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  • Ryosuke Yamazumi

特商法の中間取りまとめが返品特約だけで不良品の返品を断る行為の規制を提言、EC事業者の受付の分け方【2026年】

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消費者庁の「デジタル取引・特定商取引法等検討会」は2026年9月10日に公表した中間取りまとめで、不良品や誤配送などの申し出を受けた販売業者が、事実関係を確認しないまま返品特約だけを理由に「返品できません」と告げる行為を、新たに行政処分の対象として規制することが適当だと提言しました。 現時点では提言の段階で、法律はまだ変わっていません。ただ、返品・交換の受付で「返品不可」の一文をすべての申し出に返している店舗は、改正を待たずに受付の分け方を見直しておくと、運用の切り替えが小さく済みます。

 

この記事では、中間取りまとめの原文で確認できる内容と今後の流れ、そして自己都合の返品と不良品・誤配送の申し出を受付の段階で分ける手順を整理します。

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中間取りまとめで確認できる事実

 

項目 内容
検討会 デジタル取引・特定商取引法等検討会(事務局:消費者庁取引対策課)
議論の経過 2026年1月22日の第1回から9月2日(水)の第9回まで、計9回
中間取りまとめの日付 2026年9月10日(木)
返品特約に関する提言 事実確認をせず返品特約のみを理由に権利がないと告げる行為を、新たに行政処分の対象として規制することが適当
対象の範囲 インターネット取引に限らず、通信販売一般の規律として検討すべきとされた
あわせて示された論点 最終確認画面での支払総額の表示、取引条件の分離表示の禁止などの義務付け、解約手続の妨害への対応など
意見募集 2026年9月16日(水)〜10月31日(土)23:59(e-Govで受付。受付は終了)

 

法案の提出時期について、中間取りまとめ本文には記載がありません。報道では、消費者庁は特定商取引法の改正案を来年(2027年)の通常国会に提出することを目指していると報じられています。

 

提言の中身:「返品特約のみを理由に」断る行為

 

現行法での返品特約の位置づけ

通信販売では、商品の引渡しを受けた日から起算して8日を経過するまでの間、購入者は申込みの撤回や契約の解除ができます(特定商取引法第15条の3)。いわゆる「法定返品権」です。ただし、販売業者が返品についての特約を広告に表示していた場合は、特約が優先します。インターネット通販では、最終確認画面にも表示することが求められています。

 

この返品特約は、あくまで「購入者の都合による返品」をどう扱うかの取り決めです。中間取りまとめは、商品が届かない場合、注文と異なる商品が送られた場合、不良品が引き渡された場合などは、消費者が民法上の解除権や損害賠償請求権などを行使できる場面だと整理しています。民法では、引き渡された商品が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないとき、買主は修補や代替品の引渡しを請求でき(第562条)、損害賠償の請求や契約の解除も妨げられないと定めています(第564条)。

 

問題とされた事例

そのうえで中間取りまとめは、販売業者が返品特約を理由に、こうした権利の行使を一律に拒否する事例がみられると指摘しています。提言の対象は次の行為です。

 

  • 購入者から、債務不履行による解除など、法定返品権によらない解除などの申し出を受けた
  • その申し出の事実関係について、社会通念上通常必要とされる確認をしなかった
  • 返品特約のみを理由に、法令や契約上の権利が存在しない旨を告げた

 

つまり、不良品や誤配送の申し出そのものを必ず受け入れることを求めた提言ではありません。事実を確かめずに、返品特約を盾にして断ることが問題とされています。どこまでが「通常必要とされる確認」にあたるかは、今後の法令やガイドラインの具体化を待つ必要があります。

 

なお、検討会では、返品特約は広告で容易に認識できるように表示しなければならないのに、そうなっていないケースが多いため、執行を強化すべきだという指摘もあったと記されています。

 

関係団体の意見

日本弁護士連合会は2026年10月20日(火)、中間取りまとめに対する意見書を消費者庁長官に提出しました。意見書では、「いかなる場合にも解約できないとするもの」「債務不履行の場合に解約の可否が不明瞭なもの」「事業者に解約の可否の決定権があるもの」は、特定商取引法第15条の3第1項ただし書で認める返品特約に該当しないことを規定すべきだとしています。今後の議論では、特約の書き方そのものも論点になる可能性があります。

 

自己都合と不良品・誤配送で、受付をどう分けるか

改正の中身が固まるのはこれからですが、「申し出の理由を最初に分け、不良品・誤配送は事実確認のルートに乗せる」という形にしておけば、どのような規律になっても大きな作り直しは要りません。

 

申し出の種類 主な根拠 受付で確認すること
自己都合(サイズ違い・イメージ違いなど) 返品特約(表示がない場合は8日間の法定返品権) 特約で定めた期限・対象外商品・送料負担に当てはまるか
不良品・破損 民法の契約不適合責任 不具合の箇所と状態(写真)、届いた時点での状態か、使用の有無
誤配送(注文と異なる商品) 民法の債務不履行 届いた商品と注文内容の照合(写真・品番)、出荷記録
商品が届かない 民法の債務不履行 配送状況、出荷記録

 

1. 入口で理由を選んでもらう

申請フォームやメールの案内で、最初に「お客様都合」「不良品・破損」「注文と違う商品が届いた」などの理由を選んでもらいます。理由が分かれていないと、すべての申し出が自己都合のルールで判定され、結果として返品特約だけで断る運用になりやすくなります。

 

2. 不良品・誤配送は、返品特約の判定から外して確認に回す

「セール品は返品不可」「到着から7日を過ぎたら受付不可」といった特約のルールは、自己都合の申し出にだけ当てはめます。不良品・誤配送の申し出は、担当者が写真や注文内容を確認してから判断する流れにします。確認の材料として、不具合の箇所や届いた商品のラベルが分かる写真を、申請の時点で添付してもらうと、往復のやり取りが減ります。

 

3. 断るときは、確認した事実を理由として伝える

確認した結果、使用による傷みで不良品とは認められない、といった判断になることもあります。その場合も「返品特約により返品できません」ではなく、何を確認し、どういう理由で対応できないのかを伝えます。

 

4. 受付から判断までの記録を残す

いつ、どの理由で申し出があり、何を確認して、どう判断したのかを、申請ごとに残します。後から購入者や行政から問い合わせがあったときに、事実確認をしたことを示す材料になります。

 

5. 案内文とテンプレートを見直す

返品・交換の案内ページ、FAQ、メールの定型文に「いかなる場合も返品不可」「返品はお受けしておりません」のような、不良品・誤配送まで含むように読める表現が残っていないかを確認します。特約の表示方法そのものの見直しは、下の関連記事で詳しく整理しています。

 

また、返品期限を過ぎた注文から不良品の申し出が来ることもあります。期限切れの注文は申請画面から受け付けない設定にしている場合は、期限切れの表示の中に、不良品・誤配送のときの連絡先を案内しておくと、申し出の取りこぼしを防げます。

 

Recustomerで受付を分ける場合

Recustomerの返品・交換は、購入者が専用の申請ページから返品・交換を申し込む仕組みです。上で整理した受付の分け方は、次の設定で組み立てられます。

 

1. 返品理由を選んでもらい、写真を添付してもらう

申請のときに購入者へ聞く質問(ヒアリング項目)を設定できます。返品理由は選択式で聞けます。

 

不具合がある場合は、「商品全体」「不良箇所」のようにラベルを付けて、画像の添付を依頼できます。

 

2. 返品理由ごとに承認方法を分ける

申請を「自動承認」「承認保留(手動承認)」「返品拒否」のどれにするかを、返品理由などの条件ごとに設定できます。

 

申請の理由承認方法の例
自己都合(サイズ違いなど)自動承認
不良品・誤配送承認保留にして、写真を見てから担当者が判断する

 

3. 返品理由ごとに送料と返金を切り替える

不良品の場合は返送料を自社負担(着払い)にする、送料も返金に含める、といったルールを返品理由を条件に設定できます。

 

4. 判断の記録を残す

管理画面で申請内容(返品理由・画像・希望する対応方法)を確認し、承認か拒否を選びます。拒否する場合は拒否理由を入力します。

 

申請の一覧では、承認結果が「未承認」「手動承認」「自動承認」「自動拒否」として表示されます。

 

なお、返品拒否のルールを返品理由の「不良品」に当てはめると、事実確認をせずに断る運用になってしまいます。不良品・誤配送の理由は承認保留に回す設定にしておくことをおすすめします。

 

購入者にとっては、申し出の時点で理由と写真を送れるため、返事を待つあいだに何度も説明し直す必要がなくなります。店舗にとっては、自己都合の申請は自動で進み、担当者は確認が必要な不良品・誤配送の申請に時間を使えるようになります。

 

よくある質問

 

Q. 返品特約に「返品不可」と書いておけば、不良品の返品も断れますか。

中間取りまとめは、返品特約が優先するのは法定返品権(特定商取引法第15条の3)についてであり、不良品や誤配送の場合は、消費者が民法上の解除権や損害賠償請求権などを行使できると整理しています。返品特約だけを理由に一律に断る運用は、提言で問題とされた行為そのものです。個別の判断は、弁護士などの専門家にご確認ください。

 

Q. 行政処分の対象になることは、もう決まったのですか。

決まっていません。2026年9月10日の中間取りまとめは検討会としての提言で、法律の改正はこれからです。中間取りまとめへの意見募集は2026年10月31日に締め切られました。報道では、改正案を2027年の通常国会に提出することを目指していると報じられています。

 

Q. 「社会通念上通常必要とされる確認」とは、具体的に何をすればよいのですか。

中間取りまとめ本文では、具体的な基準までは示されていません。下位法令やガイドラインは、別途検討の場を設けて策定することが求められています。現時点では、不具合の写真や届いた商品と注文内容の照合など、申し出の内容を確かめる手順を受付に組み込み、その記録を残しておくのが現実的です。

 

Q. 自己都合の返品まで受け付けなければならなくなるのですか。

提言の対象は、不良品や誤配送など、法定返品権によらない解除などの申し出を、事実確認なしに返品特約だけで断る行為です。自己都合の返品を返品特約に沿って断ること自体を禁じる内容ではありません。ただし、特約の表示が容易に認識できない状態になっていないかは、あわせて確認しておく必要があります。

 

まとめ

消費者庁の検討会は、2026年9月10日の中間取りまとめで、不良品や誤配送などの申し出を事実確認せず返品特約だけを理由に断る行為を、新たに行政処分の対象として規制するよう提言しました。法改正はこれからで、中間取りまとめへの意見募集は10月31日に締め切られました。

 

EC事業者が今から整えられるのは、申し出の理由を入口で分け、不良品・誤配送は写真や注文内容を確かめてから判断し、その記録を残すことです。案内ページや定型文に、不良品まで含めて「返品不可」と読める表現が残っていないかも、この機会に確認しておくと安心です。法的な判断が必要な場面では、専門家に確認してください。

 

出典・参考文献

  1. 消費者庁 デジタル取引・特定商取引法等検討会「デジタル取引・特定商取引法等検討会 中間取りまとめ」(2026年9月10日) https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/meeting_materials/review_meeting_005/assets/consumer_transaction_cms101_260910_01.pdf
  2. 消費者庁「デジタル取引・特定商取引法等検討会」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/meeting_materials/review_meeting_005/
  3. e-Gov パブリック・コメント「『デジタル取引・特定商取引法等検討会中間取りまとめ』に関する意見募集について」(案件番号235060029、2026年9月16日公示) https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=235060029&Mode=0
  4. e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」(第11条、第15条の3) https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057
  5. e-Gov法令検索「民法」(第562条〜第564条) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  6. 消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/
  7. 日本弁護士連合会「デジタル取引・特定商取引法等検討会中間取りまとめに対する意見書」(2026年10月16日取りまとめ、10月20日提出) https://www.nichibenren.or.jp/document/opinion/year/2026/261016_2.html
  8. 通販新聞「特商法の改正方針まとまる、『返品特約』濫用禁止や新たな定期購入対策も(前編)」(2026年9月2日) https://www.tsuhannews.jp/news/detail/75884
  9. 時事通信「『ダークパターン』包括規制へ 中間まとめ公表、法改正視野―消費者庁」(2026年9月10日) https://www.jiji.com/jc/article?k=2026091000694&g=soc

 

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