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  • Ryosuke Yamazumi

問い合わせ前に8割が「外部接点」へ ― 生成AI時代のカスタマーサポートとEC事業者の自己解決導線

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「困った」「わからない」と感じたとき、企業の公式カスタマーサポートに最初に問い合わせる人はわずか4.3%にとどまることが、LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社の調査で明らかになった。

 

全世代の83.6%が、Web検索・生成AI・SNSといった企業公式チャネル以外の「外部接点」を先に利用しており、なかでもZ世代(18〜29歳)は35.9%が生成AIを最初の情報源に選んでいる。

 

この調査結果は2026年7月8日にプレスリリースとして公表され、EC業界メディアでも相次いで取り上げられた。購入後に生じる「わからない」に企業がどう向き合うかは、配送状況や返品の確認をはじめとするEC事業者の顧客体験そのものに直結するテーマだ。

 

この記事の要点(30秒で読める)

  • 何が起きた? LINEヤフーコミュニケーションズの調査で、問い合わせ前に全世代の83.6%が企業公式チャネル以外の「外部接点」を利用すると判明
  • 公式サポート最初利用率は? わずか4.3%
  • Z世代は? 35.9%が生成AIを最初の情報源に選び、Web検索(31.7%)を上回る
  • 完全解決率は? 最初の手段での完全解決率は16.7%。公式カスタマーサポート利用時は30.4%まで上がる
  • 示唆は? 配送追跡・返品ステータスなど「答えが見つかる公式接点」の整備が、生成AI時代のCXの勝敗を分ける

「外部接点」とは

外部接点とは、企業の公式カスタマーサポート窓口を介さずに、消費者が自力で情報を探すために利用するWeb検索・生成AIサービス・SNS・動画・レビューサイトなどの情報源を指す。LINEヤフーコミュニケーションズの調査では、この外部接点を問い合わせ前に利用する人が全世代平均で83.6%に達した。

 

調査は2026年6月16日から23日にかけて、18歳〜79歳の男女1,066名を対象にインターネット調査で実施された。「商品・サービスについて困った・わからない・確認したいと思ったときに最初に取る行動」を尋ねたところ、企業の公式カスタマーサポートを最初に選んだ人はわずか4.3%にとどまった。

 

ニュースの詳細 ― 世代間で分かれる「最初の情報源」

調査結果を世代別に見ると、最も特徴的だったのはZ世代(18〜29歳)の行動だ。ChatGPT・Gemini・Copilotなどの生成AIサービスを最初に使うと答えた人が35.9%で最多となり、Web検索(31.7%)を上回った。YouTube・X・Instagram・TikTokなどの動画・SNSを最初に使う人も20.7%に上る。

 

一方、70代以上では生成AIの利用率は14.0%にとどまり、世代による情報探索行動の差は依然として大きい。ただし全世代を通じて、企業の公式チャネルよりも先に何らかの外部接点を利用する傾向は共通しており、「問い合わせ前に自分で調べる」という行動そのものが世代を問わず定着しつつあることがうかがえる。

 

指標 数値
問い合わせ前に外部接点を利用する割合(全世代) 83.6%
企業公式カスタマーサポートを最初に利用する割合 4.3%
Z世代の生成AI最初利用率 35.9%
Z世代のWeb検索最初利用率 31.7%
70代以上の生成AI最初利用率 14.0%
最初の手段での完全解決率 16.7%
公式カスタマーサポート利用時の完全解決率 30.4%

 

特に注目すべきは、最初に選んだ手段でその場で完全に解決できた割合が全体でわずか16.7%にとどまる点だ。企業の公式カスタマーサポートを利用した場合の完全解決率は30.4%まで上がっており、複雑な問題を最終的に解決できるのは依然として人的サポートであることが示されている。

 

なぜ今、こうした行動が広がっているのか

背景にあるのは、生成AIの急速な普及と、消費者が「まず自分で調べる」ことに慣れたことだ。LINEヤフーコミュニケーションズは今回の調査結果について、「今後、生成AIの利用がさらに広がることで、ユーザーが企業の公式チャネルに直接アクセスする前に、生成AIを通じて情報を確認する場面はさらに増えていく」とコメントしている。

 

同社はさらに、「問い合わせを受けてから対応するだけでなく、問い合わせ前の情報接点をどう設計するかが、今後の顧客体験においてより重要な要素になる」と指摘する。海外の購入後体験(ポストパーチェス)分野でも同様の潮流が報告されており、調査会社Narvarは2026年の予測として、配送状況の案内が固定的な情報提供から能動的な意思決定エンジンへと変わり、問題が顧客の手を煩わせる前に処理される「プロアクティブなサービス」への移行を挙げている。

 

日本のEC事業者への示唆

この調査結果が示すのは、「FAQを充実させれば十分」という話では済まないということだ。生成AIが顧客の質問に答える際、企業の公式サイトやヘルプページの情報がその回答の土台になる。情報が古い・分かりにくい・そもそも見つからない状態では、生成AI経由で調べた顧客にも誤った案内が届きかねない。

 

EC事業者にとって自己解決の需要が最も集中しやすいのは、配送状況の確認と、返品・交換・キャンセルの手続きだ。「注文した商品はいつ届くのか」「返品はいつ受理されたのか」「返金はいつ振り込まれるのか」——これらは顧客が問い合わせ窓口に頼らずとも、リアルタイムで自分で確認できる状態を用意しておくべき典型的な情報である。

 

「通知するだけ」の一方向的な体験では顧客の疑問は解消しきれないことは、Back in Stock(再入荷通知)領域でも指摘されている。配送追跡・返品ステータスも同様に、通知して終わりではなく、顧客が自分のタイミングで能動的に確認・解決できる導線として設計する必要がある。

 

自己解決の導線が弱いままだと、顧客はカード会社への異議申し立て(チャージバック)という「近道」に流れやすくなる。問い合わせ前・問い合わせ中双方の自己解決体験を整えることが、顧客満足とコスト削減の両方に効いてくる。

今回の調査で完全解決率が16.7%にとどまった一方、公式カスタマーサポートでは30.4%まで上がる点も見逃せない。自己解決の入口を充実させつつ、複雑なケースは迷わず人的サポートにつなげる「二段構え」の設計こそ、生成AI時代のカスタマーサポートに求められる。

 

よくある質問

 

Q. 「外部接点」とは何ですか?

外部接点とは、企業の公式カスタマーサポート窓口を介さずに、消費者が自力で情報を探すために利用するWeb検索・生成AIサービス・SNS・動画・レビューサイトなどの情報源を指します。今回の調査では、問い合わせ前にこうした外部接点を利用する人が全世代平均で83.6%に達しました。

 

Q. なぜZ世代は生成AIを最初に使うのですか?

同調査によると、Z世代(18〜29歳)はChatGPT・Gemini・Copilotなどの生成AIサービスを最初に利用すると答えた割合が35.9%で最多となり、Web検索(31.7%)を上回りました。生成AIが日常的な情報収集手段として定着し、企業の公式チャネルより先にアクセスする対象になっていることを示しています。

 

Q. この調査はどのような内容ですか?

LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社が2026年6月16日〜23日に実施した「生成AI時代の問い合わせ前行動に関する調査」で、18歳〜79歳の男女1,066名を対象にしたインターネット調査です。商品・サービスについて困った・わからないと感じた際に最初に取る行動を尋ねています。

 

Q. FAQページを充実させれば十分ですか?

十分ではありません。生成AIが顧客の質問に答える際は企業の公式サイトやヘルプページの情報が回答の土台になるため、情報が古い・分かりにくい状態では誤った案内が届きかねません。加えて配送状況や返品ステータスのようにリアルタイムで変化する情報は、FAQとは別に自己解決できる導線を用意する必要があります。

 

Q. 配送追跡や返品ステータスの自己解決導線はなぜ重要ですか?

「注文した商品はいつ届くのか」「返品はいつ受理されたのか」といった問い合わせは、EC事業者に寄せられる典型的な質問です。顧客が問い合わせ窓口に頼らずリアルタイムで確認できる状態を用意しておくことで、問い合わせ対応の負荷が下がり、生成AI経由で調べた顧客にも正確な情報が届きやすくなります。

 

Q. 完全解決率が低いのはなぜですか?

同調査では、最初に選んだ手段でその場で完全に解決できた割合は全体で16.7%にとどまりました。一方、公式カスタマーサポートを利用した場合の完全解決率は30.4%まで上がっており、外部接点による自己解決には限界があり、複雑な問題は依然として人的サポートが必要であることを示しています。

 

Q. 日本のEC事業者はこの調査結果をどう活かすべきですか?

自己解決の入口(配送追跡・返品ステータス・FAQ)を充実させつつ、複雑なケースは迷わず人的サポートにつなげる「二段構え」の設計が有効です。自己解決導線が弱いままだと、顧客はカード会社への異議申し立てなど、より事業者にとってコストの高い手段に流れやすくなります。

 

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まとめ

  • 問い合わせ前に全世代の83.6%が企業公式チャネル以外の「外部接点」を利用(LINEヤフーコミュニケーションズ調査)
  • 企業の公式カスタマーサポートを最初に使う人はわずか4.3%
  • Z世代は35.9%が生成AIを最初の情報源に選び、Web検索(31.7%)を上回る
  • 最初の手段での完全解決率は16.7%にとどまり、公式カスタマーサポート利用時は30.4%まで上がる
  • FAQの充実だけでなく、配送追跡・返品ステータスなどリアルタイムで確認できる自己解決導線の整備が重要
  • 自己解決の入口を広げつつ、複雑なケースは人的サポートへ確実につなぐ「二段構え」の設計が生成AI時代のCXの鍵

 

参考・出典

  1. PR TIMES / LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社「商品・サービスの疑問、Z世代は『Web』より先に『生成AI』へ 回答者の8割超が企業公式チャネル以外で情報探索」(2026年7月8日発表)
  2. ECのミカタ「問い合わせ前行動、全世代の8割が「外部接点」を選択 LINEヤフーコミュニケーションズ調査」(2026年7月14日)
  3. マナミナ「検索の次は「AI対策」へ。Z世代の3割超がまず生成AIを頼る時代の新しい顧客コミュニケーション【LINEヤフーコミュニケーションズ調べ】」(2026年7月10日)
  4. Narvar「From Reactive to Agentic: Narvar's Post-Purchase Predictions for 2026

 

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