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  • Ryosuke Yamazumi

フェデックス×日本郵便、越境EC配送を欧州へ拡大 ― 成田ゲートウェイ増強で問われる「配送体験」の設計

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フェデックスは2026年8月6日、日本郵便との協業を拡大し、越境EC向け配送サービス「UGX(ゆうグローバルエクスプレス)」の取り扱い対象を、従来の米国・カナダ向けから欧州向けにも広げると発表しました。あわせて、米国・カナダ・欧州の一部地域・韓国向けに、法人顧客向けの優先配送オプションの提供も始まります。

 

この協業拡大は単なる物流ニュースではありません。中国向け越境ECの一本化リスクを避けて北米・欧州へ販路を分散させたい日本のEC事業者にとって、「配送体験をどう設計するか」という購入後体験の核心的な論点に直結する動きです。

この記事の要点(30秒で読める)

  • 何が起きた? フェデックスが日本郵便とのUGX協業を欧州向けにも拡大(2026年8月6日発表)
  • 役割分担は? 日本郵便が国内引受・集荷、フェデックスが国際航空輸送・通関・現地配達を担当
  • なぜ今? 中国向け越境ECの一本化リスクを避け、北米・欧州への販路分散を進める事業者が増加
  • 投資の裏付けは? 成田国際空港の東日本ゲートウェイ施設を2026年後半〜2027年に段階拡張
  • EC事業者への示唆は? 配送リードタイムの案内・追跡通知・EU返品ルールの整備が、越境EC成功の分水嶺になる

 

UGX(ゆうグローバルエクスプレス)とは

UGX(ゆうグローバルエクスプレス)とは、日本郵便が提供する越境EC事業者向けの国際配送サービスです。日本国内での荷物の引受・集荷を日本郵便が担当し、海外への航空輸送・通関手続き・現地配達をパートナー企業が担う、分業型の配送スキームになっています。

 

今回の協業拡大では、この国際輸送・通関・現地配達の部分をフェデックスが担う対象国が広がりました。2026年3月からフェデックスは米国・カナダ向けを担当していましたが、2026年8月上旬より欧州向けにも対応を開始しています。

 

優先配送オプション(法人顧客向けの速達的なサービス)も、米国・カナダ・欧州の一部地域・韓国向けで利用可能になりました。B2B・B2C双方の輸送ニーズに対応する狙いがあります。

 

協業拡大の詳細と背景

今回の発表のポイントは、対象地域の拡大と、それを支えるインフラ投資の両方にあります。まず両社の役割分担を整理すると、次のようになります。

 

担当 役割
日本郵便 国内での荷物の引受・集荷を担当し、フェデックスへ引き渡す
フェデックス グローバルネットワークを活用した国際航空輸送、通関手続き、仕向地での配達を担当

 

対象地域は次のように拡大しました。2026年3月の提供開始時点では米国・カナダ向けのみでしたが、2026年8月からは欧州向けが加わっています。

 

時期 対応内容
2026年3月 UGXにおいて、フェデックスが米国・カナダ向け国際配送を担当開始
2026年8月(今回) 欧州向け配送のサポートを追加。優先配送オプションを米国・カナダ・欧州一部地域・韓国向けに拡充
2026年後半〜2027年 成田国際空港「東日本ゲートウェイ」施設を段階的に拡張予定

 

成田国際空港のゲートウェイ拡張には、高度な仕分けシステムと、大型・重量貨物専用のハンドリングエリアが含まれる予定です。フェデックスジャパンの担当者は、信頼性と柔軟性を兼ね備えた国際配送ソリューションへのニーズが高まっていると説明しています。

 

なぜ今、欧州向け越境EC配送の強化が進んでいるのか

背景にあるのは、日本のEC事業者による輸出先の分散戦略です。越境ECの輸出先として最大規模を占めるのは中国向けですが、制度環境の変更やプラットフォームのルール変更、政治的関係の変動といったリスクを受けやすいという課題があります。

 

そのため、中国向け一本化ではなく、北米・東南アジア・欧州へ販路を分散させて事業継続性を高める動きが、日本のEC事業者の間で広がっています。フェデックスが欧州向け対応を拡大し、成田のゲートウェイ拡張という中長期投資を行っているのも、この分散需要の高まりを見込んだものと考えられます。

 

また、欧州はEU域内の消費者保護規制(14日間のクーリングオフ権利など)が明確に整備されている市場でもあります。配送網が整うことで、日本のEC事業者が欧州展開に踏み出しやすくなる一方、返品・キャンセル対応の設計も同時に求められることになります。

 

日本のEC事業者への示唆

配送インフラが整っても、購入後の「配送体験」を事業者側が設計しなければ、機会損失やクレームにつながります。越境EC特有の課題として、配送距離・工程が長いことによる破損リスクや、到着日数が読めないことへの不満が挙げられます。

 

実際に、北米向け越境ECで配送トラブルによる返品・クレームに悩んでいたアパレル事業者が、追跡番号付き配送の標準化と配送ステータスの自動通知を導入したことで、返品率を20%以上低下させた例も報告されています。欧州向け展開を検討する事業者にとっても、同様の対策が有効です。

 

1. 到着予定日の「期待値コントロール」

越境配送は国内発送より時間がかかるため、実際のリードタイムに余裕を持たせた到着予定日を案内することが重要です。到着が読めないことへの不満は、越境EC特有のクレーム要因として繰り返し指摘されています。

 

2. 追跡番号付き配送・自動通知の標準化

配送ステータスを自動で通知する仕組みをECサイトに実装することで、顧客の不安を軽減できます。「今どこにあるか」が分かるだけで、問い合わせ件数と返品率の両方を抑えられる可能性があります。

 

3. EU向け返品ポリシーの多言語整備

EU加盟国では、消費者に14日間の返品(クーリングオフ)権利が法律で保障されています。返品可能期間・条件・送料負担を、英語だけでなく販売先の主要言語(フランス語・スペイン語・ドイツ語など)でも明記しておく必要があります。

 

4. 複数配送手段のバックアップ体制

特定の配送事業者・ルートに依存すると、障害や規制変更の影響を直接受けます。複数の配送手段を用意し、状況に応じて切り替えられる体制を持つことが、事業継続性の観点からも有効です。

配送体験は「発送してからが本番」

越境ECにおける配送体験は、商品を発送した瞬間から始まります。追跡ページでの情報提供、到着予定日の案内、返品ポリシーの明示という「発送後の体験設計」こそが、リピート購入とクレーム削減を左右します。

日本郵便の配送料金自体も、2026年10月のゆうパック値上げなど、コスト構造が変化しています(詳しくは「ゆうパックが平均10%値上げ ― EC事業者が見直すべき送料設計と配送体験」を参照)。配送コストが上がる局面では、追跡・通知による問い合わせ削減が、コスト吸収の観点でも意味を持ちます。

 

また、国内配送でも「非対面受け取り」が3割を超えるなど、受け取り方の多様化が進んでいます(詳しくは「宅配の「非対面受け取り」が3割を突破 ― 国交省調査に見る再配達の実態」を参照)。越境・国内を問わず、「配送体験の設計」がEC事業者の競争軸になっていることがうかがえます。

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よくある質問

 

Q. UGX(ゆうグローバルエクスプレス)とは何ですか?

UGXとは、日本郵便が提供する越境EC事業者向けの国際配送サービスです。日本国内での引受・集荷を日本郵便が担当し、海外への航空輸送・通関・現地配達をパートナー企業(フェデックス等)が担う分業型のスキームです。

 

Q. 2026年8月の協業拡大で何が変わりますか?

従来は米国・カナダ向けのみだったフェデックスの担当範囲に、欧州向け配送が加わりました。あわせて、米国・カナダ・欧州の一部地域・韓国向けに、法人顧客向けの優先配送オプションも利用可能になっています。

 

Q. なぜ今、欧州向け越境EC配送の強化が進んでいるのですか?

中国向け越境ECは制度変更や政治的リスクの影響を受けやすいため、日本のEC事業者は北米・東南アジア・欧州への販路分散を進めています。フェデックスも成田国際空港の東日本ゲートウェイ施設を2026年後半〜2027年に拡張予定で、需要拡大を見込んだ投資を進めています。

 

Q. 越境ECで配送トラブルが起きやすいのはなぜですか?

越境ECは国内発送より輸送距離・工程が長く、海外の配送事業者ごとに荷物の取り扱い品質が異なるため、破損や到着日数の遅れが起きやすくなります。到着日数が読めないことも、クレームの主な要因です。

 

Q. EU向け販売で返品ポリシーに関して注意すべき点は何ですか?

EU加盟国では消費者に14日間のクーリングオフ(返品)権利が法律で保障されています。返品可能期間・条件・送料負担を、英語だけでなく販売先の主要言語でも明記しておく必要があります。

 

Q. この動きは中小のEC事業者にも関係しますか?

フェデックスと日本郵便の協業は、法人契約を通じてUGXを利用する事業者であれば規模を問わず対象になります。自社で海外配送網を持てない中小事業者ほど、既存インフラの拡充を活用しやすい立場にあります。

 

Q. 配送体験を改善するために、EC事業者は何から始めるべきですか?

まず追跡番号付き配送の標準化配送ステータスの自動通知を整えることが有効です。あわせてリードタイムに余裕を持たせた到着予定日の案内と、販売先言語での返品ポリシー明記を行うことで、クレームや問い合わせを減らせます。

 

まとめ

  • フェデックスと日本郵便は2026年8月6日、越境EC配送サービス「UGX」の取り扱い対象を欧州へ拡大すると発表
  • 役割分担は日本郵便が国内引受・集荷、フェデックスが国際輸送・通関・現地配達
  • 背景には中国向け越境ECの一本化リスクを避けた販路分散の動きがある
  • 成田国際空港の東日本ゲートウェイは2026年後半〜2027年に段階拡張予定
  • 越境ECでは破損・到着遅延によるクレームが起きやすく、配送体験の設計が問われる
  • EU向けは14日間のクーリングオフ権利への多言語対応が必須
  • 追跡番号付き配送・自動通知の標準化が、返品率とクレームの削減に有効

 

参考・出典

  1. FedEx Newsroom「フェデックス、日本郵便との協業を拡大し国際輸送の選択肢を拡充」(2026年8月6日)
  2. LNEWS「フェデックス/日本郵便との協業拡大へ、越境ECの欧州向け配送をサポート」(2026年8月6日)
  3. ECのミカタ「フェデックス、日本郵便との協業を拡大 UGXにおいて「欧州向け配送」をサポート

 

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