
課題
・EC成長で問い合わせが月4,000件に急増、7割を占める返品・交換対応が業務を圧迫
・手動のメール対応で返信に数日を要し、顧客を待たせることによる顧客体験が低下
・メール対応に追われて出荷業務に手が回らず、物流現場の業務負荷が限界に
活用
・「Recustomer」導入で、返品・交換の受付から承認・否決の判断を自動化
・「自動集荷機能」により、顧客はフォーム入力だけで集荷依頼が完了する仕組みを整備
・返品状況や返金完了の「自動通知」を活用し、ステータス確認の問い合わせを削減
効果
・返品・交換問い合わせが前年比約6割減少、繁忙期も増員なしで対応できる体制を実現
・処理時間が1件あたり10分から5分に半減、データ作成自動化により人的ミスも解消
・自動集荷の利用が10倍に増えるなど利便性が向上し、顧客満足度が向上
日本版顧客満足度指数(JCSI)で6年連続1位を獲得するアパレル企業、ハニーズ。同社はEC化率の上昇に伴い、月4,000件を超えるお問い合わせ対応に追われていました。
本記事では、お客様の利便性向上と業務効率化を両立するために「Recustomer」を導入した経緯と効果を紹介。返品・交換関連のお問い合わせ約6割減、返品・交換業務の処理時間半減を達成し、さらなる顧客体験の向上を目指す取り組みを、EC事業部の責任者を務める横田氏と、カスタマーサポートセンター(以下CS)の池田氏にお聞きしました。
ハニーズ公式オンラインショップ:https://www.honeys-onlineshop.com/shop/default.aspx
顧客満足度は6年連続1位、EC売上高も成長中
全国870店舗以上を展開し、多彩なアイテムを提供するアパレルショップ、ハニーズ。高品質でありながらリーズナブルな価格設定で、10代から70代以上まで、幅広い世代の女性から支持を集めてきました。2024年3月には、仕事や子育てなどの日常に寄り添う大人女性向けブランド「グラシアルッソ」を新設し、大人向けのラインナップを拡充しています。

▲プレスリリースより
ハニーズの顧客満足度は、日本版顧客満足度指数(JCSI)で6年連続1位を獲得するなど、業界内でも際立っています。ハニーズのEC事業部を統括する横田氏は、同社の強みを「高品質・リーズナブルを軸に、トレンドを取り入れつつ、デイリーユースに適した幅広い商品を提供している点」だと語ります。
「ハニーズは、すべてのお客様にとって手に取りやすく、ご満足いただける商品を提供することを目指しています。ECでは常時1,600品を揃え、店舗ではそれ以上の品数を提供しています。店舗は47都道府県すべてに出店しており、石垣島や佐渡といった離島にも店舗があります」(横田氏)
ハニーズのEC売上高は2022年5月期の45億円から、2025年5月期は70億円に成長しました。今期は前年比11.3%増の78億円を見込んでおり、EC限定商品やキャラクター商品の拡充などに取り組むことで、3年後に100億円を目指しています(同社 2025年5月期(第47期)決算説明会資料p.7. p.18より)。
ハニーズのEC運営において、横田氏が重視してきたのは「利便性」「安心」「選択の自由」の3要素です。特に「選択の自由」については、常にお客様目線に立って設計することを重視。たとえばECの決済手段も、そのような方針のもとで拡充を進めてきました。

「担当者の目線では、新しい種類の決済手段を入れるのは導入費用や工数の面で躊躇してしまいがちです。しかしお客様のことを一番に考えると、選択肢は多いほうがよいですよね。」(横田氏)
その他にも、マーケティングオートメーション(MA)を用いて、お気に入りに登録した商品が値下げされた際に通知を送る施策を実施。通知の受け取りはメールやアプリのプッシュ通知などいくつかの選択肢から、お客様がよく開封する媒体を自動で選択して配信。内容のパーソナライズに留まらず、情報を受け取るチャネルについても「選択の自由」を強化していく方針です。
EC化率の上昇の裏で、月4,000件の問い合わせ対応に追われる日々
ハニーズのEC化率は年々上昇し、現在のEC化率は12.1%(前年比+1.3%)。そのうち自社ECサイトの売上高は、約6割を占めています(同社 2025年5月期(第47期)決算説明会資料p.2より)。一方で課題となっていたのが、お客様からのお問い合わせ件数が増加し、対応が追い付かなくなっていたことでした。
CSに所属し、出荷業務や売上管理を統括する池田氏によると、2017年頃は月500件ほどだったメールでのお問い合わせ件数が、2024年には月に4,000件超に増加。分析すると、そのうち7割近くが返品や交換に関するお問い合わせでした。スタッフが手作業で回答してきたため、返信まで1~3日を要してしまうこともありました。
池田氏は当時の対応状況について、次のように振り返ります。
「例えばハニーズでは下着などの衛生商品も扱っているのですが、そうした商品は返品ポリシーの対象外となっています。そうするとお客様にとっては、せっかくお問い合わせをしたのに『返品できない』という返事が数日経って返ってくる、という体験になってしまいます。返品交換の問い合わせ対応は、スタッフにとっても負担の大きい状態が続いていました。」(池田氏)

また、ハニーズではお客様の利便性を重視し、土日祝日も体制を整えて対応しています。しかし、平日よりも少人数体制となるため、お問い合わせメールへの返信と出荷業務を同時に進める必要がありました。 その結果、出荷業務に十分に取り組めず、メール対応だけで1日が終わってしまうこともあったとのことです。
お問い合わせの大部分を占める返品・交換の仕組みを改善することで、お問い合わせの件数を減らしていく施策の検討を始めました。
必要な機能がすべてそろっているのは「Recustomer返品・キャンセル」だけだった
横田氏は、返品・交換対応を自動化するツールを複数検討しました。いくつかサービスを比較したものの、「返品に関しても遅延なく売上管理をしたい」というハニーズの運用方針に合うツールがなかなか見つからなかったといいます。
「具体的には、返品後のマイナス計上を基幹システムに連携できる仕組みが必要で、この対応ができるのは、私が確認した中ではRecustomerだけでした。導入にあたっては、メールのやりとりが減り顧客の利便性が向上することや、導入によってどれくらいの人件費が削減できるかの試算を示すことで、社内の承認をとりました」(横田氏)
顧客の利便性や費用対効果とともに、横田氏が重視していたのは、「ユーザーがどれだけ簡単に操作できるか」でした。Recustomerのデモ環境を確認し、視覚的にとてもわかりやすかったことが、導入の決め手となりました。新しいシステム導入は、現場に混乱を生むことが少なくありません。しかしハニーズにおけるRecustomerの導入は、想定よりもスムーズに進んだそうです。

「最初はシステムに馴染むまでに3カ月程かかるだろうと覚悟していたのですが、実際は3週間ほどで安定運用に入りました。物流センターはスタッフが入れ替わることも多いため、直観的に使いやすく、操作を教えるコストが高くないことは非常に助かっています。新しいスタッフを迎えても、1週間で操作を覚えてもらい、すぐに業務に入ってもらうことができています」(池田氏)
返品・交換業務が劇的に変化!問い合わせ6割減、処理時間も半減
「Recustomer返品・キャンセル」は、返品・交換に関わるオペレーションを改善し、お客様の購入体験の向上と、業務効率化を同時に叶えるプロダクトです。主に2つの機能を提供しています。
1つ目は「返品・交換受付センターの構築」です。ハニーズでは従来、返品・交換申請をメールで受け付けていました。一往復のメールのやりとりで返品・交換受付が完了するケースはほとんどなく、返品と交換のどちらを希望するのかを確認したり、返品ポリシーを説明したりといった複数回のやりとりが発生していました。Recustomer導入後は、お客様が申請フォームの設問に答えていくことで、受付が完了。お客様はメールの返信を待つことなく申請でき、ハニーズのスタッフはメールでの対応が不要になりました。

▲「Recustomer返品・キャンセル」の申請画面イメージ
2つ目は、「返品の自動承認・拒否機能」です。あらかじめ設定したロジックに基づき、返品・交換リクエストを自動で承認または拒否します。ハニーズでは以前、人の目でメール内容を確認し、ポリシーに照らして返品・交換の可否を判断していましたが、この大部分が自動化されました。

導入の効果は、数字にもはっきり表れました。衣替えの時期で繁忙期となる10月のお問い合わせ総数は、昨年比で約4,000件から約3,200件へと、およそ2割の減少。返品・交換関連のお問い合わせに絞ると、昨年比で約2,900件から約1,190件と、およそ6割の減少につながりました。
「Recustomerの導入後にスタッフ2名が産休に入ったのですが、10月のセール期間中も、人員を増やさず対応することができました。Recustomerがなければ回らなかったので、導入して本当によかったです」(池田氏)
池田氏によると、Recustomerによって返品・交換のステータスが可視化できることは、スタッフの適正な配置にも役立っています。
「ダッシュボードを見ると、申請の受付状況が把握できるため、返品や交換の作業が今後どれくらいの数発生するのか見通しを立てられます。これを活用することで、『これから返品がいっぱい来るので、スタッフを増員して欲しいです』『今日は作業は少なめになりそうなので大丈夫です』といったやり取りができるようになりました」(池田氏)
スタッフからは「データ作成の自動化」を、お客様からは「自動集荷機能」を喜ぶ声が
ハニーズの現場スタッフから好評な機能の一つが、返品・交換の際のデータ作成が自動で完結することです。Recustomerを導入する以前は、返品内容のデータ作成に時間を要していましたが、導入後は顧客が申請した時点で返品内容のデータが作成されるため、手続きにかかる処理時間が、1件あたり10分から5分に短縮されました。
交換の業務フローはさらに複雑で、Recustomer導入以前は、EC運営のOMS(クロスモール)にログインし、元の注文情報を複製して出荷データを作成する必要がありました。
「たとえば15個の注文のうち1個だけ交換したい場合、元の注文情報を複製して、15個のうち交換の発生しない14個のデータを削除し、1個だけ抽出して、サイズや色などを交換対象のものに変更する、といった複数の工程からなる作業を、すべて手動で行っていました。日々大量の返品・交換を手作業で対応するため、人的ミスを完全になくすことは難しかったのですが、Recustomerで受付をすることで、返品と交換を混同するようなミスが起こらなくなりました」(池田氏)
その他、池田氏が「とても助かる」と語るのが、返品・交換の受付フォームをお客様に入力してもらう際、不良品などの問題があった場合の画像を添付してもらえる点です。画像と現物を照らし合わせることで、どの箇所に問題があったのかをすぐに確認できるようになったといいます。
▲返品・交換申請時に画像アップロード項目を作成することが可能
一方、ハニーズがお客様から高い評価を得ているのが、返品受付フォームへの入力と同時に、配送業者による集荷申込も完了する「自動集荷機能」です。池田氏によると、以前は「集荷の申し込みはできないのですか?」という問い合わせが多く寄せられていました。現在は返品・交換受付フォームの入力時に、集荷の手配も同時に完了できるように。配送業者が記入済みの伝票も持ってきてくれるため、お客様の作業は梱包のみになりました。

▲自動集荷の受付画面イメージ
「『楽になった』という声が本当に多く寄せられています。実際にRecustomerの導入後、弊社が連携している配送業者(佐川急便)を利用して返送するお客様が、導入前と比べて10倍に増えています」(池田氏)
返品リクエスト承認や返金完了といったステータスが更新された時に自動でお知らせする「通知機能」も、良い効果を生んでいます。ハニーズでは、返品した商品が物流センターに到着したタイミングや、返金が完了したタイミングで、お客様に通知メールを送信しています。通知を受け取る以外にも、Webサイトにアクセスすると、顧客側で対応のステータスを確認できるようになっています。
これにより、「返品は完了していますか?」「返金はまだですか?」といった、ステータスを確認する問い合わせが減少。自動配信を活用することで、スタッフ側も返金完了などの連絡漏れの懸念がなくなりました。
ECでも店舗でも「宝探しのような体験」を提供したい
インタビューに協力してくれたお二人に、最後にこれから取り組みたいことと、Recustomerに対する期待をお聞きしました。
「市場の変化を的確に捉え、デジタルとリアルの強みを掛け合わせたブランド運営をしていきたいです。選ばれ続けるブランドであるために、お客様視点を最優先にした施策を積み重ねていきます。冒頭にお話ししたように、ハニーズはさまざまな年代の、幅広いニーズに応えられる商品づくりを続けてきました。『ハニーズに行けば何か見つかる』という宝探しのような体験ができる空間を、ECでも店舗でも作っていきたいと考えています」(横田氏)
横田氏が直近で検討しているのは、ECサイトに毎日訪れたくなるような、遊び心のあるコンテンツの導入です。同時に「利便性」を大切にし、購入しやすいページにすることも欠かせません。読み物コンテンツが増えて商品にたどり着けない、といったことが起こらないよう、バランスを取りながらリニューアルを進めていくそうです。
また池田氏は、Recustomerの活用をさらに進めるアイデアを明かしてくれました。
「返品・交換に関する業務に割く時間を減らすことができたので、空いた時間を使って、Recustomerを用いた売上管理や返品データの活用に本格的に着手していきたいです。同時に、CS全体の負担をさらに減らしていくのも目標です。弊社のようにメールでのお問い合わせ対応に悩んでいる企業には、Recustomerを検討することをお勧めしたいです。お客様もスタッフも良さを実感できるプロダクトだと思います」(池田氏)

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貴重なお話をお伺いさせていただきありがとうございました!
顧客満足度6年連続1位というブランドが、さらなる顧客体験の向上を目指して選んだRecustomer。お客様の利便性向上と業務効率化を両立させた取り組みは、EC事業を展開する多くの企業にとって参考になるでしょう。