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「売上が減る提案」で、なぜ利益が伸びるのか。返品対応コスト30〜40%削減を生んだ、BPO×Recustomerの協業モデル

課題

・返品・交換・キャンセル・不良品に関する問い合わせが全体の3〜4割を占めるなか、クライアントへの提案は「人を増やす」「オペレーションを工夫する」に限られてしまっていた

・やり取りが何往復も続き、クロージングまでに時間がかかるうえ、人手に頼るなかで対応品質にはばらつきも生じていた

 

活用

・問い合わせ削減の取り組みの1つとして、Recustomerを初回商談の提案資料に標準で組み込み

・Recustomer管理画面の運用そのものを受託し、事業者は人を割かずに導入できる体制に

・月1回の報告会で、返品・交換・キャンセルの件数からRecustomerへ置き換えた場合の費用を示す提案を標準化

 

効果

・クライアントの返品・交換・キャンセル関連コストを30〜40%削減。対応件数は4割減、返品完了まで約3日かかっていたリードタイムを1〜2日に短縮

・拠点数・社員数を増やさずに取引先数と売上を伸ばし、浮いた予算で別業務を追加発注されるケースも増加

 

カスタマーセンター、EC運営代行、物流までを一気通貫で担う、株式会社博報堂コンタクト&ロジスティクス(以下、HCL)。前身の日本トータルテレマーケティング株式会社時代から約4年にわたり、Recustomerのパートナーとして多くのEC事業者への導入を支えてきました。

 

コールセンターを運営する会社にとって、問い合わせを減らすシステムの提案は自社の売上を減らすことにもつながりかねません。それでもHCLがRecustomerを積極的に提案し、運用まで引き受けるのはなぜなのか。ビジネスデザイン本部 本部長の靏見氏と、協業の当初から伴走してきたRecustomer代表取締役COOの辻野を交え、協業の経緯と、パートナーとしての手応えを伺いました。

 

ビジネスデザイン本部 本部長 靏見氏

ビジネスデザイン本部 本部長 靏見氏

 

EC購入後の「裏側」を一気通貫で支える。HCLの強みとは

ーーまず、靏見さんのご役割とミッションを教えてください。

靏見氏:ビジネスデザイン本部の本部長として、会社の営業全体を管掌しています。ミッションは大きく3つで、約400社ある既存クライアントの事業成長を支えること、新規クライアントの開拓、そしてパートナー企業とのリレーション構築です。

 

営業のKPIとしては、単なる売上よりも「売上総利益(粗利)」を重視しています。いただいている案件の利益をきちんと確保することが営業のミッションでもあります。

 

ーーHCLの事業内容と、数あるBPO企業の中での強みを教えてください。

靏見氏:事業はカスタマーセンター、EC運営代行、物流、そしてAI・DXの支援が主軸です。

 

弊社の強みは、カスタマーセンター、ECバックエンドのBPO、そして物流までを一気通貫で提供できる点にあります。また、「すべてを自社だけで完結させようとしない」というスタンスも大きな特徴です。効率化や顧客満足度の向上に向けたオペレーションは私たちが責任を持って担いますが、システムは自社で開発していません。だからこそ、特定の自社システムに固執することなく、Recustomerさんのような外部パートナーのシステムをフラットかつ積極的にご提案できるのが、私たちの強みだと考えています。博報堂グループ全体のリソースを活用できることも大きいですね。

 

ーーどのようなクライアントが多いのでしょうか?

靏見氏:クライアントの8〜9割はECを運営されている事業者様で、業種としては化粧品、健康食品、アパレルが中心です。売上規模は数百億円規模の大手企業から立ち上げたばかりのスタートアップまで幅広いです。共通しているのは、「お客様からのお問い合わせが多く発生しやすい業種」であるという点ですね。

 

【課題】問い合わせの3〜4割が返品・交換。「人を増やす」以外の提案ができなかった

ーーEC購入後の業務で、現場が最も苦労していたのはどのような点でしたか?

靏見氏:クライアント全体で見ると、問い合わせの3〜4割が「返品・交換・キャンセル・不良品」に関する内容です。これらは非常に工数がかかる上にクレームに繋がりやすく、何往復もやり取りが発生するため解決までに時間がかかっていました。人手だけで対応し続けるには限界がありますし、担当者によって対応品質にばらつきが出てしまう点も大きな課題でした。

 

ーーRecustomerを知る前は、クライアントにどのような提案をされていたのでしょうか?

靏見氏:以前は問い合わせが増えると、「人員を増やしましょう」「繁忙期はこのオペレーションで乗り切りましょう」といった提案しかできませんでした。人を増やすことで課題解決を行なうことが、当時の業界における当たり前のビジネスモデルだったからです。

 

ただ、私自身「そもそもこれは本当に人間がやるべき作業なのだろうか」という疑問をずっと抱いていました。Recustomerと出会ったことで、「業務自体を自動化し、人員を削減(最適化)できます」という本質的な提案ができるようになったのです。

 

【決め手】売上は下がっても、利益と信頼は上がる。「減らす提案」を選んだ理由

ーーRecustomerとの出会いと、最初の印象を教えてください。

靏見氏:4〜5年前、知人の紹介で辻野さん(Recustomer 代表取締役COO)と会食をしたのが最初のきっかけです。その後改めてサービスの説明を聞いて、「ぜひ協業しましょう」となりました。ターゲットとする顧客層も重なっていたため、そこからスムーズに共同提案などの取り組みが進んでいきました。

 

ーーコールセンターを運営する立場からすると、問い合わせが減れば売上も減ってしまいます。それでも協業を決めたのはなぜでしょうか?

靏見氏:辻野さんからも当時、「なぜ自社の売上が落ちるかもしれないのに、一緒にやってくださるんですか?」と聞かれましたね(笑)。

 

辻野:正直、最初は不思議でした。でもお話を伺って、売上だけでなく利益を見ているHCLさんだからこそできる判断なのだと納得しました。

 

靏見氏:理由の1つ目は、利益構造の改善です。確かに売上自体は落ちるケースが多いのですが、同時に私たちの稼働コストや原価も下がるため、利益率はむしろ向上します。人の手で運用するセンターのキャパシティには限界がありますから、業務効率が上がれば同じ体制のまま対応できるクライアント数を増やすことができます。

 

もう1つは、クライアントとの「信頼関係」です。私たちが自動化を提案しなかったとしても、いずれ他社や別のツールが提案するでしょう。であれば、自分たちから真っ先に提案する方が圧倒的に信頼していただけますし、他社へリプレイスされるリスクも下がります。「効率化や自動化まで見据えて、最適なソリューションを提案してくれる会社だ」と認識していただけることが、長期的な強みになるんです。

 

辻野:システム単体の導入にとどまらず、自動化の仕組みと現場オペレーションを組み合わせたソリューションとしてご提案いただけるので、事業者様にとって最も理想的な「全体最適」の形がつくれています。私たち自身も、HCL様との取り組みを通じてその価値の大きさに気付かせていただきました。

 

ーー社内での反対はありませんでしたか?

靏見氏:経営層には特にありませんでした。当時の社長は5〜6年前から「AIの時代になれば電話はなくなる。むしろ人手を減らすような提案をしなさい」と言っていました。

 

一方で、現場の営業担当には売上目標(KPI)があるので、「売上が減ると予算に届かない」という葛藤はありました。そこで、評価指標に利益を加えたことで、現場の考え方も変わっていきました。

 

ーーツールの紹介にとどまらず、Recustomerの運用そのものを受託する形になった経緯を教えてください。

靏見氏:最初はツールの「紹介」のみを行っていました。しかし、事業者様側に「管理画面の設定や運用を担当するリソースがない」という点がボトルネックになり、導入が進まないケースが出てきたんです。それなら「運用ごと私たちが引き受ければいいのではないか」という発想に至りました。

 

これにより、私たちは運用受託という新たな案件を獲得でき、クライアントは社内リソースを割かずに自動化を導入でき、Recustomerさんにとってもシステムの扱いに慣れた私たちが運用することで、ミスなくスムーズに活用が進むという「三方良し」の形が完成しました。

 

ーー運用を組み込むうえで苦労はありましたか?

靏見氏:苦労は特になく、導入は非常にスムーズでしたね。むしろ、電話やメールの対応件数自体が減ったことで、ハードな問い合わせに伴うスタッフのストレスやクレーム対応の負担が大きく軽減されました。結果としてスタッフの離職率が下がるなど、数字上の利益だけでなく、現場の働く環境の面でも大きなプラス効果を実感しています。

 

【効果】コスト30〜40%減、リードタイムは1〜2日短縮。人員を増やさず取引先を拡大

ーー協業によって、どのような定量的な効果が出ていますか?

靏見氏:一番大きいのは、クライアントの返品・交換・キャンセル関連のコストを30〜40%ほど減らせたことです。対応件数自体も4割減っています。返品完了までのリードタイムも、以前は3日ほどから、1〜2日は確実に短くなっています。

 

クライアントからは「人員を増やさずに業務が回せる」「繁忙期でも残業なしで対応が終わる」といったお声をいただいています。自動化によって当社への委託費用自体は数割減りますが、浮いた予算で別業務を追加発注していただけるケースが増えており、以前よりもプラスアルファの提案がしやすくなりました。

 

ーーHCLさん自身の体制には、どのような変化がありましたか?

靏見氏:拠点は増えておらず、社員数も変わっていません。それでも取引先数は増え、売上も伸びています。 効率化が進んだ結果だと思います。

 

ーー特に印象に残っている案件はありますか?

「現行コストを下回る設計」で、コールセンター業務をリプレイス

 

靏見氏:複数ブランドを展開するアパレル企業A社の案件です。当時A社様では全社的なコスト削減プロジェクトが動いており、コールセンター業務は他社様が担当されていました。そこで私たちは、Recustomerやチャットツールの導入費用をすべて含めたとしても「現在の運用コストを確実に下回る設計」を組み上げてご提案し、リプレイスでのご契約をいただくことができました。最初は1ブランドのみのスタートでしたが、成果を高く評価いただき、現在では展開されている全ブランドのオペレーションをお任せいただいています。

 

ーー辻野さんは、この案件をどうご覧になっていましたか?

辻野:A社様とは展示会をきっかけにお話を進めていて、ちょうどコスト削減の方向で検討されていたタイミングでした。HCLさんがコールセンターにRecustomerを組み込んで運用する形をすでに作ってくださっていたので、「一緒に行きましょう」と自信を持って提案できました。

 

靏見氏:「当社とRecustomerをセットで導入していただければ、現在の運用コストを必ず削減できます」というパッケージ提案を携えて、さまざまな企業様へ共同提案に伺いました。

 

辻野:一緒に提案しても、HCLさんだけ決まったり、Recustomerだけ決まったりすることも当然ありました。それでも「いつか一緒にやれるはず」と、お互いに声をかけ合って提案を続けていました。

 

社内のナレッジ共有で「自発的に提案する」文化へ

ーー社内でのRecustomerの周知はどのように進めたのでしょうか?

靏見氏:最初は私から「営業の際は必ず紹介してください」と半ば強制で始めました(笑)。続けていくうちに、社内にはナレッジ共有会で「Recustomerを導入してクライアントに喜ばれた」という事例が共有されるようになりました。事例を聞いた営業担当が関心を持つようになり、今では「提案すれば受注や商談がスムーズに進む」という手応えを実感して、自発的に提案する文化が定着しています。

 

ーー既存クライアントへの追加提案にも活用されていますか?

靏見氏:活用しています。当社は問い合わせ対応と物流を担っているので、日々どれくらい返品・交換・キャンセルの依頼が来ているかを把握できます。営業担当がそのデータを確認し、月1回の定例報告会で「現在、月間500件の返品が発生しています。Recustomerに置き換えれば費用はこれだけで済み、当社のオペレーションコストも抑えられるため、こちらの仕組みへ移行した方が確実にお得です」といった提案を標準化しています。もちろん既存のお客様だけでなく、初回の商談資料にも「問い合わせを削減するソリューション」として最初から組み込んでいます。

 

ーー社員の方からは、Recustomerについてどのような声がありますか?

靏見氏:「プロダクトの価値が分かりやすく、他にないサービスなので非常に紹介しやすい」という声が多いですね。すでに多くのクライアントで明確な成果が出ているため、営業自身が確信と実体験を持って提案できているのが大きいと感じます。

 

最近では、配送状況の追跡通知機能についても「こういうものが欲しかった」とクライアントから高い評価をいただいています。また、予約購入機能はクライアントの売上を直接プラスにする施策ですので、従来の「問い合わせを減らす(効率化)」という提案とはまた違った、“攻め”のアプローチとして提案の幅が広がっています。

 

辻野:購入後だけでなく、購入前の決済でもサービスが増えるたびに、一緒に提案できる幅が広がっていくのは嬉しいですね。

 

予約販売

 

問い合わせデータ×返品データで、EC事業者のマーケティングを支援したい

ーーどのようなパートナーであれば、Recustomerと一緒に取り組むメリットが大きいと思いますか?

靏見氏:ECのバックエンドを支援している会社、裏側のオペレーションを支えている会社だと思います。

 

返品・交換・キャンセルや配送はどの事業者にもあるので、業界を問わず活用できると思います。予約購入のような決済系のプロダクトもあるので、IP、スポーツ、アイドルといったエンタメ系のように、数量に限りがある商材とも相性が良いと感じています。

 

ーー最後に、HCLさんの今後の展望と、Recustomerと取り組みたいことを教えてください。

靏見氏:これまでの、カスタマーセンター、物流、EC運営代行といったオペレーションの提供は引き続き軸にしつつ、そこで蓄積しているデータをもっと利活用していきたいと考えています。博報堂グループの強みでもある様々な生活者データとクライアントの問い合わせデータや購入データを掛け合わせることで、新しいマーケティング支援ができるようにしたいですね。AI導入後の設計やチューニングを運用で支えることにも取り組んでいきます。

 

また、お互いが持つデータを掛け合わせた取り組みにチャレンジしてみたいです。当社には返品前の問い合わせ内容や出荷のデータがあり、Recustomerさんには返品理由や配送のデータがあります。これらを組み合わせることで、「どのような購買行動をとった人が、どういった問い合わせを経て、最終的に返品に至りやすいのか」といった傾向を可視化できるはずです。その分析結果を、クライアント企業のマーケティング施策に活かしていただけるような価値を提供していきたいですね。

 

辻野:Recustomerには返品の件数や理由のデータがあり、HCLさんには各ブランドのお客様の具体的な声があります。補完し合えば、いいデータが作れそうです。

 

Recustomerとしても、事業者様に返品・交換を前向きに捉えていただかないと、なかなか向き合ってもらえないと感じています。不良品以外は返品を受け付けないECも少なくありませんが、店舗では当たり前に受けているのに、なぜECだと受けないのか。そこを一緒に変えていけたらうれしいですね。

 


【編集後記】

「売上が減る提案を、なぜするのか」。この問いに、靏見さんは「利益と信頼」という明確な答えを持っていました。「人を増やして売上を伸ばす」というBPO業界の従来の常識を見直し、オペレーションの効率化で浮いたリソースを活用して取引の幅を広げていく。その大胆な判断を支えているのは、日々の現場でリアルな数値を把握しているからこそできる、確かなデータに基づいた提案力です。

 

Recustomerはこれからも、EC事業者様の「購入後体験」を現場で支えるパートナーの皆さまと共に、この持続可能な仕組みをさらに広げていきたいと考えています。

 

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