
ストアクレジット返金とは、返品の返金を、そのショップで次の買い物に使える残高(ストアクレジット)で受け取れるようにする返金方法です。返金額に上乗せを付けて選択肢を示すことで、返品で一度ショップの外へ出ていく売上を、次の購入として残せる可能性があります。
Recustomerは2026年10月14日に「ストアクレジット返金」機能の提供を開始し、あわせて返品・返金経験者488名への調査結果を公開しました。同じ金額なら81.1%が現金での返金を選ぶ一方、10%以下の上乗せがあれば83.2%が残高での受け取りに前向きでした。
本記事では、ストアクレジット返金の仕組み、調査から分かった購入者の意向、向いているショップ、導入前に決めておきたい設定を整理します。
ストアクレジット返金とは
ストアクレジット返金は、「現金で返金」と「商品の交換」の間にある第三の選択肢です。購入者は返品した代金を、同じショップのどの商品にも使える残高として受け取ります。
交換は売上がショップに残りますが、選べるのは同じ商品の別サイズや別カラーに限られます。「この商品は合わなかったが、別の商品なら欲しい」「今は決められない」という購入者は、これまで返金を選ぶしかありませんでした。
| 比較項目 |
現金での返金 |
商品の交換 |
ストアクレジット返金 |
| 売上 |
ショップの外へ出ていく |
ショップに残る |
残高が使われた分だけショップに残る |
| 選べる商品 |
— |
同じ商品の別サイズ・別カラー |
ショップ内のどの商品でも |
| 在庫の制約 |
— |
交換先の在庫が必要 |
なし(入荷後に使うこともできる) |
| 購入者の受取額 |
支払った金額 |
同じ商品 |
返金額+ショップが設定した上乗せ |
返品後の「返金」で失われているもの
返品で失うのは、返品された商品の売上だけではありません。サイズやイメージが合わずに返品した購入者は、返金を受け取ったあと、他のショップで商品を探し直す可能性があります。
Recustomer導入企業の返品・交換データを集計すると、交換を選べる場合の交換率は約25%でした。一方、返金後に同じショップで再購入した割合は約4%にとどまります。返金を選んだ購入者の多くは、その後の購入機会ごとショップから離れていることになります。
交換の仕組みを整えれば一部は取り戻せますが、交換専用の在庫確保や受注処理まで用意できるショップは限られます。返金を選んだ購入者に、もう一度ショップの商品を選び直してもらう手段が必要です。
返品・返金経験者488名の調査で分かったこと
Recustomerは2026年9月30日、全国の20〜59歳の男女1,016名にWebアンケートを実施しました。ここでは、直近1年以内にECで購入した商品を返品し、返金を受けた経験のある488名の回答を紹介します。
同じ金額なら81.1%が現金を選ぶ
10,000円の商品を返品するとき、「現金で10,000円」と「返品したショップだけで使える残高10,000円分」のどちらを選ぶか尋ねたところ、81.1%が現金を選びました。上乗せがなければ、使い道が限られない現金が選ばれるのは自然な結果です。
10%以下の上乗せで83.2%が前向き
残高で受け取る場合に何%の上乗せがあれば選びたいかを尋ねると、「上乗せがなくてもよい」15.8%、「3%」17.6%、「5%以上」24.0%、「10%以上」25.8%でした。合わせて83.2%が、10%以下の上乗せで残高での受け取りに前向きです。

上乗せ付きの残高なら90.4%が次の買い物に使う
10,000円の商品を返品して11,000円分の残高を受け取った場合の使い方を尋ねると、「11,000円以内の商品を選び、残高だけで支払う」が52.3%、「11,000円を超える商品を選び、差額を自分で支払う」が38.1%でした。合わせて90.4%が、残高を使って同じショップで購入する意向を示しています。
38.1%が残高を超える商品の購入を想定している点は、事業者にとって見逃せません。残高での返金が、再購入だけでなく追加の支払いを伴う購入につながる可能性があります。

有効期限は87.7%が「6か月以内」で安心
残高に有効期限がある場合、どのくらいの期間があれば安心して使えるかを尋ねると、「1か月以内」14.1%、「3か月以内」35.7%、「6か月以内」37.9%で、合わせて87.7%でした。「有効期限にかかわらず利用したくない」は12.3%です。
調査の読み方 この調査は購入者の意向を尋ねたもので、実際の選択率や再購入率を示すものではありません。自社での効果は、導入後の選択率・付与額・利用額で確かめる必要があります。
Recustomerのストアクレジット返金の仕組み
Recustomerのストアクレジット返金では、購入者が返品を申請するとき、従来どおりの返金と、上乗せ付きの残高での受け取りを見比べて選びます。どちらを選ぶかは購入者自身が決めます。

- 返金方法を選ぶ:返品申請で「返金」を選んだあと、返金方法として従来の返金かストアクレジットかを選びます
- 検品・返金処理:返送された商品の検品が終わったら、事業者がこれまでどおり返金処理を行います
- 残高を付与:返金処理の時点で残高が付与されます。返金分と上乗せ分は別の取引として記録されます
- 次の買い物で使う:購入者はログインした状態で、お会計画面から残高を選んで使います。コードの入力は要りません
残高はShopifyに標準で備わるストアクレジットとして付与されます。残高や利用履歴はShopifyの管理画面で確認でき、有効期限が来た分は未使用の残高だけが失効します。
事業者が設定するのは「上乗せ率」と「有効期限」
上乗せ率と有効期限は、ストアごとに設定します。上乗せ率を0%にして、上乗せなしで選択肢だけを増やすこともできます。有効期限は付与日から数えて最長180日の範囲で設定します。
上乗せの計算対象は、割引後・税抜の商品代金です。送料や関税は対象になりません。また、ストアクレジットで支払った分には上乗せが付かないため、「残高で買って返品し、また上乗せを受け取る」ことを繰り返しても残高は増えません。
上乗せがなくても選ばれる理由
購入者にとっては、上乗せ以外にも残高を選ぶ理由があります。銀行振込での返金のように口座情報を入力する必要がなく、付与された時点で次の買い物に使えます。別の商品が欲しい場合も、先に自分で買い直して返金を待つ必要がありません。
ストアクレジット返金が向いているショップ
効果が出やすいのは、サイズやイメージ違いなど、購入者都合の返品を多く受けているショップです。商品そのものに不満があるわけではないため、「このショップでまた買いたい」と考える購入者が多く、残高を選ぶ理由があります。
- サイズ・カラー・イメージ違いによる返品が多い
- 交換の仕組みを整えていない、または交換先の在庫が足りないことが多い
- 品揃えが広く、返品した商品の代わりを選びやすい
反対に、不良品や誤配送など事業者側の理由による返品が中心のショップでは、効果が出にくいと考えられます。購入者が「早くお金を返してほしい」と考える場面では、残高を勧めること自体が負担になりかねません。返品理由ごとに選択肢の出し方を検討します。
導入前に決めておきたい4つのこと
1. 上乗せ率
調査では、83.2%が10%以下の上乗せで残高での受け取りに前向きでした。上乗せの費用が発生するのは残高が使われたときです。商品の粗利率と、返金で失っている売上を比べて決めます。
2. 有効期限
期限が短すぎると使い切れない購入者が増え、長すぎると残高の管理が長引きます。87.7%が6か月以内の期限で安心と回答しているため、最長180日の範囲で、自社の購入サイクルに合わせて設定します。
3. 対象にする返品
購入者都合の返品と、不良品などの事業者都合の返品を分けて考えます。どの返品で残高の選択肢を出すかを決めておくと、購入者の体験を損ないにくくなります。
4. 会計処理
返金分と上乗せ分は別の取引として記録されるため、会計上も分けて扱えます。上乗せ分を販売促進費として扱うか売上から控除するかなど、具体的な処理は監査法人や顧問税理士に確認してください。
よくある質問
Q. ストアクレジット返金とは何ですか?
返品の返金を、そのショップで次の買い物に使える残高で受け取れるようにする返金方法です。返金額に上乗せを付けることで、購入者が残高を選ぶ理由をつくれます。
Q. 購入者は必ず残高で受け取らなければいけませんか?
いいえ。購入者は従来どおりの返金と、上乗せ付きの残高での受け取りを見比べて、自分で選びます。
Q. 上乗せ率は何%にすればよいですか?
Recustomerの調査では、返品・返金経験者の83.2%が10%以下の上乗せで残高での受け取りに前向きでした。上乗せ率は0%にもできるため、粗利率と照らして決めます。
Q. 有効期限はどのくらいに設定すべきですか?
付与日から最長180日の範囲で設定できます。調査では87.7%が6か月以内の期限で安心して使えると回答しています。
Q. 交換とは何が違いますか?
交換は同じ商品の別サイズや別カラーに限られ、交換先の在庫も必要です。ストアクレジット返金なら、ショップ内のどの商品にも残高を使えます。
Q. どのECカートで使えますか?
Shopifyで運営しているショップが対象です。残高はShopifyのストアクレジットとして付与されます。詳しい利用条件はお問い合わせください。
まとめ
- ストアクレジット返金は、返品の返金を同じショップで使える残高で受け取れるようにする返金方法
- 返金後の再購入率は約4%にとどまり、返金は次の購入機会も失うおそれがある
- 調査では、同じ金額なら81.1%が現金を選ぶ一方、10%以下の上乗せで83.2%が残高に前向きだった
- 上乗せ付きの残高なら90.4%が次の買い物に使う意向で、38.1%は残高を超える購入も想定している
- 購入者都合の返品が多いショップほど効果が出やすい。上乗せ率・有効期限・対象にする返品を決めてから始める
情報収集の段階なら資料から、具体的にご検討中ならオンラインでの個別相談をご利用ください。
出典・参考文献
- Recustomer株式会社(PR TIMES)「Recustomer、返品に伴う売上減少を抑え、次の購入につなげる「ストアクレジット返金」機能を提供開始」(2026年10月14日)
- Recustomer株式会社「返品・返金に関する生活者調査」(調査期間:2026年9月30日、Webアンケート、全国20〜59歳の男女1,016名。集計対象は直近1年以内にECで購入した商品を返品し返金を受けた488名)