
「返品・交換の自動化に興味はあるが、自社のシステム構成で使えるのか分からない」──EC事業者からよく寄せられる質問です。返品・交換・キャンセルの自動化は、カート(EC構築システム)だけで完結しません。注文データがどこにあるか、在庫と出荷指示をどのシステムが持っているか、返送をどの配送会社に任せるか、返金をどの決済手段で戻すか。この4つがつながって初めて、申請から返金・再出荷までが自動で流れます。
この記事では、Recustomerが2026年時点で連携できるシステムをカート・モール・OMS・物流/返送・決済/返金のカテゴリごとに整理し、それぞれ何が自動化できるのかを公開情報にもとづいて一覧にまとめます。

ECシステム連携とは
ECシステム連携とは、カート・モール・OMS(受注管理システム)・物流・決済といった複数のシステムをAPIやデータ連携でつなぎ、人間が画面を行き来して転記していた作業をシステム間のデータのやり取りに置き換えることです。Recustomerはこの連携のハブとして動作し、購入者からの返品・交換・キャンセル申請を受け取ったあと、必要な処理をそれぞれのシステムに振り分けます。
具体的には、次のような処理が各システムに振り分けられます。
- カート/モール:注文データの照合、返金処理、在庫戻し、注文ステータスの同期
- OMS:在庫の参照、交換品の受注伝票の自動作成、キャンセル時の伝票取消
- 物流・返送:集荷依頼の送信、伝票レス返送用のQRコード発行
- 決済・返金:決済手段に応じた返金の実行、返金ステータスの購入者への通知
ポイント: 連携先が増えるほど自動化の範囲は広がりますが、全部を揃える必要はありません。「カート+返送」だけでも受付と返送案内は自動化できます。自社が今どこまで持っているかを確認するところから始めるのが現実的です。
カート(EC構築システム)との連携
注文データの取得元となるカートとの連携です。返金・在庫戻し・注文ステータスの同期は、このレイヤーで実行されます。
| 連携先 |
できること |
発表時期 |
| Shopify |
アプリをインストールするだけで連携開始。注文データの自動照合、返品ポリシーに沿った受付可否の判定、返金処理と在庫戻しの自動実行 |
2022年1月 (2026年1月に強化) |
| ecforce |
API連携により、ecforce上の受注データを参照した申請受付・可否判定・返金処理の自動化に対応 |
2025年7月 |
| W2 Unified / W2 Repeat |
API連携により、注文データの照合から返品・交換・キャンセルの受付処理までを自動化 |
2024年9月 |
| CSV取込・カスタムAPI連携 |
フルスクラッチや上記以外のカートでも、注文データのCSV取込または個別のAPI連携で対応可能 |
2024年2月 (配送追跡の対象拡大) |
Shopifyを利用している場合の具体的な構成はShopify×ロジレス×佐川急便の3点連携、Shopify以外のカートやフルスクラッチの場合はCSV連携・カスタムAPI連携での自動化、ecforceの場合はecforce連携での返品自動化で詳しく解説しています。
モール(楽天市場)との連携
モール注文の返品・交換・キャンセルは、これまでOMS経由でしか自動化できませんでした。2026年7月31日には楽天市場のRMSとのAPI直接連携が発表され、8月から提供が開始されています。
| 連携先 |
できること |
発表時期 |
| 楽天市場 RMS |
RMSの受注データとAPIで直接連携。氏名と注文番号による自動照合、返品ポリシーに沿った可否判定、楽天ペイ決済分の返金自動化、返金ステータスの購入者への自動通知。OMS未導入・楽天単独出店でも利用可 |
2026年7月31日発表 (8月提供開始) |
OMSを利用している場合は従来どおりOMS経由でも楽天・Yahoo!などのモール注文に対応できます。2つのルートの違いと選び方は楽天市場の返品・交換・キャンセル対応を自動化する方法で整理しています。自社ECと楽天を併売している場合の構成はモール多店舗×OMS×自動集荷の連携構成が参考になります。
OMS(受注管理システム)との連携
交換対応の自動化で要になるのがOMS連携です。在庫の参照ができなければ「交換可能な商品」を購入者に提示できず、伝票の自動作成ができなければ交換品の出荷指示が手作業のまま残ります。
| 連携先 |
できること |
発表時期 |
| ネクストエンジン |
在庫参照と交換伝票の自動作成に対応。2023年4月の強化でモール注文にも対応。導入事業者では申請の82%を自動化した実績が公開されています |
2022年3月 (2023年4月に強化) |
| ロジレス(LOGILESS) |
受注・出荷・商品データの連携に対応。交換申請の承認と同時に交換品の受注伝票を自動作成し、倉庫への出荷指示まで流れます |
2023年5月 (連携強化) |
| CROSS MALL |
CROSS MALLの在庫を参照して交換可能な商品を自動表示。モール店舗と併売している場合に有効 |
2022年9月 |
| アシスト店長 |
アシスト店長の受注・在庫データと連携し、返品・交換の受付から伝票処理までを自動化 |
2023年10月 |
| ALIS |
ALISの受注データと連携し、返品・交換・キャンセルの受付処理を自動化 |
2023年12月 |
OMS連携でどこまで自動化できるかの詳細はOMS連携で返品・交換はどこまで自動化できるかで解説しています。
物流・返送との連携
購入者が実際に商品を送り返す部分の連携です。ここを自動化すると、「返送方法の案内」というCS業務そのものがなくなります。
| 連携先 |
できること |
発表時期 |
| 佐川急便 |
自動集荷の標準連携。申請完了時に、購入者が指定した住所・希望日時で集荷依頼が自動送信されます |
標準連携 |
ヤマト運輸 (配送連携API) |
QRコード・バーコードの提示による伝票レス返送に対応。コンビニ・営業所への持ち込みと自宅集荷から選択できます |
2026年8月7日 |
| SMARI |
ローソンに設置されたスマリボックスにQRコードをかざすだけで返送が完了。梱包材や伝票の準備が不要です |
2022年1月 |
| TracX Logis |
シンガポールを対象とした越境返品に対応。現地の1,000か所を超えるスマートロッカーを返送拠点として利用できます |
2026年7月21日 |
集荷にかかる費用の負担(購入者・店舗)はストアの設定で選択します。返送手段の比較は返品の返送を自動化する方法と返品方法の選び方で詳しく整理しています。
決済・返金との連携
返金は「返品を受け付けたあと」の最後の工程ですが、手作業が残りやすい部分でもあります。決済手段ごとに返金の操作画面が異なり、購入者への連絡も個別対応になりがちです。
| 連携先・対応手段 |
できること |
発表時期 |
Paidy / Amazon Pay PayPal / GMOイプシロン |
各決済手段での返金対応。多様な決済を導入しているストアでも、返金処理を同じフローに乗せられます |
2022年8月 |
| 楽天ペイ |
楽天市場RMS連携に内包。楽天ペイ決済分は返金までを自動で実行し、返金ステータスを購入者に自動通知します |
2026年7月31日発表 |
プロダクト間の組み合わせ(購入後体験の連携)
外部システムとの連携に加えて、Recustomerのプロダクトどうしを組み合わせる構成もあります。返品・交換の受付と配送追跡を同じ画面でつなぐ、お試し購入(Try Before You Buy)の返送フローに返品自動化をそのまま使うといった形です。購入から返送までが1つの体験としてつながるため、購入者が問い合わせをする理由自体が減ります。
詳細は返品自動化と配送追跡・お試し購入の組み合わせで解説しています。
自社の構成でどこまで自動化できるかの見当をつける
連携先の一覧だけでは判断しにくいため、次の3点を確認すると自動化できる範囲の見当がつきます。
- 注文データがどこにあるか:カート(Shopify・ecforceなど)か、モール(楽天市場)か、OMSに集約されているか。ここが申請の自動照合の起点になります
- 在庫と出荷指示をどのシステムが持っているか:OMSがあれば交換品の伝票自動作成まで届きます。無い場合もカート内の在庫参照で交換注文の自動作成に対応できます
- 返送と返金をどう戻すか:自動集荷・伝票レス返送・決済手段ごとの返金のうち、どれを使うかを決めます
補足: 一覧に載っていないシステムでも、CSV取込やカスタムAPI連携で対応しています。「自社のカートが対象外だから無理」と判断する前に、注文データの受け渡し方法からご相談ください。
よくある質問
Q. 利用中のカートがShopify以外でも連携できますか?
できます。ecforce、W2 Unified・W2 RepeatとはAPI連携に対応しています。それ以外のカートやフルスクラッチの場合も、注文データのCSV取込またはカスタムAPI連携で対応できます。
Q. OMSを導入していない場合でも自動化できますか?
できます。返品・キャンセルの受付と可否判定、返金・在庫戻しはカート連携だけで自動化できます。交換についても、カート内の在庫を参照して交換注文を自動作成する運用に対応しています。
Q. 楽天市場だけに出店している場合も対応できますか?
対応できます。2026年8月から提供されている楽天市場RMSとのAPI直接連携により、OMSを導入していない楽天単独出店の店舗でも、申請の自動照合から可否判定、楽天ペイ決済分の返金までを自動化できます。
Q. 連携には開発工数が必要ですか?
連携先によって異なります。Shopifyはアプリのインストールと初期設定のみで開始できます。API連携に対応しているシステムは設定作業が中心です。カスタムAPI連携やCSV取込の場合は、データの受け渡し方法の設計が必要になります。
Q. 返送の集荷はどの配送会社に対応していますか?
佐川急便・ヤマト運輸の自動集荷に対応しています。ヤマト運輸の配送連携APIではQRコード・バーコードによる伝票レス返送に対応し、コンビニ・営業所への持ち込みと自宅集荷を選択できます。ローソン設置のスマリボックスを使うSMARIにも対応しています。集荷にかかる費用の負担(購入者・店舗)はストアの設定で選択します。
Q. 返金はどの決済手段に対応していますか?
Paidy・Amazon Pay・PayPal・GMOイプシロンでの返金に対応しています。楽天市場RMS連携では楽天ペイ決済分の返金も自動で実行されます。
Q. 越境ECの返品にも対応していますか?
シンガポールを対象とした越境返品については、TracX Logisとの連携により現地の1,000か所を超えるスマートロッカーを返送拠点として利用できます。
Q. 複数のシステムを同時に連携できますか?
できます。たとえばカート(Shopify)・OMS(ロジレス)・配送会社(佐川急便)を同時に連携し、受付から交換品の出荷指示、返送の集荷までを一続きで自動化する構成が実際に運用されています。
Q. 一覧に無いシステムを使っている場合はどうなりますか?
連携の可否は、注文データの取得方法と返金・在庫処理の要件によって判断します。CSV取込やカスタムAPI連携での対応が可能な場合があるため、現在のシステム構成をお伝えいただければ実現できる範囲をご提案します。
まとめ
Recustomerの連携先は、カート(Shopify・ecforce・W2・CSV/カスタムAPI)、モール(楽天市場RMS)、OMS(ネクストエンジン・ロジレス・CROSS MALL・アシスト店長・ALIS)、物流・返送(佐川急便・ヤマト運輸・SMARI・TracX Logis)、決済・返金(Paidy・Amazon Pay・PayPal・GMOイプシロン・楽天ペイ)の5カテゴリに整理できます。
重要なのは、これらを全部揃える必要はないという点です。注文データの在り処と、在庫・出荷指示を持つシステム、そして返送・返金の戻し方の3点が決まれば、自社の構成で自動化できる範囲は見えてきます。まずは今使っているシステムを棚卸しし、どのレイヤーに手作業が残っているかを確認するところから始めてください。
出典・参考文献
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