
「置き配」を利用したことがある人のうち、約2割がトラブルを経験している――。エッセンシャルワーカー向けキャリア支援サービス「レバジョブ」を展開するレバレジーズ株式会社が2026年8月25日に発表した「宅配の受け取りに関する実態調査」で、こうした実態が明らかになりました。
置き配の利用経験者は78.4%と広く定着している一方で、利用者の17.9%が「誤配」「破損・汚損」といったトラブルを経験しており、経験者の約4割が「高価な商品は置き配を避けるようになった」と回答しています。便利さの裏で顕在化する不安に、EC事業者はどう向き合うべきかを解説します。
この記事の要点(30秒で読める)
- 何が起きた? レバジョブの調査で、置き配利用者の17.9%がトラブルを経験していることが判明
- トラブルの内容は? 「誤配」46.2%、「荷物の破損・汚損」42.9%が上位
- 消費者の行動は? トラブル経験者の39.6%が「高価な商品は置き配を避ける」ように変化
- 普及の実態は? 置き配の利用経験者は78.4%、積極利用意向も42.5%と高水準
- EC事業者への示唆は? 受取方法の選択肢提示と配送状況の可視化で、便利さと安心感を両立させる設計が必要
「置き配」とは
置き配とは、配達員と対面せずに、玄関先や宅配ボックスなどあらかじめ指定した場所に荷物を届けてもらう受け取り方法です。在宅・不在にかかわらず荷物を受け取れるうえ、再配達を依頼する手間もなくなることから、EC市場の拡大とトラックドライバー不足を背景に急速に普及してきました。
国土交通省も「置き配」を含む多様な受取方法の普及を政策的に後押ししており、非対面での受け取りが標準的な選択肢として定着しつつあります(関連記事: 宅配の「非対面受け取り」が3割を突破)。今回のレバジョブ調査は、この普及が進んだ先で何が起きているかを消費者目線で捉えたものです。
調査でわかった「トラブル経験2割」の実態
レバジョブの調査は、荷物を自身で受け取る機会がある20代〜60代以上の男女647名を対象に、2026年7月17日〜21日にインターネット調査(実査委託先: GMOリサーチ&AI株式会社)で実施されました。置き配の利用実態とトラブル経験を尋ねた結果、次のような数値が明らかになっています。
| 項目 |
回答割合 |
| 置き配の利用経験あり |
78.4% |
| 積極的に利用したい |
42.5% |
| 利用者のうちトラブル経験あり |
17.9% |
| トラブル内容: 誤配 |
46.2% |
| トラブル内容: 荷物の破損・汚損 |
42.9% |
置き配を利用したい理由としては「在宅・不在にかかわらず受け取りの手間がないから」が82.7%で最多、「配達時間を気にせず自由に外出できるから」が70.7%、「再配達を依頼する手間や申し訳なさを避けたいから」が62.6%と続いており、利便性の高さが支持の理由であることがうかがえます。
トラブル経験が変える消費者の行動
トラブルを経験した利用者の行動変化として最も多かったのは「高価な商品は置き配を避けるようになった」で39.6%でした。次いで「置き配の利用頻度を減らした」19.8%、「配送会社によって使い分けるようになった」19.8%と続いています。
また、置き配や対面受け取り以外の「自宅外での受取サービス」を利用したことがある人は38.8%に上り、内訳は「コンビニエンスストア」73.3%、「駅や街中にある宅配ロッカー」35.1%が上位でした。配達員によるオートロック解錠システムについても、約33.7%(約3人に1人)が「利用したい」と回答しており、消費者は用途や商品の価値に応じて受取方法を使い分けたいと考えていることが見て取れます。
なぜ今「置き配トラブル」が問題になっているのか
置き配トラブルが顕在化している背景には、(1)普及スピードの速さ、(2)対面確認の不在という構造的リスク、(3)政策的な後押しという3つの要因があります。
1. 普及スピードが利用者の受け皿整備を上回った
調査では置き配の利用経験者が78.4%に達しており、すでに多数派の受け取り方法になっています。急速な普及に対し、盗難・誤配時の補償や告知の仕組みが利用者に十分浸透しないまま定着が進んだ面があります。
2. 対面確認がないことが構造的なリスクになる
置き配は配達員と購入者が対面しないため、配達先の取り違え(誤配)や、屋外に置かれることによる天候・第三者接触での破損・汚損が、対面受け取りに比べて発生しやすい構造になっています。
3. 政策的にも非対面受け取りの普及が推進されている
国土交通省・経済産業省・農林水産省が2026年3月に閣議決定した「総合物流施策大綱(2026年度〜2030年度)」でも、宅配ボックスや置き配など多様な受取方法を消費者が選択しやすい環境整備を推進する方針が示されています。ドライバー不足という構造課題がある以上、置き配の普及自体は今後も進む見通しです。
日本のEC事業者への示唆
置き配の利便性を損なわずにトラブル不安を減らすには、「受取方法を選べるようにする」「配送状況を見える化する」という2つの設計が有効です。
1. 商品の価値に応じて受取方法を提案する
調査でも「高価な商品は置き配を避けるようになった」という回答が最多でした。高額商品の購入完了画面や配送設定で、対面受け取り・コンビニ受け取り・宅配ロッカー受け取りといった選択肢を提示することで、利用者が自分で安心できる受け取り方を選べるようにできます。
2. 配達完了の通知・写真で「置かれた事実」を可視化する
誤配・盗難への不安の多くは「本当に届いているのか分からない」という情報の空白から生じます。配達完了通知や配達時の写真共有によって、荷物がいつ・どこに置かれたかを購入者がすぐ確認できる状態にしておくことが、不安の軽減とトラブル発生時の初動対応の両方に役立ちます。
3. 問い合わせ対応を前提にした配送体験を設計する
「荷物が届いていない」という問い合わせは、誤配か盗難か、あるいは単なる遅延かを切り分けるところから始まります。配送追跡の情報を事前に整備しておくことで、CS対応の初動を速め、購入者の不満が大きくなる前に状況を説明できるようになります(関連記事: 送料改定ラッシュに見る配送体験の見直し)。
まとめ
- レバジョブの調査で、置き配利用者の17.9%がトラブルを経験していることが判明。内容は「誤配」46.2%、「破損・汚損」42.9%が上位
- トラブル経験者の39.6%が「高価な商品は置き配を避ける」ように行動を変化
- 置き配の利用経験者は78.4%と定着済み。普及の速さが受け皿整備を上回っている構図
- 国の「総合物流施策大綱(2026〜2030年度)」でも非対面受け取りの環境整備を推進する方針
- EC事業者は受取方法の選択肢提示と配送状況の可視化をセットで設計すべき
よくある質問
Q. 置き配とは何ですか?
置き配とは、配達員と対面せずに、玄関先や宅配ボックスなどあらかじめ指定した場所に荷物を届けてもらう受け取り方法です。再配達の手間を省け、在宅・不在にかかわらず荷物を受け取れる利便性から、EC市場の拡大とドライバー不足を背景に普及が進んでいます。
Q. 置き配のトラブルにはどのようなものがありますか?
レバジョブの調査によると、置き配利用者の約2割(17.9%)がトラブルを経験しており、内容は「誤配(他人の荷物が置かれていた、自分の荷物が別の場所に置かれた)」が46.2%で最多、「荷物の破損・汚損」が42.9%で続きました。
Q. なぜ置き配トラブルが起きるのですか?
置き配は対面での本人確認や検品の機会がないため、配達先の取り違えや、玄関先での天候・第三者の接触による破損・汚損、盗難のリスクが対面受け取りより高くなります。利用が急速に広がった結果、こうしたリスクが顕在化しています。
Q. 置き配トラブルは消費者の行動をどう変えていますか?
レバジョブの調査では、トラブルを経験した利用者の39.6%が「高価な商品は置き配を避けるようになった」と回答し、19.8%が「置き配の利用頻度を減らした」、同じく19.8%が「配送会社によって使い分けるようになった」と回答しています。
Q. EC事業者は置き配トラブルにどう対応すべきですか?
受取方法を購入者自身が選べるようにする、配達完了通知や配達写真で状況を可視化する、高額商品は対面受け取りやコンビニ・宅配ロッカー受け取りを案内する、といった対応が有効です。配送状況が追跡できる仕組みは、誤配・盗難時の対応スピードも上げます。
Q. 配送追跡はトラブル不安の軽減に役立ちますか?
配送追跡によって荷物の現在地・配達完了状況をリアルタイムで購入者に共有できれば、「届いているはずなのに見当たらない」といった誤配・盗難の不安に対して早期に気づき、対応できます。問い合わせ対応の負荷軽減にもつながります。
参考・出典
- ECのミカタ「「置き配」利用者の約2割がトラブルを経験、「誤配」「盗難」への不安が課題 レバレジーズ調査」(2026年8月31日掲載)
- コマースピック「宅配の置き配利用率は約8割、しかし約2割がトラブル経験ありと判明|レバジョブ調査」(2026年8月25日掲載)
- 国土交通省・経済産業省・農林水産省「総合物流施策大綱(2026年度〜2030年度)」(2026年3月31日閣議決定)
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