
返品の申請フォームを作り込んでも、購入者の体験が最後につまずくのは「返送」です。返送伝票を手書きし、梱包した商品を持って営業所やコンビニまで行き、あるいは配送会社に電話して集荷を手配する──申請を終えた購入者に、まだこれだけの作業が残っています。
事業者側にも負担が残ります。返送先や返送期限をメールで案内し、「伝票はどこに書けばいいのか」「集荷は何時に来るのか」という問い合わせに個別に答える必要があるためです。
この記事では、Recustomerが配送会社・返品サービスとの連携によって提供している返送自動化の4つの方法を取り上げ、それぞれの仕組みと向いているケースを比較します。
返品の返送自動化とは
返品の返送自動化とは、購入者が返品・交換の申請を終えた時点で、集荷依頼の送信や返送用のQRコード発行までが自動で完了し、購入者が伝票を書かずに返送できる状態をつくる仕組みです。返送手段ごとに配送会社や返品サービスとAPI連携し、申請データを引き渡すことで実現します。
自動化されるのは、購入者側の「伝票を書く・集荷を手配する」作業と、事業者側の「返送方法を案内する」作業の両方です。返送方法の案内はCS問い合わせの中でも件数が多い領域のため、ここが自動化されると問い合わせ全体の件数が下がります。
返送を自動化する4つの方法
方法① 佐川急便の自動集荷
購入者が申請時に集荷先の住所と希望日時を指定すると、佐川急便への集荷依頼が自動で送信されます。指定した日時にドライバーが訪問するため、伝票を書く必要も、営業所やコンビニへ持ち込む必要もありません。自宅から出ずに返送を完了できるため、大きな荷物や複数点の返品にも向いています。
集荷にかかる費用をどちらが負担するか(購入者・店舗)は、ストアの設定で選択します。
方法② ヤマト運輸の配送連携API(QR伝票レス返送)
2026年8月に開始したヤマト運輸との配送連携APIでは、返品・交換の申請完了時にQRコード/バーコードが発行されます。購入者はそれをコンビニまたはヤマト運輸の営業所で提示するだけで、伝票を記入せずに返送できます。自宅集荷も選べるため、「出かける用事があるときは持ち込み、ないときは集荷」といった使い分けが可能です。
佐川急便との既存連携とあわせて大手配送会社2社に対応する形になり、事業者側では個別に行っていた返送案内の手配業務が不要になります。
方法③ SMARI(ローソンのスマリボックス)
SMARIは、ローソン店舗に設置された返却ボックス「スマリボックス」を使う返送方法です。購入者はボックスにQRコードをかざし、商品を投函するだけで返送が完了します。レジに並ぶ必要も、店員に品名を伝える必要もありません。返送を人に見られたくない、レジ待ちの時間を取られたくないという心理的な負担を下げられる点が特徴です。
物流面では、ローソンへの納品後に戻るトラックの空きスペースを活用して回収する仕組みのため、配送コストと二酸化炭素排出量の削減にもつながります。
方法④ TracX Logis(越境ECの返品)
海外顧客の返品に対応するのが、グローバルeコマース物流プラットフォームTracX Logisとの連携です(2026年7月開始)。シンガポール経由の返品について、自宅での集荷と、シンガポール全土1,000か所超のPick Networkスマートロッカーへのドロップオフという2つの返送方法を提供します。
越境ECの返品は、国際返送の手配とラベル発行の手間から、そもそも受け付けていない企業も少なくありません。返送手段をロッカーと集荷に置き換えることで、事業者側の工数と購入者側のハードルを同時に下げられます。
4つの方法の比較
| 方法 |
購入者の手間 |
対応エリア |
向いているケース |
| 佐川急便の自動集荷 |
住所と希望日時を選ぶだけ。伝票記入・持ち込みは不要 |
国内 |
外出せずに返送したい購入者が多い場合、荷物が大きい場合 |
| ヤマト運輸のQR伝票レス返送 |
QR/バーコードを提示するだけ。自宅集荷も選択可 |
国内 |
持ち込みと集荷を購入者に選ばせたい場合 |
| SMARI(ローソン) |
スマリボックスにQRをかざして投函。レジ待ちなし |
スマリボックス設置店舗 |
小型商品が中心で、対面せずに返送したい購入者が多い場合 |
| TracX Logis |
スマートロッカーへのドロップオフ、または自宅集荷 |
シンガポール(全土1,000か所超のロッカー) |
越境ECで海外顧客の返品を受け付けたい場合 |
ポイント: 4つの方法は排他的な選択ではありません。国内は佐川急便の自動集荷とヤマト運輸のQR返送を購入者に選ばせ、海外顧客はTracX Logisといった形で、商品特性と購入者層に応じて組み合わせられます。
大型商品の返送に対応する複数日程集荷
家具や家電などの大型商品では、集荷日時の調整そのものが負担になります。1つの希望日を出しても都合が合わず、メールや電話で何往復もするケースが起きるためです。2026年5月に導入された複数日程集荷機能は、この調整負荷に対応するものです。
- 複数の候補日を提示:購入者が申請時に複数の希望日を選べるため、日程調整の往復が減ります
- 配送会社への対応:ヤマト運輸・佐川急便とは標準連携し、API連携のない配送会社にはカスタムフォームで対応します
- 郵便番号単位の設定:地域ごとの配送キャパシティに応じて、提示する日程を調整できます
返送自動化はカート・OMSとあわせて設計する
返送の自動化は単体でも効果がありますが、工数を大きく減らすには申請の受付・可否判定(カート/OMS連携)とあわせて設計するのが基本です。返送だけを自動化しても、受付が手作業のままでは全体のリードタイムは短くなりません。
カート・OMS・配送会社をつないだ具体的な構成はShopify×ロジレス×佐川急便の3点連携、OMS側で自動化できる範囲はOMS連携で返品・交換はどこまで自動化できるかで解説しています。連携できるシステムの全体像はRecustomerと連携できるシステム一覧をご覧ください。
よくある質問
Q. 返送方法は購入者に選ばせることもできますか?
できます。ストアで有効にした返送方法が申請画面に表示され、購入者が自宅集荷・コンビニ持ち込み・営業所持ち込みなどから選べます。返送方法を1つに固定する運用も可能です。
Q. 集荷にかかる費用はどちらの負担になりますか?
購入者負担と店舗負担のどちらにするかは、ストアの設定で選択します。返品理由(商品不備か、購入者都合か)によって負担者を分ける運用にも対応できます。
Q. QRコードによる伝票レス返送はどこで使えますか?
ヤマト運輸との配送連携APIでは、コンビニまたはヤマト運輸の営業所での持ち込みに対応しています。SMARIの場合は、スマリボックスが設置されたローソン店舗が対象です。
Q. 大型商品の返品にも対応できますか?
対応できます。複数日程集荷機能により、購入者が複数の集荷希望日を提示できるため、日程調整の往復を減らせます。郵便番号単位で提示する日程を調整することも可能です。
Q. API連携のない配送会社を使っている場合はどうなりますか?
カスタムフォームで対応します。購入者から集荷希望日や返送情報を受け取り、事業者側で利用中の配送会社に手配する運用に載せられます。
Q. 海外からの返品も自動化できますか?
TracX Logisとの連携により、シンガポール経由の返品について自宅集荷とスマートロッカーへのドロップオフに対応しています。対象地域や運用条件は個別にご相談ください。
まとめ
返品の返送自動化には、佐川急便の自動集荷、ヤマト運輸のQR伝票レス返送、ローソンのSMARI、越境返品のTracX Logisという4つの方法があります。いずれも購入者が伝票を書かずに返送でき、事業者側の返送案内の手配業務がなくなる点が共通しています。商品のサイズ、購入者層、対応したい地域によって適した方法は変わるため、複数の返送方法を組み合わせて設計することが有効です。大型商品を扱う場合は、複数日程集荷機能をあわせて検討してください。
出典・参考文献
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