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  • Ryosuke Yamazumi

返品申請の約半数で生成AIを利用 ― 一律厳格化を避ける返品ポリシー設計

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返品・返金の申請文が整っているだけでは、その申請が正当かどうかを見分けにくくなっています。Riskifiedが7市場の消費者2,091人を対象に実施した調査では、49.79%が返品・返金申請を作る際に生成AIを使ったと回答しました。

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この調査を10月6日に取り上げたRetail Gazetteは、一律に返品条件を厳しくするのではなく、購入・返品履歴や配送記録などを使って取引ごとに対応を変える流れを報じています。EC事業責任者が見るべきなのは「AIを使ったか」ではなく、正当な返品の購入体験を守りながら、返金と不正で流出する利益をどう減らすかです。

 

この記事の要点

  • 生成AIの利用だけを理由に返品申請を疑わない
  • 通常の返品は簡単にし、確認が必要な取引だけ審査を増やす
  • 返品率ではなく、交換転換率や粗利残存額まで見る

 

AI支援型の返品申請とは

AI支援型の返品申請とは、購入者が生成AIを使い、返品理由の整理や問い合わせ文の作成、返金交渉の表現調整を行うことです。文章の作成を手伝わせる行為には、正当な問い合わせも、事実を誇張した申請も含まれます。

 

そのため、流暢な文章や強い要求口調だけでリスクを判断する方法は機能しにくくなります。確認すべき対象は文章ではなく、注文、配送、返送、検品という一連の取引事実です。

 

日本を含む7市場で何が分かったのか

Riskifiedの調査は、直近3か月にオンライン取引をした2,091人を対象としています。回答者は7市場にまたがり、日本の回答者は11.96%でした。

 

返品・返金申請への生成AI利用は49.79%。複数のサイズや色を注文し、大半を返品する「ブランケティング」を妥当だと考える回答は42.28%、使用した商品を返品する「ワードロービング」を受け入れる回答は24.49%でした。

 

調査項目 結果 EC運営での読み方
生成AIで返品・返金申請を作成 49.79% 文章だけで正当性を判定しない
ブランケティングを妥当と回答 42.28% サイズ情報と交換導線を見直す
ワードロービングを容認 24.49% 返送期限と商品状態を確認する

 

生成AIの利用率と不正率は同じではありません。むしろ、正当な顧客とポリシー悪用を同じ入口で扱ってきた運用の限界が見えてきた、と捉える方が実務的です。

 

なぜ一律の返品制限では利益を守れないのか

返品期間の短縮、返送料の有料化、証拠提出の追加は、不正の抑止に働くことがあります。ただし、サイズ違い、商品説明との差、誤配送といった正当な返品にも同じ負担をかけると、購入前の不安が増え、転換率や再購入率を下げかねません。

 

返品をすべて拒むと、短期的には返金額が減ります。ところが、交換できた注文まで失えば、残せたはずの売上も消えます。

 

返品条件は「件数を減らす規則」ではなく、「利益を残しながら信頼を守る配分」として設計する必要があります。

 

 

日本のEC事業者が見るべき売上・利益への影響

返品対応の成果は、返品率だけでは測れません。売上を残せた交換、再販できる状態で戻った商品、返送・検品・問い合わせにかかった費用、不正申請で失った金額を同じ画面で追う必要があります。

 

最低限、返金額、交換転換率、再販可能率、返品1件あたりの対応時間、返品後の再購入率を月次で確認します。商品カテゴリや返品理由で分けると、商品情報を直すべきか、物流品質を直すべきか、審査を強めるべきかが見えます。

 

見る指標 判断できること
交換転換率返金で消える売上をどれだけ残せたか
再販可能率検品と返送速度が在庫価値を守れているか
返品後の再購入率返品体験が顧客離脱を招いていないか
審査・問い合わせ時間確認項目を増やした運用コストが見合うか

 

返品ポリシーをリスク別に運用する5つの手順

 

1. 購入前に条件を見える場所へ置く

返品期限、対象外商品、返送料、商品状態、返金時期を商品ページと最終確認画面から確認できるようにします。購入後に初めて条件を示すと、正当な申請でも対立が起きやすくなります。

 

2. 申請文ではなく取引データを見る

注文履歴、返品理由、申請までの日数、配送記録、返送追跡、検品結果をひも付けます。生成AIらしい文章かどうかを担当者の感覚で判定する運用は避けます。

 

3. 確認の強さを取引ごとに変える

通常の申請はセルフサービスで早く通し、履歴や配送記録に矛盾がある場合だけ写真、検品、担当者確認を追加します。本人の属性ではなく、取引に関係する客観的な条件を使い、判断理由を記録します。

 

4. 返金の前に交換を選べるようにする

サイズや色の違いなら、返品申請の画面で在庫のある交換商品を示します。交換が選べないために返金へ流れている注文を見つけると、売上を残す余地が分かります。

 

5. 誤判定と利益を毎月見直す

審査を追加した申請のうち、最終的に正当だった割合も記録します。取り締まりを強めるほど良いわけではなく、利益流出と購入体験の両方が改善した条件だけを残します。

 

よくある質問

 

Q. 返品申請に生成AIを使うことは不正ですか?

文章作成の補助として使うだけなら、不正とは限りません。判定では文面の巧拙ではなく、注文履歴、返品理由、返送状況、商品状態などの事実を確認します。

 

Q. 返品ポリシーは厳しくした方が利益を守れますか?

一律の厳格化は、正当な返品を望む顧客の離脱や購入率低下を招くおそれがあります。通常の申請は簡単に保ち、リスクの高い取引だけ確認を増やす設計が現実的です。

 

Q. 返品リスクの判定には何を使いますか?

返品頻度だけで決めず、購入・返品履歴、申請時期、返品理由、配送記録、商品状態、同一商品の交換可否など、取引に関係する情報を組み合わせます。

 

Q. 返品を減らすことだけをKPIにしてよいですか?

おすすめしません。返品率だけでなく、交換転換率、返金額、再販可能率、問い合わせ工数、再購入率を並べて、粗利がどれだけ残ったかを確認します。

 

Q. 日本のEC事業者にも関係する調査ですか?

Riskifiedの調査は7市場の2,091人を対象とし、日本の回答者が11.96%含まれています。国別の行動差があるため、自社データで検証して運用を調整してください。

 

まとめ

  • 日本を含む7市場の調査では、49.79%が返品・返金申請に生成AIを利用していた
  • 生成AIの利用だけでは、正当な申請とポリシー悪用を区別できない
  • 通常の返品は簡単にし、確認が必要な取引だけ審査を追加する
  • 交換転換率、再販可能率、再購入率まで追い、残った粗利で判断する

 

参考・出典

  1. Riskified「Rewriting the rules on returns」
  2. Retail Gazette「The returns paradox: 73% of shoppers support stricter policies but 32% admit to wardrobing」(2026年10月6日)

 

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