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  • Ryosuke Yamazumi

CS担当1人で月200件の返品を回す ― 人を増やさずに処理量を倍にする体制設計

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返品対応の担当者が1人しかいない状態で、問い合わせ件数だけが増え続けている――これは特定の企業に限った話ではありません。商談データを横断すると、CS体制の縮小・削減・属人化は26件の商談で語られたトリガーであり、体制変化が検討のきっかけになった企業は少なくありません。

 

この記事では、CS担当がほぼ1人という体制でも、増員せずに月200件規模の返品処理量に耐えられる設計をどう作るかを、実際の商談で語られた実態と工数データをもとに解説します。

この記事の要点(30秒で読める)

  • CS体制の縮小・属人化は26件の商談で語られた検討トリガー
  • 問い合わせ1件あたり10〜15分、問い合わせ率は出荷数の10〜15%が業界水準の目安
  • 1人依存の体制は、担当者が休職・退職した瞬間に完全停止するリスクを抱える
  • 自動化すべきはルールベースで決まる定型工程、残すべきは引き止め・例外判断
  • 刺さる訴求は「今の2倍の売上が来ても耐えられる」という体制の話

 

CS担当1人で返品対応を回す体制とは

CS担当1人で返品対応を回す体制とは、メール・電話・フォームなど複数チャネルから届く返品・交換・キャンセルの問い合わせを、実質1名の担当者が受付から返金処理まで一貫して対応している状態を指します。専任者を複数名配置できる余裕がなく、返品対応が本来業務の片手間になっているケースも含まれます。

 

この状態は企業規模と無関係に発生します。EC立ち上げ期の小規模ブランドで最初から専任1人というケースもあれば、以前は8人体制だった大手アパレルECが人員削減の結果として実質1人体制に縮小していくケースもあります。

 

実態 ― 縮小するCS体制で何が起きているか

商談では、CS人員が段階的に削減され、最終的に1人体制へ向かっている企業の実態が繰り返し語られています。ある大手アパレルECでは、以前8人体制だったCSが5人、3人と縮小し、月間約1,600件の問い合わせを抱えたままメール担当が1名になる見通しが語られました。

 

コスメ系ECの商談でも同様の構造が見られます。月間の返品交換問い合わせが250件規模あるにもかかわらず、CS人員はすでに2名削減済みで、今後さらに1名の削減が予定されているという声がありました。

 

EC立ち上げ期のアパレルブランドでは、そもそも返品対応の専任が最初から1人という商談もあります。担当者自身が「人数がいないから返品の対応がしきれないパターンも全然あり得る」と、体制の限界を率直に認めていました。

 

属人化のリスク ― その1人が抜けたら何が止まるか

1人体制の最大のリスクは、業務量ではなく「継続性」にあります。担当者が休職・異動・退職した瞬間、返品対応のフロー全体が止まる可能性があるからです。

 

コスメ・美容家電のD2C企業の商談では、1人の担当者が1日あたり約100件の申請対応を行い、月間では約1,300件規模に達しているという実例が語られました。返品件数は今後も増加が見込まれており、担当者1人への完全依存という構造そのものが検討の引き金になっています。

 

件数の多寡にかかわらず、属人化した体制には共通の弱点があります。マニュアルや引き継ぎが整っていても、日々の細かい判断は担当者の頭の中にしか存在しないことが多く、代わりの人が同じ品質で即座に対応するのは困難です。

 

自動化できる工程と、人に残すべき工程の切り分け

体制設計で最初に決めるべきは「何を自動化し、何を人に残すか」の線引きです。すべてを自動化しようとすると顧客体験を損ない、逆にすべてを人手に頼ると増員が避けられません。

 

工程 自動化への向き不向き 理由
返品条件(期限・対象品目)の判定 自動化向き ルールベースで機械的に判定でき、担当者ごとの判断のブレも防げる
返送先案内・送り状の発行 自動化向き 定型フローであり、人の介在自体が不要
返金額の計算・システムへの反映 自動化向き 複雑な割引の組み合わせを除けば、機械的に決まる部分が大半
解約・キャンセルの引き止め対応 人に残すべき 感情面のケアが必要で、自動化すると顧客体験が損なわれる
ポリシー外の特例判断 人に残すべき 例外対応にこそ、担当者の裁量が顧客満足につながる価値がある

 

この切り分けは、定期通販のコスメD2C企業の商談でも明確に語られています。「一部のお客様と私たちが直接話すということはなくしたくない」という声があり、引き止め自体は残しつつ、引き止め後に発生する返品・返金の事務処理だけを自動化したいというニーズでした。

 

別のコスメ系D2C企業でも、肌に合わなかった顧客へのオペレーターによるヒアリングと交換提案は残したい運用として維持しつつ、それ以外の定型処理を自動化するという整理がされていました。ポリシー判定の自動化には、動的な返品ポリシーの自動判断に関する特許第7768617号が技術的な裏付けとなっており、担当者ごとの判断のブレを防ぎながら例外対応の余力を人に残す設計が可能です。

 

「今の2倍の売上が来ても耐えられる」設計とは

返品・問い合わせ件数は売上に比例して増えるため、増員を前提にした体制では、売上が伸びるほどコストも比例して膨らみます。この構造そのものを崩す設計が、体制変化を検討している企業に最も刺さる訴求になります。

 

派遣7名・社員3名体制のコンタクトセンターを抱える百貨店系ECの商談では、担当者が次のように語っています。「うちの上に今後、コンタクトセンターって厳しいんですよという中で、これをすることによって今の2倍の売り上げが来ても耐えられるんですよというようなことが言えると非常にスムーズに導入できるかなと思ってます」。

 

この発言が示すのは、経営層に対して「コストが削減できる」だけでは説得材料として弱いという現実です。「増員せずに処理量を倍にできる」という体制面の話は、コンタクトセンターへの追加投資に慎重な経営層にこそ響きます。

 

返品対応を自社開発するか導入するかで迷う場合は、「返品対応システムの自社開発とツール導入、コストで比較する」で判断基準を解説しています。返品申請をセルフ化しても返品率自体は増えないというデータは「返品申請をセルフ化すると返品率は上がるのか ― 実測データで検証する」、返金と交換の売上インパクトの差は「返金後に買い直す顧客は5% ― 返品を交換に寄せた場合の売上インパクトを試算する」をご覧ください。

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よくある質問

 

Q. 返品対応の工数の目安は?

問い合わせ1件あたり10〜15分、問い合わせ率は出荷数の10〜15%というのが、複数の商談で共有されている業界水準です。返品1件をクローズするまでの所要時間は平均30分程度という実例も報告されています。

 

Q. CS人員を増やさず返品を処理するには?

ポリシー判定・返送案内・返金計算のような定型業務を自動化し、引き止めや例外判断のような人にしかできない業務だけを残す設計にします。この切り分けができれば、問い合わせ件数が増えても対応人数を増やさずに済みます。

 

Q. CS担当1人で返品対応を回すことのリスクは?

その担当者が休職・退職した瞬間に業務が完全に止まるリスクがあります。実際の商談でも、返品対応の専任担当が1人しかいないために「対応がしきれないパターンも全然あり得る」という懸念が語られています。

 

Q. CS人員を削減する企業はどんな対応をしていますか?

人員削減を先に決めてから、その後の自動化を検討する企業が少なくありません。ある企業ではすでに2名を削減し今後さらに1名の削減を予定する一方、返品交換の問い合わせ件数自体は減っておらず、自動化が追いついていない状態です。

 

Q. 「今の2倍の売上が来ても耐えられる」体制とはどういう意味ですか?

問い合わせ件数は売上に比例して増えるため、増員を前提にした体制では売上成長がそのままコスト増に直結します。ある百貨店系ECの担当者は、これを解消できることが「非常にスムーズに導入できる」決め手になると語っています。

 

Q. 自動化しても人の対応を完全になくすべきですか?

いいえ。引き止めが必要な解約対応や、ポリシー外の特例判断のように、顧客との関係性が重要な工程は人が担うべきです。自動化すべきは、判断がルールベースで決まる定型工程に限定するのが実務的です。

 

まとめ

  • CS体制の縮小・属人化は26件の商談で語られた検討トリガー
  • 問い合わせ1件あたり10〜15分、問い合わせ率は出荷数の10〜15%が業界水準
  • 1人依存の体制は担当者が抜けた瞬間に完全停止するリスクを抱える
  • 自動化すべきはポリシー判定・返送案内・返金計算などの定型工程
  • 人に残すべきは引き止め対応・ポリシー外の特例判断
  • 刺さる訴求は「今の2倍の売上が来ても耐えられる」という体制の話

 

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