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  • Ryosuke Yamazumi

返品・交換を見送った人32.3% ― その後の買い方を変える返品体験の設計

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国内調査で、EC利用者の32.3%が「返品・交換したかったのに、しなかった」経験を持つことが分かりました。返品が発生しなかったからといって、購入後体験に問題がなかったとは限りません。

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さらに、返品・交換をした、または見送った経験のある人の77.9%は、その後のECでの買い方を変えています。返品手続きの摩擦は、目の前の返金を抑えても、次の購入先や再購入率に影響する可能性があります。

 

本記事では、2026年10月15日に公表された調査をもとに、返品の見送りが売上・利益・CS工数へどう表れるのか、日本のEC事業者が見直すべき実務を整理します。

 

返品・交換の見送りとは

返品・交換の見送りとは、購入者が返品や交換を望んだものの、申請の手間、対象条件、返送料、期限などを理由に手続きをやめることです。実際の返品件数や返金額には記録されないため、運営側から見えにくい不満です。

 

返品率だけを見ると、見送りは「返品が少ない良い状態」に見えます。しかし、同じストアでの購入を避けられれば、次の売上を失います。

 

状態 管理画面に見えるもの 見落としやすい影響
返品・交換を完了返品件数、返金額、交換件数手続き中の不満、再購入意向
申請途中で離脱入力途中の記録がなければ見えない条件の分かりにくさ、入力負荷
申請せず見送り返品ゼロとして見える利用停止、他店への移行、口コミ

 

国内調査で分かった返品見送りの実態

株式会社スポルアップは、全国の20〜59歳のECアクティブユーザー300人を対象に、2026年10月にインターネット調査を実施しました。直近1年に返品・交換をした人は43.3%、したかったのに見送った人は32.3%でした。

 

見送り経験のある97人に複数回答で理由を聞くと、「申請や連絡の手続きが面倒だった」が32.0%で最多でした。「返品・交換ができない商品だった」が29.9%、「返送料・手数料が自己負担だった」が27.8%と続きます。

 

返品・交換をした、または見送った145人のうち、77.9%はその後の買い方に変化があったと回答しました。具体的には、商品説明やレビューを入念に見る41.4%、返品条件を確認する27.6%、返品・交換しやすいショップを選ぶ24.8%でした。

 

調査の読み方 本調査は20〜59歳のECアクティブユーザー300人を対象とした民間調査です。すべてのEC利用者の割合と断定せず、自社顧客に同じ傾向があるかを問い合わせ理由、申請離脱、再購入率で検証する必要があります。

 

消費者委員会の2026年7月の議事録でも、返品を考えた人は45%ほどで、希望どおり返品できたのは52%と説明されています。手続きや条件面で断念した人も報告されました。

 

なぜ返品の見送りが起きるのか

見送りは、申請窓口が見つからない、メールが何往復も必要、返送方法が分からないといった小さな摩擦の積み重ねでも起きます。

 

購入前の表示と購入後の案内の不一致も原因です。対象外条件を申請時に初めて示せば、購入者は「後から知った」と受け止めます。

 

返送料は金額だけの問題ではありません。送り状の記入、梱包、持ち込みまで購入者に委ねると、少額商品ほど手間が商品価値を上回ります。

 

 

日本のEC事業者が見るべき売上・利益への影響

最初に見るべきは、返品件数の増減ではなく、返品体験の前後で売上と粗利がどれだけ残ったかです。返品を見送った注文は返金が発生しませんが、顧客が次回から他店を選べば、短期の返金回避と引き換えに再購入を失います。

 

サイズや色の不一致であれば、返金だけでなく交換を選べる設計によって売上を残せます。交換候補の在庫を申請画面で示せず、いったん全額返金して買い直してもらう運用では、購入者が戻らない可能性が高まります。

 

CS工数も利益に直結します。条件確認、注文検索、返送案内を個別対応すれば、最終的に見送られた場合でも対応時間は発生します。

 

見る指標 判断できること
交換転換率返金で消える売上をどれだけ残せたか
申請開始・完了率入力や条件表示のどこで離脱したか
返品後の再購入率返品体験が顧客離れを招いていないか
1件あたりの対応時間問い合わせ削減が人件費に反映されたか

 

返品の摩擦を減らす5つの実務アクション

 

1. 見送りを計測できる状態にする

申請ページへの到達数、入力開始数、完了数、問い合わせ後の未申請数を確認します。見送り理由も集め、条件、費用、操作のどこを直すか決めます。

 

2. 返品条件を購入前から同じ表現で示す

対象商品、期限、返送料、商品状態、返金時期を商品ページと最終確認画面に置きます。購入後の案内でも同じ条件を使います。

 

3. 注文情報から対象可否を自動で判定する

注文番号から購入日、商品、配送状況を照合し、利用できる方法を示します。Recustomerは、動的な返品ポリシーによる返品可否の自動判断について特許第7768617号を取得しています。

 

4. 返金の前に交換候補を提示する

サイズや色の違いなら、在庫のある交換商品を申請中に選べるようにします。交換できない場合だけ返金へ進めば、売上を残せます。

 

5. 返送と進捗連絡まで一つの体験にする

集荷依頼、返送受付、検品、交換品発送、返金完了を分断しないことが重要です。進捗を購入者自身が確認できれば、問い合わせを減らせます。

 

よくある質問

 

Q. 返品・交換の見送りとは何ですか?

購入者が返品や交換を希望したものの、手続き、条件、費用、期限などを理由に申請や返送をやめることです。返品件数には表れないため、問い合わせやアンケートも含めて把握します。

 

Q. 返品を簡単にすると返品率が上がりませんか?

申請件数だけが増える可能性はありますが、返品率だけでは経営影響を判断できません。交換転換率、返金額、再購入率、問い合わせ工数まで合わせて確認します。

 

Q. 返品ポリシーはどこに表示すべきですか?

商品ページ、カート、最終確認画面、注文完了メール、返品申請画面から同じ条件を確認できるようにします。対象外商品、期限、返送料、返金時期を特に明示します。

 

Q. 返送料は無料にすべきですか?

一律の正解はありません。商品粗利、返品理由、顧客都合か事業者都合か、交換か返金かで負担を分け、購入前に分かる形で表示します。

 

Q. 見送りを減らすために最初に改善する場所はどこですか?

申請入口の見つけやすさと、申請前に確認できる条件です。注文番号から対象可否と費用を確認でき、交換候補まで選べる導線を優先します。

 

Q. 返品体験の改善効果は何で測りますか?

返金額、交換転換率、返品後の再購入率、返品1件あたりの問い合わせ時間、申請途中の離脱率を商品カテゴリ別に確認します。

 

まとめ

  • 国内調査では、EC利用者の32.3%が返品・交換を見送った経験を持っていた
  • 見送り理由は、手続き、対象条件、返送料に分散している
  • 関与経験者の77.9%が買い方を変えており、返品の摩擦は次回購入にも影響しうる
  • 返品率だけでなく、交換転換率、再購入率、申請離脱、CS工数で改善効果を測る

 

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参考・出典

  1. 株式会社スポルアップ(PR TIMES)「『返品・交換したかったのに、しなかった』EC利用者の32.3%」(2026年10月15日)
  2. 内閣府 消費者委員会「第495回 消費者委員会本会議 議事録」(2026年7月2日)
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