
自社ECはツールで受付、楽天市場はRMSの画面を見ながらメールで対応、Yahoo!ショッピングは別の担当者が管理画面で処理──多店舗運営では、返品・交換の対応フローがチャネルごとに分断されがちです。同じ商品の同じ返品理由でも、店舗が違えば手順も判断基準も別。担当者が変わると運用が揺れ、返品率や理由の集計もチャネルをまたいで比較できません。
この記事では、この分断を解消する連携構成として「モール多店舗 × OMS × 自動集荷」を取り上げ、なぜOMSを軸にするとチャネルを問わず同じフローに乗せられるのかを解説します。

モール多店舗の返品一元化とは
モール多店舗の返品一元化とは、自社EC・楽天市場・Yahoo!ショッピングなど複数チャネルの返品・交換・キャンセル対応を、チャネルごとに別々の手順で処理するのをやめ、1つの受付フローと1つの判断基準にまとめることです。Recustomerでこれを実現する鍵は、OMS(受注管理システム)を経由することです。
多店舗運営では、多くの場合すでにOMSが各チャネルの注文を集約しています。CROSS MALL・ネクストエンジン・ロジレス・アシスト店長・ALISといったOMSは、モールごとの受注データを取り込んで1か所で管理する役割を担っています。RecustomerはこのOMSと連携するだけで、注文がどのチャネル由来かを問わず同じフローで自動化できます。楽天市場用の設定とYahoo!ショッピング用の設定を別に作る必要はありません。
ポイント: 「チャネルが増えるほど返品対応の運用も増える」という構造は、OMSを軸にすることで断ち切れます。新しいモールに出店してもOMSが注文を取り込む限り、返品対応の追加設定は最小限で済みます。
連携構成の全体像
ステップ① 申請の受付と自動照合
購入者は、購入したチャネルにかかわらず同じ受付フォームから申請します。氏名と注文番号を入力すると、OMSに集約された受注データと自動で照合され、対象商品や購入日をもとに店舗の返品ポリシーに沿った受付可否が判定されます。担当者がチャネルごとに管理画面を開いて注文を探す作業がなくなります。
ステップ② 承認時のOMS伝票処理
申請が承認されると、Recustomerが自動でOMS側の伝票を処理します。
- 交換の場合:OMSに交換品の受注伝票を自動作成。在庫の引き当てから倉庫への出荷指示までがそのまま流れます
- キャンセルの場合:OMS上の受注伝票を自動で取り消します
- 返品(返金)の場合:在庫戻しと返金処理を、連携先システムの対応範囲に応じて実行します
ここが自動化されるかどうかで、交換対応の負荷は大きく変わります。交換品の伝票を手入力で起こす運用が残っていると、「交換ではなく返金して買い直してもらう」という妥協が生まれやすく、結果として売上を取りこぼします。
ステップ③ 返送の自動集荷
申請完了と同時に、返送の手配も自動で進みます。佐川急便の自動集荷では、購入者が指定した住所・希望日時に合わせて集荷依頼が自動送信されます。ヤマト運輸の配送連携APIを使う場合は、QRコード・バーコードの提示による伝票レス返送に対応し、コンビニ・営業所への持ち込みと自宅集荷から購入者が選べます。
購入者は伝票を手書きする必要も、返送方法を問い合わせる必要もありません。集荷にかかる費用の負担(購入者・店舗)はストアの設定で選択します。返送手段の比較は返品の返送を自動化する方法で詳しく整理しています。
対応しているOMSと特徴
| OMS |
多店舗運営での特徴 |
発表時期 |
| CROSS MALL |
CROSS MALLの在庫を参照して交換可能な商品を自動表示。モール店舗と自社ECを併売している構成に適しています |
2022年9月 |
| ネクストエンジン |
2023年4月の連携強化でモール注文に対応。在庫参照と交換伝票の自動作成を含め、導入事業者では申請の82%を自動化した実績が公開されています |
2022年3月 (2023年4月に強化) |
| ロジレス(LOGILESS) |
OMSとWMSが一体のため、交換伝票の発行から倉庫の出荷指示までが最短でつながります |
2023年5月 |
| アシスト店長 |
アシスト店長の受注・在庫データと連携し、返品・交換の受付から伝票処理までを自動化できます |
2023年10月 |
| ALIS |
ALISの受注データと連携し、返品・交換・キャンセルの受付処理を自動化できます |
2023年12月 |
OMSを導入していない場合でも、楽天市場についてはRMSとのAPI直接連携で対応できます。2つのルートの違いは楽天市場の返品・交換・キャンセル対応を自動化する方法で整理しています。
導入による変化(匿名の効果例)
複数チャネルを運営するアパレル企業では、この構成の導入後に次のような変化がありました(固有の数値は丸めています)。
| 導入前 |
導入後 |
| 返品・交換に関する問い合わせがチャネルごとに発生 |
問い合わせ件数が半分以下に減少 |
| 返送方法は購入者に個別案内。伝票の手書きが前提 |
自動集荷の利用が大幅に増加 |
| チャネルごとに手順と判断基準が異なる |
OMSを軸に同一フローへ統合 |
また、ネクストエンジン連携については、導入事業者において申請の82%を自動化した実績が公開されています。問い合わせが減る理由は「対応が速くなったから」だけではありません。購入者が自分で申請から返送まで完了できるため、そもそも問い合わせる理由が生まれないという構造の変化が効いています。
補足: 効果の出方はチャネル構成と返品率によって変わります。モール比率が高い事業者ではOMS連携の効果が大きく、自社EC中心の事業者ではカート連携との組み合わせが効きます。
この構成が向いている企業
- 自社ECと複数のモール店舗を運営し、OMSで注文を集約している
- チャネルごとに返品対応の担当者・手順が分かれており、運用の標準化ができていない
- 交換対応の伝票作成が重く、返金して買い直してもらう運用で妥協している
- 新しいモールへの出店を検討しており、返品対応の運用が増えることを懸念している
自社ECがShopifyの場合の具体的な構成はShopify×ロジレス×佐川急便の3点連携、連携先の全体像はRecustomerと連携できるシステム一覧で確認できます。
よくある質問
Q. チャネルごとに返品ポリシーを分けられますか?
分けられます。返品を受け付ける期間や対象外の商品カテゴリなどはストアごとに設定できるため、モールの規約に合わせた条件と自社ECの条件を別に運用できます。運用を統一したい場合は同じ設定を適用することもできます。
Q. OMSを導入していない場合はどうすればよいですか?
楽天市場についてはRMSとのAPI直接連携で対応できます。自社ECについてはカート連携(Shopify・ecforce・W2 Unified・W2 Repeat等)で対応できます。まずは注文件数の多いチャネルから自動化を始め、段階的に広げる進め方が現実的です。
Q. 交換品の伝票は自動で発行されますか?
承認と同時に自動発行するか、オペレーターが内容を確認してから発行するかを、ストアごとの運用に合わせて選択できます。件数が多いチャネルは自動、確認を挟みたいチャネルは手動という使い分けも可能です。
Q. 集荷はどの配送会社に対応していますか?
佐川急便・ヤマト運輸の自動集荷に対応しています。ヤマト運輸の配送連携APIではQRコード・バーコードによる伝票レス返送に対応し、コンビニ・営業所への持ち込みと自宅集荷を選択できます。集荷にかかる費用の負担(購入者・店舗)はストアの設定で選択します。
Q. チャネルをまたいだ返品データの分析はできますか?
できます。受付が1つのフローに統合されるため、返品理由や返品率をチャネル横断で同じ粒度で集計できます。チャネルごとにフォーマットの違うデータを手作業で突き合わせる必要がなくなります。
Q. 新しいモールに出店した場合、設定を作り直す必要がありますか?
OMSが新しいチャネルの注文を取り込む構成であれば、返品対応の追加設定は最小限で済みます。Recustomerが参照するのはOMSに集約された受注データであり、チャネルごとに個別の連携を組む必要がないためです。
Q. キャンセル(出荷前)にも対応していますか?
対応しています。出荷前キャンセルの受付・可否判定に加えて、承認時にはOMS上の受注伝票の自動取消まで連携します。
まとめ
自社EC・楽天市場・Yahoo!ショッピングの返品対応を一元化する鍵は、OMSを軸にすることです。多店舗運営ではすでにOMSが各チャネルの注文を集約しているため、RecustomerはそのOMSと連携するだけで、注文がどのチャネル由来かを問わず同じフローで受付・可否判定・伝票処理を自動化できます。そこに佐川急便・ヤマト運輸の自動集荷を組み合わせると、購入者は申請から返送までを自分で完了できるようになります。
複数チャネルを運営するアパレル企業では、この構成により返品関連の問い合わせが半分以下に減り、自動集荷の利用が大幅に増えました。ネクストエンジン連携では導入事業者で申請の82%が自動化された実績も公開されています。チャネルを増やすたびに運用が増える構造は、連携の組み方で変えられます。
出典・参考文献
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