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公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)が公表した2026年8月の相談動向では、通販・ECの総相談145件のうち、定期購入に関する相談は31件でした。件数だけでなく注目すべきなのは、健康食品のネット広告をきっかけに「購入を確定した認識がないのに、後日、定期コースの商品が届いた」という相談が複数あった点です。
申込み時の表示と購入者の認識がずれると、売上はキャンセルや返金で消え、問い合わせ対応のコストが増え、ブランドへの不信が次回購入を遠ざけます。
定期購入の「注文認識ずれ」とは
本記事でいう「注文認識ずれ」とは、ECサイト上では注文が成立していても、購入者が「定期購入を申し込んだ」「注文を確定した」と認識していない状態です。これは法令上の正式な用語ではありませんが、広告、申込み画面、最終確認画面、注文完了通知のどこかで情報の受け取り方がずれた状態を整理する言葉として使います。
JADMAが公表した2026年8月の主な数値は次のとおりです。
| 項目 |
2026年8月 |
JADMAの説明 |
| 通販・ECの総相談 |
145件 |
前年同月174件から減少 |
| 定期購入に関する相談 |
31件 |
前月・前年同月比ともに増加 |
| 詐欺的事業者に関する相談 |
24件 |
前年同月32件から減少 |
重要: 総相談件数が前年同月より減っていても、定期購入の相談は増えています。全体件数だけで「問題は改善した」と判断せず、相談理由を分けて見る必要があります。
ニュースの詳細:定期購入31件が示したこと
JADMAの発表によると、8月は健康食品のネット広告をきっかけとした定期購入相談が複数発生しました。公表ページは個別企業名や広告表現の詳細までは示していないため、確認できない原因を推測で決めつけるべきではありません。
一方、購入者側に「注文を確定した認識がない」という声が出た事実は、獲得施策と購入後対応を別々に管理する危険を示します。広告のCVだけを最適化しても、その注文が異議申立て、キャンセル、返金へ進めば、見かけの売上と実際に残る売上は一致しません。
消費者庁は、2022年6月1日施行の改正特定商取引法について、事業者が取引の基本事項を最終確認画面で明確に表示する必要があると案内しています。また、誤認させる表示によって申込みをした消費者は、契約を取り消せる可能性があるとしています。
したがって、購入後のCSだけで問題を吸収するのではなく、広告から注文確定までの表示と、注文後の通知・解約案内を一つの顧客体験として扱うことが重要です。
なぜ今、申込み時の認識と購入後体験を一緒に見るべきか
獲得効率と利益が同じ方向を向くとは限らない
広告から申込みまでの離脱を減らすことは重要です。ただし、契約条件の理解まで薄くすると、購入後に問い合わせ、キャンセル、返金が増え、広告費を投じて獲得した売上が残りません。
EC事業責任者が見るべきなのは、注文完了数だけではなく「返金後に残った売上」と「その顧客が再購入したか」です。獲得部門とCS部門でKPIが分かれている場合ほど、同じ注文IDで結果をつなぐ必要があります。
画面が増えるほど、説明の不一致が起きやすい
SNS広告、ランディングページ、カート、確認メール、マイページが別々に運用されると、価格、配送頻度、解約条件の説明がずれる余地が増えます。
さらに、問い合わせ窓口が広告担当、受注担当、CSへ分断されていると、顧客は同じ事情を何度も説明することになります。この摩擦は解約や返金の処理コストだけでなく、ブランドから離れる理由にもなります。
日本のEC事業者への示唆:売上を残すための5つの実務
1. 広告から完了通知までを一本の導線として監査する
広告だけ、最終確認画面だけを見るのではなく、初回価格、2回目以降の価格、配送頻度、総額、解約・キャンセル条件が各接点で矛盾していないかを確認します。
2. 同意時点の表示と注文情報を追えるようにする
問い合わせが起きたとき、現在のページだけを見ても、購入者が申込み時に見た条件は分かりません。表示バージョン、適用キャンペーン、注文日時、通知履歴を注文単位で確認できる状態にします。
3. 注文直後の通知で認識差を早く見つける
注文完了メールやマイページに、商品名、数量、支払額、配送予定、定期購入であること、次回予定を分かりやすく示します。認識差があるなら、出荷や次回課金の後ではなく、早い段階で問い合わせてもらえる設計のほうが損失を抑えやすくなります。
4. 異議対応を「防御」だけで終わらせない
購入者の話を否定することから始めると、解決が長引きます。まず注文内容と同意時点の情報を同じ窓口で確認し、キャンセル、返品、継続条件の変更など、契約と自社ポリシーに沿った選択肢を整理して示します。
無理に継続させて一回分の売上を守っても、チャージバックや低評価、将来の離脱につながれば利益は残りません。迅速で一貫した解決は、顧客との関係を完全に失わないための購入後体験です。
5. 問い合わせを利益指標へつなぐ
「定期購入だと認識していなかった」「注文した覚えがない」といった理由を分類し、広告・LP・キャンペーン別に集計します。件数だけでなく、返金額、対応時間、再購入、継続率まで追うと、改善の優先順位を事業責任者が判断できます。
| 見る指標 |
分かること |
主な改善先 |
| 注文認識に関する問い合わせ率 |
表示と認識のずれ |
広告・LP・最終確認画面 |
| 初回解決率と解決時間 |
購入後対応の分断 |
情報連携・権限・窓口 |
| 返金後売上と再購入率 |
最終的に残った価値 |
解決策・フォロー施策 |
よくある質問
Q. JADMAが公表した定期購入相談31件とは何ですか?
A. JADMA消費者相談室に2026年8月に寄せられた、定期購入に関する相談件数です。JADMAは前月・前年同月比ともに増加したと説明しています。
Q. 「注文した認識がない」という相談は、EC事業者に何を示しますか?
A. 広告から注文完了までの表示や画面遷移と、購入者の認識が一致していない可能性を示します。最終確認画面だけでなく、広告、入力画面、完了通知まで一連の体験として点検する必要があります。
Q. 最終確認画面には何を表示すべきですか?
A. 消費者庁は、改正特定商取引法により、取引の基本事項を最終確認画面で明確に表示する必要があると案内しています。具体的な表示は、自社の商材と契約条件に照らして法務専門家へ確認してください。
Q. 購入後の問い合わせ対応で優先すべきことは何ですか?
A. 注文内容、同意時点の表示、解約・キャンセル条件を同じ窓口で確認できる状態にし、回答期限と責任者を決めることです。顧客に同じ説明を繰り返させない設計も重要です。
Q. 改善効果はどの指標で確認できますか?
A. 申込み認識に関する問い合わせ率、初回解決率、キャンセル完了までの時間、返金理由、継続率などを組み合わせます。問い合わせ件数だけでなく、売上維持と再購入への影響まで追うことが重要です。
まとめ
- JADMAの2026年8月データでは、総相談145件のうち定期購入相談は31件で、前月・前年同月比ともに増加しました。
- 「注文した認識がない」という声は、獲得施策と購入後対応を一本の体験として点検すべきサインです。
- EC事業責任者は注文完了数だけでなく、返金後売上、解決時間、再購入までつないで判断する必要があります。
- 広告から完了通知までの表示監査、同意時点の証跡、早期通知、異議対応の標準化が実務の優先事項です。
次の一歩を、負担の軽い順に選べます
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参考・出典
- 公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)「2026年8月 通販・ECトラブル動向|定期購入31件、健康食品のネット広告に関する相談」
- 消費者庁「インターネット通販の定期購入トラブルには御注意を!」