に発送、もう1つは1ヶ月後、最後の1つは2ヶ月後に発送されるようなケースでは、それぞれの発送予定日を起点とした期限管理が必要になります。

 

2026年7月以降、Visa・Mastercardのオーソリ有効期限は最大25日間に短縮されています(海外発行カードはさらに短く最大7日間)。詳細は「オーソリ25日ルールとは?」で解説していますが、この短縮によって、発送まで25日を超えるSKUを含む分納注文では、発送日までに複数回の再オーソリが必要になる場面が増えています。

 

SKU 発送予定までの日数 25日ルール下での再オーソリ回数目安
SKU-A(在庫あり相当) 7日 0回(期限内に発送)
SKU-B(入荷待ち) 40日 1回
SKU-C(受注生産) 70日 2回以上

 

この表のように、同じ注文の中でもSKUごとに必要な再オーソリのタイミング・回数が変わります。これをスプレッドシートや手動チェックで管理しようとすると、SKU数×注文数が増えるほど破綻しやすくなります。

 

「最も遅いSKUに合わせて与信維持」の実務と限界

「注文全体で1つのオーソリ」方式を採る場合、実務上は最も発送が遅いSKUの予定日を基準に与信維持のスケジュールを組む必要があります。これにより、先に発送されるSKU分の代金についても、実際より長くオーソリ状態のまま保持されることになります。

 

この運用には限界があります。第一に、最も遅いSKUの発送予定が延期された場合、それに連動して他のSKU分の与信維持スケジュールもすべて後ろ倒しになります。第二に、途中でSKUの一部がキャンセルされた場合、残りのSKUに対する与信額を正しく再計算する処理が別途必要になります。第三に、部分キャプチャに対応していない決済代行を利用している場合は、最初のSKU発送時点で全額キャプチャせざるを得ず、後続SKU分の与信を維持する手段自体が失われるという構造的な問題も生じます。

 

注文分割という代替設計(メリット・デメリット)

分納の決済処理を複雑にしないための代替案として、SKUごとに注文自体を分割する(1つの注文ではなく複数の独立した注文として扱う)という設計があります。それぞれのSKUが独立した注文になれば、オーソリ・キャプチャの管理は通常の予約販売と同じシンプルな構造になります。

 

一方でデメリットもあります。購入者側は複数の配送料が発生する可能性があり、注文確認・配送状況の確認も複数箇所に分散します。また、カート・OMSによっては「1回のカゴ落ちを複数注文に自動分割する」機能自体が実装されていない、または追加開発が必要になるケースもあります。アパレルの受注生産の文脈では「アパレルECの予約販売決済」でも近い論点を扱っていますので参考にしてください。

 

分納×25日ルールの運用フロー設計

分納注文の決済を安定運用するには、SKU単位で「発送予定日」「残存オーソリ期限」「キャプチャ済み金額」を管理するデータ構造を前提にフローを設計する必要があります。具体的には次のような流れになります。

  1. 注文確定時に、SKUごとの発送予定日を確認しオーソリ(または個別オーソリ)を確保する
  2. 各SKUの残存期限を日次で監視し、期限が近づいたSKU分に対して再オーソリを実行する
  3. SKUの発送が確定した時点で、そのSKU分だけをキャプチャ(部分キャプチャ対応時)または個別オーソリのキャプチャに切り替える
  4. 全SKUの発送が完了した時点で、当該注文の決済処理を完了とする

このフローを手動運用しようとすると、SKUの数だけ監視・実行すべきタイミングが増えます。詳しい運用フロー構築の考え方は「オーソリ切れを防ぐ運用フロー構築ガイド」も参照してください。

 

自動再オーソリで分納管理はどう変わるか

自動再オーソリの仕組みを導入すると、SKUごとの残存期限を自動検知して個別に再オーソリを繰り返し、各SKUの発送検知と連動してそのSKU分だけをキャプチャに切り替える処理が自動化されます。手動運用や、出荷前に1回だけ再オーソリを行う単発自動化との違いは、SKUが増えるほど顕著になります。

 

パターン 主な課題
完全手動 業務負荷が膨大。件数増に耐えられず、更新漏れ=機会損失に直結
単発自動(出荷前1回) エラー時のリカバリーが困難で出荷が止まる。ルール変更への追随も自前対応
自動ループの独自開発 開発・保守コストが大きく、カードブランドルール改定のたびに追随開発が必要

 

Recustomer Secureは、ECにおける自動再オーソリ処理に関する特許(第7721200号)を取得しており、この技術的裏付けをもとに、予約購入のように発送までリードタイムが発生するケースでも決済枠の自動維持・更新を行います。分納のようにSKUごとに納期が分かれる注文でも、SKU単位で残存期限を管理し、自動で再オーソリと部分キャプチャ相当の処理を連動させる運用に置き換えることで、開発・保守を自社で抱え込まずに済みます。自社開発との比較の考え方は「再オーソリを自動化する方法」でも詳しく解説しています。

SKUごとに違う納期、手動管理の限界を感じていませんか

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よくある質問

 

Q. 分納(分割発送)とは何ですか?

分納(分割発送)とは、1つの注文に含まれる複数のSKUを、入荷や生産が完了した順に個別に発送する販売方式です。予約販売やホビー・アパレルなど複数商品をまとめて予約購入できるECで多く採用されています。

 

Q. 分納注文で決済(オーソリ)はどう処理されますか?

注文全体に対して1つのオーソリを確保する方式と、SKUごとに個別のオーソリを確保する方式があります。前者は最初の発送時に全額キャプチャすると後続SKU分の与信が失われるため、部分キャプチャへの対応か、金額を分けた個別オーソリ管理が必要です。

 

Q. 部分キャプチャとは何ですか?対応していない決済代行はありますか?

部分キャプチャとは、1つのオーソリで確保した金額のうち発送完了分だけを段階的に売上確定する処理です。対応可否は決済代行会社・契約プランによって異なるため、利用中の決済代行会社に個別確認が必要です。

 

Q. SKUごとに納期が違う場合、オーソリ期限はどう管理すればよいですか?

最も納期が遅いSKUの発送予定日を基準に期限を管理するのが基本です。2026年7月以降のオーソリ有効期限は最大25日間のため、最も遅いSKUの発送まで25日を超える場合は期限が切れるたびに再オーソリが必要です。

 

Q. 分納をやめて注文を分割する(別注文にする)という代替案はありますか?

SKUごとに別注文として分割すれば、それぞれ独立したオーソリ・キャプチャで管理できるため決済処理は単純になります。一方で配送料が複数回かかる、注文一覧性が下がるといったデメリットがあります。

 

Q. 分納注文の決済は自動再オーソリで解決できますか?

自動再オーソリの仕組みを導入すれば、SKUごとの残存期限を検知して個別に再オーソリを繰り返し、各SKUの発送検知と連動して該当分だけキャプチャに切り替える運用を自動化できます。手動運用ではSKUが多いほど抜け漏れのリスクが高まります。

 

まとめ

  • 分納(分割発送)は複数SKUを入荷・生産順に個別発送する方式で、SKUごとに納期=オーソリ期限が異なる
  • 部分キャプチャの対応可否は決済代行会社・契約プランにより異なり、断定せず個別確認が必要
  • 実務上は最も納期が遅いSKUに合わせて与信を維持するが、延期・キャンセル時の再計算という限界がある
  • 注文分割は決済を単純化するが、配送料・UXのデメリットとカート対応状況の確認が必要
  • 分納×25日ルールの運用は、SKU単位の期限監視・再オーソリ・キャプチャ連動のフロー設計が前提
  • 自動再オーソリを導入すればSKU単位の管理を自動化でき、特許(第7721200号)に裏付けられたRecustomer Secureはこの仕組みを提供する

 

出典・参考文献

  1. Visa「Visa Core Rules and Visa Product and Service Rules」(2026年7月25日発効)
  2. 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)「特許第7721200号」(Recustomer社・自動再オーソリ制御)

 

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