
再配達有料化への賛成が52.7%に達した国内調査から見えるのは、配送コストへの理解が進む一方で、EC側にも「受け取れる状態をつくる責任」があるということです。レバレジーズが運営するレバジョブは2026年10月6日、全国647人を対象にした「ドライバー不足に関する意識調査」を発表しました。
再配達を有料にするかどうかだけを議論すると、購入者の負担と物流現場の負担が対立して見えます。EC事業者が先にできるのは、到着予定を伝え、日時や場所を変えられる導線を用意し、初回で受け取れる注文を増やすことです。
これは配送費の抑制だけでなく、遅延キャンセルと顧客離脱を減らす施策になります。
再配達有料化とは
再配達有料化とは、購入者が初回配達で荷物を受け取れず、再配達を依頼するときに追加料金を求める考え方です。初回配達に含まれていた人件費、燃料費、車両費が再び発生するため、その一部を利用者に負担してもらい、受取行動の変化を促す狙いがあります。
今回のニュースは「有料化決定」ではありません。レバレジーズの発表は消費者の賛否を調べた意識調査です。
全国一律の制度開始や、宅配各社による料金導入を告知するものではありません。
国土交通省は「総合物流施策大綱(2026年度〜2030年度)」に基づき、置き配、コンビニ受取、宅配ロッカーなど多様な受取方法の利用と、確実に受け取れる日時指定を呼びかけています。政策の軸も、すぐに課金することより、受取方法を増やして再配達を減らすことに置かれています。
調査で分かった再配達の実態
調査は2026年7月17日から21日に、月1回以上ネット通販を利用するか、自分で荷物を受け取る20代〜60代以上の男女647人を対象に実施されました。再配達を依頼した経験がある人は92.4%で、2回以上の再配達を経験した人も21.9%でした。
最初の再配達が発生した理由は「配達日時を指定していなかった」が34.1%で最多でした。「配達予定日・時間を把握していなかった」が20.1%、「急な仕事や予定が入った」が17.9%と続きます。
事業者からの案内と購入者側の変更操作で減らせる余地が、少なくとも上位2項目にあります。
| 調査項目 | 回答割合 | EC側で考えられる対応 |
| 再配達の依頼経験がある | 92.4% | 初回配達完了率を継続して測る |
| 日時を指定していなかった | 34.1% | 購入時と出荷後に日時選択を案内する |
| 配達予定を把握していなかった | 20.1% | 到着前通知と追跡導線を整える |
| 再配達有料化に賛成 | 52.7% | 課金前に受取変更の選択肢を増やす |
有料化に「非常に賛成」は18.2%、「やや賛成」は34.5%で、合計52.7%でした。賛成理由はドライバーの負担軽減が85.9%、再配達削減が68.6%、人手不足対策が54.8%。
反対理由では利用者負担の大きさが68.3%、避けられない予定変更が56.7%でした。
なぜ今、再配達の負担が経営課題になるのか
調査では、物流の2030年問題を「内容まで知っている」「名前は聞いたことがある」と答えた人が合計54.8%でした。将来の配送遅延には75.9%が不安を感じています。
制度の詳しい理解より先に、「今と同じ速さで届かないかもしれない」という不安が広がっています。
EC事業者にとって、配送能力の制約は物流部門だけの話ではありません。予定日に届かなければ、配送状況の問い合わせ、キャンセル、返金、再送が増えます。
広告費を使って獲得した初回注文でも、受取体験が悪ければ二回目の購入につながりません。
編集部がこの調査で重く見たのは、再配達理由の上位が「日時未指定」と「予定を知らなかった」だった点です。人手不足そのものをEC一社では解決できませんが、購入者が受け取る準備をするための情報は出せます。
現場の負担と顧客体験を同時に改善できる、数少ない接点です。
売上と利益への影響をどう見るか
配送費ではなく、注文一件の利益で見る
再配達が発生すると、追加の運賃だけでなく、問い合わせ対応、配送会社との確認、再送判断に時間がかかります。注文粗利から再配達関連費と対応工数を引いた「受取完了後の利益」を見ると、改善施策へ投資できる上限が分かります。
キャンセルと返金で消えた売上を分ける
配送遅延や受取失敗を理由にしたキャンセル額、長期不在で返送された注文額を理由別に集計します。返送後に再送できた注文と、返金で終わった注文を分けると、配送通知で守れた売上を比較できます。
再購入率まで追う
初回配達で受け取れた注文と、再配達になった注文で、30日後や60日後の再購入率を比べます。問い合わせ件数が減っても再購入率が落ちていれば、通知の頻度や文面、受取変更の使いやすさに問題が残っています。
EC事業者が今できる受取設計
- 商品ページと購入画面に、発送予定ではなく到着予定の目安を出す
- 注文時に日時指定や受取方法を選べるようにし、未指定の注文を把握する
- 出荷時と配達前に、到着予定と追跡ページ、日時・場所の変更導線をまとめて送る
- 置き配、宅配ロッカー、コンビニ受取を、商品の温度帯や価格に合わせて出し分ける
- 遅延、持ち戻り、保管期限接近を検知し、問い合わせより先に次の行動を案内する
- 初回配達完了率、受取変更率、問い合わせ率、キャンセル率、再送費、再購入率を月次で確認する
課金を検討する場面でも、購入者に原因があるケースと、日時指定ができない、通知が届かない、遅延したといった事業者側のケースを同じ扱いにしない設計が必要です。料金を取る前に、回避できる選択肢と例外時の救済を見せる。
順番を逆にすると、再配達費を回収できても再購入を失います。
よくある質問
Q. 再配達有料化とは何ですか?
A. 荷物を初回に受け取れず、再配達を依頼した際に追加料金を求める考え方です。今回の調査は賛否を尋ねたもので、全国一律の制度開始を知らせるものではありません。
Q. 再配達有料化はすでに決まったのですか?
A. 今回参照したレバレジーズの発表は消費者意識調査です。有料化の実施決定や開始日を示す発表ではありません。
Q. EC事業者が最初に減らすべき再配達の原因は何ですか?
A. 調査で回答が多かった、配達日時を指定していない状態と、配達予定を把握していない状態から着手すると改善対象を定めやすくなります。
Q. 配送通知では何を伝えるべきですか?
A. 到着予定日、時間帯、配送状況、日時・受取場所を変更する導線を一緒に示します。遅延時は次の更新予定も伝えます。
Q. 置き配を一律で勧めてもよいですか?
A. 商品の温度管理、価格、サイズ、盗難や破損のリスクを踏まえ、商品や地域に応じて選択肢を出し分ける運用が必要です。
Q. 再配達削減の効果はどう測りますか?
A. 初回配達完了率、再配達率、受取変更率、配送問い合わせ率、キャンセル率、再送費、再購入率を導入前後で比較します。
まとめ
- 国内調査では再配達有料化への賛成が52.7%だったが、有料化の実施が決まったわけではない
- 再配達の理由は「日時未指定」34.1%、「予定を知らなかった」20.1%が上位だった
- EC事業者は到着予定の通知と受取変更導線を整え、初回配達で受け取れる注文を増やせる
- 効果は配送費と問い合わせだけでなく、キャンセル、返金、再送費、再購入率まで含めて判断する
次の一歩を、負担の軽い順に選べます
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参考・出典
- レバレジーズ株式会社「『物流2030年問題』への危機感高まる、7割超が将来の配送遅延に不安」(2026年10月6日)
- ECのミカタ「『物流2030年問題』消費者の半数以上が再配達有料化『賛成』 レバレジーズ調査」(2026年10月14日)
- 国土交通省「再配達削減PR月間 特設ページ」